百醜千拙草

何とかやっています

資本主義の終焉

2011-08-05 | Weblog

岩下俊三おじさん、愉快なブログを私も楽しんでいます。最近のエントリーで資本主義の終焉についての話があったので(http://blog.livedoor.jp/shunzo480707/archives/3885710.html)。

私も発展史観をある程度信じています。ここ十年を見ていると、歴史的必然として、資本主義は終焉し、社会、共産主義へと移行するというマルクスおじさんの予言がどうも当たりそうな気配です。今の日本やアメリカの社会はまるで資本主義の断末魔の声を聞いているようです。格差が広がり、金持ちは金を握りしめ、貧乏人は乏しい金を目指してあくせくしています。アメリカは借金に借金を積み重ねて何とか誤摩化してきましたが、こんな状態が長く保つはずがありません。

ソ連の崩壊をもって、「発展史観は誤りだ」みたいな議論がバブル時代にはありました。国民がつくられた景気に酔ってバカになっていたころです。ソ連が崩壊したのは、共産主義が地に足のついたものではなく、多分にイデオロジカルなものであったからでしょう。日本の高度成長期、官民が一体となって産業発展を目指し護送船団方式などと言われたころ、多分終身雇用がまだ一般的で、会社は社員にとって第二の家庭であったころ、その頃は人間の関係は現在よりはより緊密で(悪くいえばしがらみが多く)、しかしその分、社会の安定の下に個人の経済活動を置く社会主義的な面がありました。確かに高度成長期であったがために、この官僚制社会主義でやっていけました。ところが経済成長が止まり、これが成り立たなくなってきました。しかし、一旦、国民の税金をかすめ取る官僚組織は、その組織自己保存本能ゆえでしょうか、国の経済成長が止まってからも税金に対する食欲が衰えることはありませんでした。その上、コイズミ政権が押し進めた売国政策ですっかり定着した、金もうけ第一主義、人間という存在を、金もうけのために買ったり、捨てたりできる道具としかみないような市場原理主義がどうどうと跋扈する社会になり、こうして、官僚制社会主義は、官僚主義と市場原理主義に変化してしまいました。

今、国は飢饉で年貢を収められない国民からも消費税という逃れようのない税制を使って絞りとろうとしています。その国民は市場原理主義で二極化が進み、貧乏人は追いつめられ、金持ちは金を出し惜しみするようになりました。そこへ、未曾有の大災害が襲いかかったワケです。これでは、日本が以前のような形に「復旧」するワケがありません。近代戦後日本のシステムの崩壊はコイズミ政権の前からすでに着々と始まっていて、コイズミ政権がトドメの後押しをし、そしてそのペテンがばれて自民党が壊滅しました。その後、期待を受けた小沢-鳩山民主党が、自民党と検察やマスコミという権力を使った官僚組織の陰謀で潰されたあと、総理の座を火事場泥棒で手にいれた史上最低の無能で卑怯なナルシストのドアホが政権に居座るという最大不幸社会が訪れました。

そして、昨日、戦後最高1ドル76円という円高に達しました。日本がこの惨状であるのにこの円高ドル安、これは適切な日銀の介入がないからでしょう。市場介入してドル買いするというようなことを言っていますが、すべきはドル買いではなく、円を刷ることです。(とは言っても、刷らせてはもらえないのでしょうが)量的緩和で円高を止め、市場に円を流通させて経済刺激し、その刷った金を復興に当てるというあたり前のことをさせてもらえない、その結果が史上最高の円高です。そして、民主党、子供手当の廃止を決めたとのこと。この素人政党はもう潰れてもらうしかないですね。増税はするわ、手当は止めるわで、この政権は完全に自民党化してしまいました。

それはともかく、こうやって、日本の戦後を振り返ってみると、近い将来に起こるであろう日本の戦後資本主義の崩壊は歴史の必然であろうと思わざるを得ません。その崩壊の原因は官僚組織でしょう。高度成長が止まったあとも彼らのやってきたことは同じです。ちょうど、世界最大の航空会社PAN-AMがその贅沢体質の改善ができずに最後は零細貨物航空会社まで落ちぶれた挙げ句に消失したように、驕る平家が壇ノ浦に沈んだように、日本の官僚組織という自律性をもったバケモノが国家という体に巣食うガンのように、己が身と戦後日本を滅ぼすことになりそうな気がします。

多分、一旦、滅ぶことは日本にとって必要なことなのでしょう。イギリスが覇権を失い、ソ連が崩壊したように、生まれ変わるためには古いシステムは壊される必要があるのかも知れません。今の民主党執行部は、その日本の崩壊を促進する方向へまっしぐらに進めようとしています。(喜ぶべきか、悲しむべきか)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「組織」という化け物 | トップ | 大恐慌に備えて »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事