まずは問題を見てください。
1 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の
整備等に関する法律によれば、労働者派遣事業には、その事業の
派遣労働者が常用労働者だけを対象として行う( A )派遣事業
とそれ以外の( B )派遣事業があり、前者を行おうとする者は
厚生労働大臣への届出が必要で、後者を行おうとする者は厚生労働
大臣から許可を受けることが必要である。
2 労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分を明らかにする
ことを目的として、労働者派遣事業と請負により行われる事業との
区分に関する基準が定められている。
また、職業安定法第45条において( C )等が、厚生労働大臣
の許可を受けた場合は、無料で労働者供給事業を行うことができる、
とされている。
3 次の図は労働者派遣の概念を表わそうとしているものであるが、
( )の中を埋めて図を完成させなさい。
――――「派遣労働者」――――
| |
( D ) 指揮命令関係
| |
派遣元事業主 ――( E )―― 派遣先事業主
☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆
労働者派遣事業と労働者供給事業に関する問題です。
最近の労務管理その他の労働に関する一般常識の選択式の問題としては
取り組みやすい問題といえます。
さて、まずAとBの空欄ですが、これらに関して直接的な出題という
のは、今までにありませんでしたが、問題文中に「許可」や「届出」を
必要とするという内容がある問題はたびたび出題されています。
☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆
【14-3-D】
規制緩和が図られた結果、派遣法においてもすべての業務について、
公共職業安定所への届出だけで足りるとされ、派遣労働が自由化された。
【16-2-D】
紹介予定派遣は、労働者派遣のうち、労働者派遣事業と職業紹介事業の
双方の許可を受け又は届出をした者が、派遣労働者と派遣先との間で、
雇用関係の成立のために職業紹介を行い、又は行うことを予定してする
ものである。この場合、同一の派遣労働者についての派遣受入期間は
3か月を超えてはならない、と派遣法で定められている。
☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆
いずれも誤りの問題です。
【14-3-D】については、「派遣労働が自由化された」とありますが、
自由化されてはいません。
【16-2-D】については、「3か月」ではなく、「6か月」であること
から誤りです。
【18-選択】とは、論点は違いますが、問題文中に「許可」「届出」が
あります。
過去問を解く際は、当然、その論点を見つけ、その正誤を判断するという
のは当たり前ですが、それ以外にも論点になり得る箇所、そこをしっかり
確認しておくのも大切です。
同じ誤りを作るとは限りませんからね。
ということで、労働者派遣事業には2種類あり、届出により行うことが
できるのは「特定労働者派遣事業」、許可により行うことができるのは
「一般労働者派遣事業」です。
☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆
次は、Cの空欄ですが、やはり、この空欄と同じ論点の問題はありませんが、
関連する出題はあります。
☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆
【8-1-A】
厚生労働大臣の許可を受けずに労働者供給事業を行った者には罰則が科される
ことがあるが、無許可で労働者供給事業を行う者から供給された労働者を
自らの指揮命令の下に労働させた者については、罰則は設けられていない。
【16-1-C】
労働組合は、厚生労働大臣の許可を受ければ、無料の職業紹介事業を行う
ことができる。
☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆
【8-1-A】は誤りです。無許可の労働者供給事業から労働者供給を
受ければ、罰則が科されます。
このような問題を解くとき、単に罰則ありなしだけを判断して終わって
しまうのが普通ですよね。
でも、労働者供給事業って、誰でもできるんだっけ?という疑問を持ち、
確認することができると、応用力が身に付きます。
【16-1-C】は正しいです。労働組合は許可を受けることで、無料の
職業紹介事業を行うもできます。労働者供給事業も行うことはできます。
つまり、前述と同様に、この問題も単に労働組合は無料の職業紹介事業が
できますで終わらせるのではなく、他に何かできるものがあったはずと
考えるのです。
このように考えていくと、1肢を解くのに時間はかかるかもしれませんが、
同時に多くのことを学べます。
こういう学習が本質的な横断学習と言えるのでしょうがね。
