今回は、平成27年-労基法問4-B「賃金の全額払」です。
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過払いした賃金を精算ないし調整するため、後に支払わるべき賃金から控除
することは、その金額が少額である限り、労働者の経済生活の安定をおびや
かすおそれがないため、労働基準法第24条第1項に違反するものではないと
するのが、最高裁判所の判例である。
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「賃金の全額払」に関する判例の問題です。
次の問題をみてください。
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【 18-2-B 】
最高裁判所の判例によると、労働基準法第24条第1項本文の定めるいわゆる
賃金全額払の原則の趣旨とするところは、使用者が一方的に賃金を控除する
ことを禁止し、もって労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済
生活を脅かすことのないようにしてその保護を図ろうとするものというべき
であるから、使用者が労働者に対して有する債権をもって労働者の賃金債権
と相殺することを禁止する趣旨をも包含するものであるが、労働者がその
自由な意思に基づき当該相殺に同意した場合においては、当該同意が労働者
の自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足りる合理的な理由が
客観的に存在するときは、当該同意を得てした相殺は当該規定に違反する
ものとはいえないものと解するのが相当である、とされている。
【 25-7-エ 】
いわゆる全額払の原則の趣旨は、使用者が一方的に賃金を控除することを
禁止し、もって労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済生活を
脅かすことのないようにしてその保護を図ろうとするものというべきである
とするのが、最高裁判所の判例である。
【 26-3-オ 】
労働基準法第24条第1項に定めるいわゆる「賃金全額払の原則」は、労働者
の賃金債権に対しては、使用者は、使用者が労働者に対して有する債権を
もって相殺することを許されないとの趣旨を包含するものと解するのが相当
であるが、その債権が当該労働者の故意又は過失による不法行為を原因とした
ものである場合にはこの限りではない、とするのが最高裁判所の判例である。
【 12-4-C 】
最高裁判所の判例によると、適正な賃金の額を支払うための手段たる相殺は、
労働基準法第24条第1項ただし書によって除外される場合に当たらなくても、
その行使の時期、方法、金額等からみて労働者の経済生活の安定との関係上
不当と認められないものであれば同項の禁止するところではない。
【 21-選択 】
賃金の過払が生じたときに、使用者がこれを精算ないし調整するため、後に
支払われるべき賃金から控除することについて、「適正な賃金の額を支払うため
の手段たる相殺は、〔…(略)…〕その行使の時期、方法、金額等からみて労働者
の( B )との関係上不当と認められないものであれば、同項(労働基準法第
24条第1項)の禁止するところではないと解するのが相当である」とするのが
最高裁判所の判例である。
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いずれも「賃金全額払」に関する最高裁判所の判例からの出題です。
で、【 18-2-B 】【 25-7-エ 】【 26-3-オ 】の判例は、使用者が
一方的に賃金を控除することは禁止されており、労働者に対して有する債権
と労働者の賃金債権とを使用者側が一方的に相殺することは認めないという
ことをいっています。
ただ、相殺について例外もあり、【 18-2-B 】にあるように、
「労働者がその自由な意思に基づき当該相殺に同意した場合」
には可能となります。
ですので、【 18-2-B 】と【 25-7-エ 】は正しいです。
そこで、【 26-3-オ 】で、「この限りでない」と相殺が許される記述が
あります。
【 18-2-B 】の場合とはまったく異なる場合になりますが、この場合は、
相殺は認められません。
最高裁判所の判例では、
「労働者の賃金債権に対しては、使用者は、使用者が労働者に対して有する
債権をもって相殺することを許されないとの趣旨を包含するものと解するのが
相当である。このことは、その債権が不法行為を原因としたものであっても
変りはない」
としています。
つまり、労働者の不法行為を理由とする損害賠償債権との相殺の場合であっても、
使用者による一方的な相殺は賃金全額払の原則に違反することになります。
とういうことで、【 26-3-オ 】は誤りです。
【 27-4-B 】【 12-4-C 】【 21-選択 】は、別の判例からの出題です。
これらの判例では、使用者側の一方的な相殺は認めないけど、例外もあるという
ことをいっていて、【 12-4-C 】は正しいですが、【 27-4-B 】は誤り
です。
「過払いした賃金を精算ないし調整するため、後に支払わるべき賃金から控除
すること」、これは、適正な賃金の額を支払うための手段たる相殺のことであり、
【 12-4-C 】にあるように、その行使の時期、方法、金額等からみて労働者
の経済生活の安定との関係上不当と認められないものであれば全額払の原則に
違反しません。
ですので、「少額である」ことのみをもって相殺が認められるわけではあり
ません。
それと、【 21-選択 】のBには、「経済生活の安定」が入ります。
この言葉は、これらの判例のキーワードといえるでしょう。
最近は、択一式、選択式、いずれについても判例が頻出です。
ですので、過去に出題された判例は確実に押さえておきましょう。
1度出題されたもの、このように繰り返し出題されることが多いですから。
