すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

その答えは、お前さんが…と

2022年01月29日 | 絵本
 この絵本と出会ったのは、去年2月に蔵書点検をしている時だった。点検はかなりスピードで機器操作し、一冊一冊に目を留めている暇はないのだが、この本は大判なので棚から引き抜く必要があったので、表紙が目に入った。題名と三木卓という訳者への興味があり、少しめくってみた。あっ読んでみたいと思った。


『3つのなぞ』
 (ジョン・J・ミュース作  三木 卓・訳 ) 





 いい人間になりたいと願うニコライ少年が、そのために何をしたらいいか、3つのなぞを持ち、それを問いかける作品である。その3つとは「いつが いちばん だいじなときなんだろう」「だれが いちばん だいじな人なんだろう」「なにをすることが いちばん だいじなんだろう」。哲学的な問いかけと言える。


 友達であるサギ、サル、イヌに問いかけ、それぞれが考えを述べるが満足しない。そこで訪ねたのは、カメのレオ爺さんである。畑を手伝った後に起こる嵐の中の出来事を解決したニコライは、翌日レオにもう一度問いかけ、レオはそれに対して「もうそのこたえは、おまえさんが出してしまっておる」と言い放つ。


 そこからのレオの語りが、この話のハイライトになる。なかみは今風に言えば「マインドフルネス」に近い。高学年以上が対象だろうが、その意味を捉えられるかどうかは個人差もあろう。とすればどう語りを説得力あるものにするか…ここは実力(笑)が試される。象徴的な「赤いカイト」と共に印象づけられるか。