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新しいシフォン主義とは何か

2022年01月03日 | 雑記帳
 今年の賀状に洒落っぽく「新しいシフォン主義」という語を入れてみた。もちろん、某首相が提示した「新しい資本主義」のもじりである。そこに「かるくやわらかに」と添えたのは、シフォンケーキを連想して甘さや濃さを抑えるイメージを重ねてみた。と、ここまでは普通だ。しかし、語を選ぶにはそれなりの…。


    放春花~木瓜の花誰よりも早く香りを放て

 そもそも「シフォン」とは何か。Chiffonはフランス語で「ごく薄い平織の絹織物」を意味する。広辞苑では「⇒絹モスリンと同じ」と記されている。それは「経緯(たてよこ)ともに1本の生糸に強撚を施した糸を用い~~」とあり、薄く平織りをするための素地について説明されていた。「強撚」という語が印象的だ。


 衣類生産の場で使われる用語だが、強く撚る(よる)とは一本一本の強度を上げることとなる。また、撚るとは「ねじり合わせる」を意味するので、そこからの連想も働く。つまり、日常の暮らしや仕事の場において丁寧に仕上げる大切さ、さらにはねじり合わせてより強く作り上げていく発想も視野に入れてみたい。


 もちろん、そのうえで齢相応にあまり重くならないような、絹織物とまではいかないけれどそんな姿が理想だな。ところで「新しい」はどうなるのか。まあこれは「資本主義」についた形容詞を真似ただけ…と、実はそちらの新しさについて懐疑的な自分から一言発すれば、格差拡大の言い訳になっていないか。


 ただ「」という字は「切り倒した木の切り口」が字源という説もある。新と打ち出したからには、具体化する切り口をお手並み拝見だ。シフォン主義としてもそのあたりを意識して、平凡な「なんでもない日々」が、ただ流されるままの「なんにもない日々」にならぬよう努めたい。ともあれ、書初めの一字は「撚」