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過払いした賃金を精算ないし調整するため、後に支払わるべき賃金から控除
することは、その金額が少額である限り、労働者の経済生活の安定をおびや
かすおそれがないため、労働基準法第24条第1項に違反するものではないと
するのが、最高裁判所の判例である。
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「賃金の全額払」に関する判例の問題です。
次の問題をみてください。
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【 18-2-B 】
最高裁判所の判例によると、労働基準法第24条第1項本文の定めるいわゆる
賃金全額払の原則の趣旨とするところは、使用者が一方的に賃金を控除する
ことを禁止し、もって労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済
生活を脅かすことのないようにしてその保護を図ろうとするものというべき
であるから、使用者が労働者に対して有する債権をもって労働者の賃金債権
と相殺することを禁止する趣旨をも包含するものであるが、労働者がその
自由な意思に基づき当該相殺に同意した場合においては、当該同意が労働者
の自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足りる合理的な理由が
客観的に存在するときは、当該同意を得てした相殺は当該規定に違反する
ものとはいえないものと解するのが相当である、とされている。
【 25-7-エ 】
いわゆる全額払の原則の趣旨は、使用者が一方的に賃金を控除することを
禁止し、もって労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済生活を
脅かすことのないようにしてその保護を図ろうとするものというべきである
とするのが、最高裁判所の判例である。
【 26-3-オ 】
労働基準法第24条第1項に定めるいわゆる「賃金全額払の原則」は、労働者
の賃金債権に対しては、使用者は、使用者が労働者に対して有する債権を
もって相殺することを許されないとの趣旨を包含するものと解するのが相当
であるが、その債権が当該労働者の故意又は過失による不法行為を原因とした
ものである場合にはこの限りではない、とするのが最高裁判所の判例である。
【 12-4-C 】
最高裁判所の判例によると、適正な賃金の額を支払うための手段たる相殺は、
労働基準法第24条第1項ただし書によって除外される場合に当たらなくても、
その行使の時期、方法、金額等からみて労働者の経済生活の安定との関係上
不当と認められないものであれば同項の禁止するところではない。
【 21-選択 】
賃金の過払が生じたときに、使用者がこれを精算ないし調整するため、後に
支払われるべき賃金から控除することについて、「適正な賃金の額を支払うため
の手段たる相殺は、〔…(略)…〕その行使の時期、方法、金額等からみて労働者
の( B )との関係上不当と認められないものであれば、同項(労働基準法第
24条第1項)の禁止するところではないと解するのが相当である」とするのが
最高裁判所の判例である。
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いずれも「賃金全額払」に関する最高裁判所の判例からの出題です。
で、【 18-2-B 】【 25-7-エ 】【 26-3-オ 】の判例は、使用者が
一方的に賃金を控除することは禁止されており、労働者に対して有する債権
と労働者の賃金債権とを使用者側が一方的に相殺することは認めないという
ことをいっています。
ただ、相殺について例外もあり、【 18-2-B 】にあるように、
「労働者がその自由な意思に基づき当該相殺に同意した場合」
には可能となります。
ですので、【 18-2-B 】と【 25-7-エ 】は正しいです。
そこで、【 26-3-オ 】で、「この限りでない」と相殺が許される記述が
あります。
【 18-2-B 】の場合とはまったく異なる場合になりますが、この場合は、
相殺は認められません。
最高裁判所の判例では、
「労働者の賃金債権に対しては、使用者は、使用者が労働者に対して有する
債権をもって相殺することを許されないとの趣旨を包含するものと解するのが
相当である。このことは、その債権が不法行為を原因としたものであっても
変りはない」
としています。
つまり、労働者の不法行為を理由とする損害賠償債権との相殺の場合であっても、
使用者による一方的な相殺は賃金全額払の原則に違反することになります。
とういうことで、【 26-3-オ 】は誤りです。
【 27-4-B 】【 12-4-C 】【 21-選択 】は、別の判例からの出題です。
これらの判例では、使用者側の一方的な相殺は認めないけど、例外もあるという
ことをいっていて、【 12-4-C 】は正しいですが、【 27-4-B 】は誤り
です。
「過払いした賃金を精算ないし調整するため、後に支払わるべき賃金から控除
すること」、これは、適正な賃金の額を支払うための手段たる相殺のことであり、
【 12-4-C 】にあるように、その行使の時期、方法、金額等からみて労働者
の経済生活の安定との関係上不当と認められないものであれば全額払の原則に
違反しません。
ですので、「少額である」ことのみをもって相殺が認められるわけではあり
ません。
それと、【 21-選択 】のBには、「経済生活の安定」が入ります。
この言葉は、これらの判例のキーワードといえるでしょう。
最近は、択一式、選択式、いずれについても判例が頻出です。
ですので、過去に出題された判例は確実に押さえておきましょう。
1度出題されたもの、このように繰り返し出題されることが多いですから。