一般的な「横断学習」は「比較学習」であって、本来の「横断」というのは
こういうものです。
☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆
では、最後はDとEの空欄です。
今までになかった出題形式ですね。図を完成させろなんて。
でも、こういう問題は、個人的には大賛成で、今後も出題すべきとは
思いますが。
それは置いときまして、この問題に関しては、次の問題を見てください。
☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆
【15-労基-選択】
労働基準法及び労働安全衛生法(以下「労働基準法等」という。)は、
労働者と( A )関係にある事業に適用されるので、派遣労働者に
関しては、派遣労働者と( A )関係にある( B )が責任を負い、
これと ( A )関係にない( C )は責任を負わないことになる。
☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆
解答は
A:労働契約
B:派遣元事業主
C:派遣先事業主
です。この問題では、派遣労働者と派遣元事業主との間の関係を、
「労働契約関係」としています。【18-選択】では「雇用関係」と
しています。言葉が違いますよね。
もし、【15-労基-選択】のイメージを強く持っていると、「雇用関係」
とは違う言葉を空欄に入れてしまったのでは。選択肢にある「労働関係」
とか。
「労働関係」というのは、「雇用関係」と「指揮命令関係」を合わせた
ものですから、Dの空欄には入る余地はありません。
となると、「労働契約関係」と同じ意味合いの言葉を選択肢から探す
必要があるわけですが・・・
「雇用関係」、これは同じ意味と考えて問題ありません。
法律の条文を抜粋した問題の場合には、言葉は特定されていまい、条文の
言葉以外では、「完全な文章」にはなりませんが、条文そのものでなければ
同義の言葉であれば、「完全な文章」となり得ますからね。
☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆
【18-選択】の解答です
A 12 特定労働者(労働者派遣法2条5号)
B 1 一般労働者(労働者派遣法2条4号)
C 18 労働組合(職業安定法45条)
D 6 雇用関係(労働者派遣法2条1号、昭61.4.17労告37号)
E 20 労働者派遣契約(労働者派遣法26条、昭61.4.17労告37号)
1 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の
整備等に関する法律によれば、労働者派遣事業には、その事業の
派遣労働者が常用労働者だけを対象として行う( A )派遣事業
とそれ以外の( B )派遣事業があり、前者を行おうとする者は
厚生労働大臣への届出が必要で、後者を行おうとする者は厚生労働
大臣から許可を受けることが必要である。
2 労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分を明らかにする
ことを目的として、労働者派遣事業と請負により行われる事業との
区分に関する基準が定められている。
また、職業安定法第45条において( C )等が、厚生労働大臣
の許可を受けた場合は、無料で労働者供給事業を行うことができる、
とされている。
3 次の図は労働者派遣の概念を表わそうとしているものであるが、
( )の中を埋めて図を完成させなさい。
――――「派遣労働者」――――
| |
( D ) 指揮命令関係
| |
派遣元事業主 ――( E )―― 派遣先事業主
☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆
労働者派遣事業と労働者供給事業に関する問題です。
最近の労務管理その他の労働に関する一般常識の選択式の問題としては
取り組みやすい問題といえます。
さて、まずAとBの空欄ですが、これらに関して直接的な出題という
のは、今までにありませんでしたが、問題文中に「許可」や「届出」を
必要とするという内容がある問題はたびたび出題されています。
☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆
【14-3-D】
規制緩和が図られた結果、派遣法においてもすべての業務について、
公共職業安定所への届出だけで足りるとされ、派遣労働が自由化された。
【16-2-D】
紹介予定派遣は、労働者派遣のうち、労働者派遣事業と職業紹介事業の
双方の許可を受け又は届出をした者が、派遣労働者と派遣先との間で、
雇用関係の成立のために職業紹介を行い、又は行うことを予定してする
ものである。この場合、同一の派遣労働者についての派遣受入期間は
3か月を超えてはならない、と派遣法で定められている。
☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆
