goo blog サービス終了のお知らせ 

和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

やや賢くなる。

2010-02-17 | 短文紹介
文庫の本棚をみていて、探し物とは別の文庫を開いたりします。
昨日もありました。「辰濃和男の天声人語【人物編】」(朝日文庫)。
これおもしろかったのです。自然編と人物編とがあって、人物編ががぜん面白かった。
という印象があります。もうだいぶ以前に見たものでした。
と思って、文庫の発行年をみると1993年とあります。

さて、そこに福原麟太郎氏が登場しておりました。
それを読んで、たしか福原麟太郎の本を読もうと思ったのでした。
ということで、せっかくですから引用。


「【福原麟太郎随想全集】の第一巻が出版された。去年、86歳で亡くなった故人をしのびながらページをくっているうちに『失敗について』という達意の文章にひきこまれた。人生などというものは、失敗の連続なのだ。いくらでも失敗するがいい、とこの人生の達人はいう。そう、たしかに私たちの明け暮れは失敗の連鎖の中にある。己を顧みても、きょうは成功した、うまくいったという日は数えるほどしかない。失敗、失敗、失敗の記録だ。この表現はまずかった、ここは心配りが足りなかった、と数えあげるのが怖いぐらいである。福原さんはこういって励ましてくれる。『失敗をして立ち直ったときに、その人は新しい人になっている。立ち直れない人が本当の失敗者なのかも知れない。といっても私自身、たいして立ち直っているわけではない。相変わらず、何かしらへまなことをやっては、自ら口をぬぐってすませている程度だともいえようが、実際のところ、失敗すると、やや賢くなる』。・・・・」(’82・2・28)

たしか、このコラムを読んで、私は福原麟太郎氏の随筆を読んだのだと思うのでした。
ちなみに、「失敗について」は、福原麟太郎著「人生十二の知恵」(講談社学術文庫)にあります。

う~ん。探していた文庫は、その後すこしして見つかりました。
古い文庫本で、背表紙が読めずに探し出せないでいただけでした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする