和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

当り前のことなんだ。

2018-07-06 | 本棚並べ
新刊で文庫を買いました。
大岡信・谷川俊太郎対談の「詩の誕生」(岩波文庫)。
これ未読でした。

パラリとひらくと、大岡氏が正法眼蔵に触れておられる。
うん。その箇所だけでも引用しておきます。


「学校ではたとえば中世の草庵文学というと、
方丈記とか徒然草は教えるけれども、
正法眼蔵随聞記なんてのは入ってこないでしょう。
ところがこれを読んでみると実におもしろいし、
さらに道元自身が書いた正法眼蔵を読んでみると、
わからないことはいっぱいあるけれども、
その文体には打たれるわけだね。
すごい力があり、緊張がある。

こういう散文が千年近く前に書かれていたってことは
驚くべきことだが、それを読んで発見した僕にとっては、
これはいま隣で生じつつある出来事になるわけだね。
なぜ日本の詩人は、もっとそういうものを
無心に読んでみないのかと、前から不思議に思っていた。
だけどそういうことを言うのは、なんとなく具合が悪いんだよ。
当り前なことなんだからな。
だから、僕はこれを読んでここがおもしろいと思いました、
ということだけを書こうとしてきたわけだ。
いずれにしても何百年も昔の人の書いたことが
現在の自分とつながってくるという感じはあるんだ。」


さてっと、
たとえば、学校で正法眼蔵随聞記や正法眼蔵を
教えるようになるのは、いつか、などと思ってみます。
きっと、この「詩の誕生」を読んだ方が、次に読みはじめれば。
うん。いつかそれが「当り前のこと」になるんだと、
私は思うのでした。


コメント
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