いずれも誤りの問題です。
【14-3-D】については、「派遣労働が自由化された」とありますが、
自由化されてはいません。
【16-2-D】については、「3か月」ではなく、「6か月」であること
から誤りです。
【18-選択】とは、論点は違いますが、問題文中に「許可」「届出」が
あります。
過去問を解く際は、当然、その論点を見つけ、その正誤を判断するという
のは当たり前ですが、それ以外にも論点になり得る箇所、そこをしっかり
確認しておくのも大切です。
同じ誤りを作るとは限りませんからね。
ということで、労働者派遣事業には2種類あり、届出により行うことが
できるのは「特定労働者派遣事業」、許可により行うことができるのは
「一般労働者派遣事業」です。
☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆
次は、Cの空欄ですが、やはり、この空欄と同じ論点の問題はありませんが、
関連する出題はあります。
☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆
【8-1-A】
厚生労働大臣の許可を受けずに労働者供給事業を行った者には罰則が科される
ことがあるが、無許可で労働者供給事業を行う者から供給された労働者を
自らの指揮命令の下に労働させた者については、罰則は設けられていない。
【16-1-C】
労働組合は、厚生労働大臣の許可を受ければ、無料の職業紹介事業を行う
ことができる。
☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆
【8-1-A】は誤りです。無許可の労働者供給事業から労働者供給を
受ければ、罰則が科されます。
このような問題を解くとき、単に罰則ありなしだけを判断して終わって
しまうのが普通ですよね。
でも、労働者供給事業って、誰でもできるんだっけ?という疑問を持ち、
確認することができると、応用力が身に付きます。
【16-1-C】は正しいです。労働組合は許可を受けることで、無料の
職業紹介事業を行うもできます。労働者供給事業も行うことはできます。
つまり、前述と同様に、この問題も単に労働組合は無料の職業紹介事業が
できますで終わらせるのではなく、他に何かできるものがあったはずと
考えるのです。
このように考えていくと、1肢を解くのに時間はかかるかもしれませんが、
同時に多くのことを学べます。
こういう学習が本質的な横断学習と言えるのでしょうがね。
一般的な「横断学習」は「比較学習」であって、本来の「横断」というのは
こういうものです。
☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆
では、最後はDとEの空欄です。
今までになかった出題形式ですね。図を完成させろなんて。
でも、こういう問題は、個人的には大賛成で、今後も出題すべきとは
思いますが。
それは置いときまして、この問題に関しては、次の問題を見てください。
☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆
【15-労基-選択】
労働基準法及び労働安全衛生法(以下「労働基準法等」という。)は、
労働者と( A )関係にある事業に適用されるので、派遣労働者に
関しては、派遣労働者と( A )関係にある( B )が責任を負い、
これと ( A )関係にない( C )は責任を負わないことになる。
☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆
解答は
A:労働契約
B:派遣元事業主
C:派遣先事業主
です。この問題では、派遣労働者と派遣元事業主との間の関係を、
「労働契約関係」としています。【18-選択】では「雇用関係」と
しています。言葉が違いますよね。
もし、【15-労基-選択】のイメージを強く持っていると、「雇用関係」
とは違う言葉を空欄に入れてしまったのでは。選択肢にある「労働関係」
とか。
「労働関係」というのは、「雇用関係」と「指揮命令関係」を合わせた
ものですから、Dの空欄には入る余地はありません。
となると、「労働契約関係」と同じ意味合いの言葉を選択肢から探す
必要があるわけですが・・・
「雇用関係」、これは同じ意味と考えて問題ありません。
法律の条文を抜粋した問題の場合には、言葉は特定されていまい、条文の
言葉以外では、「完全な文章」にはなりませんが、条文そのものでなければ
同義の言葉であれば、「完全な文章」となり得ますからね。
☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆
【18-選択】の解答です
A 12 特定労働者(労働者派遣法2条5号)
B 1 一般労働者(労働者派遣法2条4号)
C 18 労働組合(職業安定法45条)
D 6 雇用関係(労働者派遣法2条1号、昭61.4.17労告37号)
E 20 労働者派遣契約(労働者派遣法26条、昭61.4.17労告37号)