テニスコートと体育館と野球場などのスポーツ施設がある黄檗公園の植え込みに隠れて、この壊れた携帯電話があった。散歩する人の多い桜並木の遊歩道からは見えにくい場所なので、道から投げ捨てられたものではない。道の脇にハードテニスコートが二面あり、コート側の低い冬枯れの木の下だったから目立たない。
不審物には手を触れない。いじるにしても素手で持つようなことをせず、棒切れなどを見つけて使用するのが原則だ。この画像は発見したままを撮った真実写真。二つ折りのガラケーが折られて投げ捨てられていたのだから、さまざまなドラマを思い描くことができるだろう。
これを発見した半日程前、現場に六人で居合わせた。画像をしゃがんで撮ってから「犯罪のにおいがする」と私が言うのに対し、一人が「どこかの奥さんが『なによコレー』って壊したんやゎ」と膝を使ってバキッと折る仕草をした。あとの四人は自分たちの話に夢中で、私の行動に関心を寄せない。
どんなドラマがあったのだろう。私の興味行動に反応してくれたヒトの素早い答え、すぐさま出てきたリアルなシーンしか思い浮かばない。こういうのは早い者勝ちだ。最初にだされたインパクトのあるドラマが他の想像を阻んで、それしかないと居座る。捨て置かれたガラケーを修理して、画像データなどの個人情報を復元したりすることもあるのだろうか。犯罪がらみなら、さもありなん。触らぬ神に祟りなし。