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旗印を掲げてきたと…

2022年01月28日 | 読書
 「○○力」の本はやや時代遅れの感がある。「○○という病気」もそうか。だから古本屋でこの背表紙を見ても、最初はあまり心が動かなかったのだが、ぺらっとめくってみた時、自分が求めていた世界に近いような感覚がよぎった。そうだ、そうだ。わが師匠、伝説(笑)のキーワード『ずばり、一言で』ではないか。


『一言力』(川上徹也  幻冬舎新書)





 章名は次のように並ぶ。「要約力」「断言力」「発問力」「短答力」「命名力」「比喩力」「旗印力」。『ずばり、一言で』は、冒頭の二つ及び短答力が中心になる。授業で子どもたちの発言に対してその習慣をつけるのは、そこに力が集約されるからだ。これこそ、長年心酔してきた「野口国語」の核心ではないかと思う。


 「発問力」は、そのまま教育で通用する用語だが、ここでは教師の発問づくりという観点はあまりない。それより「問いかける力」「問題をつくる力」の育成には参考になる。これも継続的に取り組んできた「質問力」ということに深く結びつく。質問力を汎用的に使いこなせれば、仕事も毎日の暮らしも深くなる。


 「命名力」は、自分が一時期考え続けたことでもある。「名づけ」という行為がいかに大切か、人とはかくも名前にこだわるものか…と、そうあれは市町村合併が進んだとき、頭の中にずいぶんと宿っていた。どんなふうに意味を込め、何が課せられるか、どう発展していくか…名づけを重く考える思考は今もある。


 その考えを具体化させたのが「旗印力」に近いと言っていい。かつて関わった学校の目標や研究テーマについては結構書き散らしている。今思い起こすと学級目標まで遡る。「旗印」という意識はとても強かったし、それに頼ってきた。力を発揮できたかどうかは心許ないが、この著者の主張には大いに共感できた。