ウチの前で解体が始まった。
ヤコボチかヤコボシと、古い人間が言ったのを聞いたことがある。
毀(こぼ)つという言葉があるから、家毀か屋毀と書くのだろう。
ウチのような田舎では、古い家を壊して新しく家を建てるには宅地の正確な測量をして境界をはっきりとさせなければならないそうだ。
公共用地とは別に4軒の他人地と自前の農地との境界を定めるのに40万円ほどの費用がかかったそうだ。
そうして新築したら固定資産税も上がる。
我が家のように築90年になろうという家は、固定資産税などわずかなもので、この古家が建っているからこそ宅地の固定資産税も割引がなされている。
壊したくても壊せないのが我が家。
前の御宅は、解体する力があるということ。
また、雪下ろしをする必要のない自然落下方式屋根の家が建つ。
ウチの古垣根で、ウチにふさわしいボケが咲き始めた。