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うしのうしろ、うっしっし

2021年06月20日 | 絵本
 年明けの頃に「うし年」でもあるしその題材で何かないかと館内の本を探してみたが、今一つぴんとこなかった。ネット検索をしたら、内田麟太郎の「うし」という絵本を見つけた。Youtubeで詩人自身が読み、絵を描いた人がインタビューを公開している。これは面白いと思い、他館へ借りにいく。その後に購入した。


『うし』(内田麟太郎・詩 高畠純・絵 アリス館) 



 いわゆるナンセンス絵本と呼んでもいい内容だ。重なっていく繰り返しの結びにオチがつく。小さい子から大人まで、ニヤリとしてくれるに違いない。家庭内で一人を相手に読むときは、きっと二度目からは一緒に声を揃えたりするのも楽しいだろう。そしてもしかすれば、牛のまだら模様にも気がつくかもしれない。


 さて、集団を相手にする場合は、年齢層にもよるが二通り考えられるように思う。一つは作家が読んだように淡々、坦々と読んでいく。聞き手自身が次を予想し心が高まっていくはずだからそれが自然か。ただもう一つ、始めは平板に徐々に緩急などをつけ盛り上げることも可能だ。読み手も一緒に驚きをみせていい。


 これは詩が先に出来て、あとから絵をつけたという。しかし「絵本」として完成形になった気がする作品だ。絵本には「文でわかることは絵にしない。絵で分かることは文にしない」という大きな前提もある。しかしこの場合は詩の「文」はページをめくっていく進行役のイメージが大半だ。めくる時間にも配慮が欲しい。