和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

珍無類の迷文で。

2014-02-12 | 短文紹介
新聞のエッセイをパラパラと読むように、
外山滋比古著「人生複線の思想」(みすず書房)を
順不同で見ていたら、
あれ、未読箇所がなくなりました(笑)。

鶴見太郎著「座談の思想」を読んでから、
気になっていたのが菊池寛の座談でしたが、
外山さんのこの本にも登場しておりますので、
引用させてもらいます。
「球面論理」と題されている文のはじまりは、

「座談会というものがはじめて雑誌にのったのは
菊池寛の『文藝春秋』である。・・・」

あとは、肝心な箇所を引用。

「座談会形式の生まれたころの綜合雑誌の巻頭論文などは
珍無類の迷文でだれにもよくわからない。
一般読者はわからなくとも[すごい]と感心していれば
よいから気が楽である。執筆者にしても論理という
ことを考えるゆとりがなかったのかもしれないが、
心ならずも難解な文章になってしまったのであろう。
啓蒙期の苦悩である。
そういう壁に風穴をあけたのが座談形式である。
闇夜にコウモリの飛ぶような文章に苦しんでいた
読者が歓迎したのは当然だが、そこにかくれている
独創に思い及ばなかったのは是非もないことであった。
すぐれたものは
すべて外国からやってくると信じている社会では、
世界にさきがける新しい考えが生まれても、
認める用意がないのである。」(p58)

これ以降が本題なのですが、
とりあえず、私が気になった箇所を引用しました。


長屋の住人が外山滋比古大家さんに
お話を聞かせてもらいに行ったようで
内容のある味わいをさらりと聞けて、
何とも楽しい(笑)。
コメント
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