毎日新聞2月2日の「今週の本棚」に
鶴見太郎著「座談の思想」(新潮選書)を
堀江敏幸氏が書評しています。
広範囲にわたる内容から、
どこを多めにとりあげているかを着目。
うん。この箇所でしょうか。
「・・・・しかしそこには、
三つ以上の声を集める配役と司会を担う
存在が必要になる。
座談会を看板企画に仕立て上げた
『文藝春秋』の創刊者菊池寛は、
その草分けのひとりだ。
参加者を巧みに組み合わせ、
殺伐とした空気にならないよう、
また専門知識のない読者でも
理解できる言葉を念頭に置きながら、
菊地は1927年3月号の、
芥川龍之介、山本有三をまじえた
『徳富蘇峰氏座談会』を皮切りに、
長谷川如是閑、幸田露伴、里見らを
登用した印象深い出会いの場を提供し続けた。
一方通行や質疑応答に終らない往還のある言葉が、
単発の論文からは生まれることのない
豊かな思考のうねりを導く。
馴れ合いとは別種の、
緊張感に満ちた相互信頼が
そこにあった。
ただし、事前のシナリオなしで
進んで行くこの自由な空気は、
戦中の抑圧と相容れなかった。
長谷川如是閑の、時流におもねらず
『本来の意味での中立を保つ』姿勢と、
それをわずかな言葉で支持しつつ
話を進める菊地の司会。
戦中戦後は、
話し手の見極めと確保が難しくなって
企画そのものが減っていくのだが、
その推移から逆に、
座談会になにが必要であったかを
炙り出す筆者の筆もまた、
『本来の意味での中立』を
うまく保っている。」
うん。鶴見太郎の他の著作を
読んでみたくなります(笑)。
鶴見太郎著「座談の思想」(新潮選書)を
堀江敏幸氏が書評しています。
広範囲にわたる内容から、
どこを多めにとりあげているかを着目。
うん。この箇所でしょうか。
「・・・・しかしそこには、
三つ以上の声を集める配役と司会を担う
存在が必要になる。
座談会を看板企画に仕立て上げた
『文藝春秋』の創刊者菊池寛は、
その草分けのひとりだ。
参加者を巧みに組み合わせ、
殺伐とした空気にならないよう、
また専門知識のない読者でも
理解できる言葉を念頭に置きながら、
菊地は1927年3月号の、
芥川龍之介、山本有三をまじえた
『徳富蘇峰氏座談会』を皮切りに、
長谷川如是閑、幸田露伴、里見らを
登用した印象深い出会いの場を提供し続けた。
一方通行や質疑応答に終らない往還のある言葉が、
単発の論文からは生まれることのない
豊かな思考のうねりを導く。
馴れ合いとは別種の、
緊張感に満ちた相互信頼が
そこにあった。
ただし、事前のシナリオなしで
進んで行くこの自由な空気は、
戦中の抑圧と相容れなかった。
長谷川如是閑の、時流におもねらず
『本来の意味での中立を保つ』姿勢と、
それをわずかな言葉で支持しつつ
話を進める菊地の司会。
戦中戦後は、
話し手の見極めと確保が難しくなって
企画そのものが減っていくのだが、
その推移から逆に、
座談会になにが必要であったかを
炙り出す筆者の筆もまた、
『本来の意味での中立』を
うまく保っている。」
うん。鶴見太郎の他の著作を
読んでみたくなります(笑)。