一度読んだだけでは、駄目ですね。
というのを、思うことしきり(笑)。
はい。読んでもきれいに忘れる自分。
それでしだいに、本には読み頃がある。
と、思ってみたくなる誘惑にかられる。
読後、改めて読み頃の熟成を待つ本棚。
それはそうと、暑いので詩を引用。
手紙 田村隆一
Y君から手紙がきた。
ケネディの切手が貼ってある。
アメリカ中西部の大学町。
・・・・・
・・・・・
田村さんが住んでいたアパートのあたりまで散歩しました、
とある。
ぼくが住んでいたアパート。
それはもうぼくの瞼のなかにしかない。
いくら雪のふる夜道を歩いていっても、
Y君にはたどりつけるはずがないのだ。
ちなみに、これは田村隆一詩集「新年の手紙」(青土社)
にはいっております。
この詩集のはじまりの詩も引用しちゃえ(笑)。
こちらは全文。
村の暗黒 田村隆一
麦の秋がおわったと思ったら
人間の世界は夏になった
まっすぐに見えていた道も
ものすごい緑の繁殖で
見えなくなってしまった。
見えないものを見るのが
詩人の仕事なら
人間の夏は
群小詩人にとって地獄の季節だ
麦わら帽子をかぶって
痩せた男があぜ道を走って行く
美しい詩のなかには
毒蛇がしかけてあるというから
きっとあの男も蛇にかまれないように
村の小宇宙を飛んでいるのだ
というのを、思うことしきり(笑)。
はい。読んでもきれいに忘れる自分。
それでしだいに、本には読み頃がある。
と、思ってみたくなる誘惑にかられる。
読後、改めて読み頃の熟成を待つ本棚。
それはそうと、暑いので詩を引用。
手紙 田村隆一
Y君から手紙がきた。
ケネディの切手が貼ってある。
アメリカ中西部の大学町。
・・・・・
・・・・・
田村さんが住んでいたアパートのあたりまで散歩しました、
とある。
ぼくが住んでいたアパート。
それはもうぼくの瞼のなかにしかない。
いくら雪のふる夜道を歩いていっても、
Y君にはたどりつけるはずがないのだ。
ちなみに、これは田村隆一詩集「新年の手紙」(青土社)
にはいっております。
この詩集のはじまりの詩も引用しちゃえ(笑)。
こちらは全文。
村の暗黒 田村隆一
麦の秋がおわったと思ったら
人間の世界は夏になった
まっすぐに見えていた道も
ものすごい緑の繁殖で
見えなくなってしまった。
見えないものを見るのが
詩人の仕事なら
人間の夏は
群小詩人にとって地獄の季節だ
麦わら帽子をかぶって
痩せた男があぜ道を走って行く
美しい詩のなかには
毒蛇がしかけてあるというから
きっとあの男も蛇にかまれないように
村の小宇宙を飛んでいるのだ