鴨長明『発心集』上の現代語訳をめくっていたら、
『讃岐の国の源太夫がにわかに発心し、往生した事』(p320~323)
というのが載っておりました。
そういえばと、岩波少年文庫の杉浦明平
『遠いむかしのふしぎな話 今昔ものがたり』をとりだす。
この一番最初が『悪人往生』と題して、
この讃岐の国の源太夫の話になっておりました。
うん。鴨長明『発心集』と「今昔物語集」とが
この話を、どちらの選者も選んでいたことになります。
そして、杉浦明平氏は少年文庫の一番最初にもってきておりました。
どうもこの話は当時の人々にとっては印象深く、
有名な語り草になっていたのかもしれないなあ。
ちなみに、岩波少年文庫のこの『今昔ものがたり』を、
わたしは、最初の文だけを読んでおしまいにしておりました。
その最初の数ページが、何十年かたって『発心集』と結びつくとは。
ちなみに、この岩波少年文庫のさし絵は、太田大八。