和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

大震災と津波の誤情報

2024-09-19 | 地震
「安房郡の関東大震災」をテーマに、記録をひらいていると、
津波の誤情報があったことがわかります。

うん。今なら、地震があったら津波とすぐに思い浮かべるわけですが、
地震が頻発するたびに、津波情報が多発されるとどうなるのか。
余震が多発するさいに、津波情報も多発されればどうなるのか。

そういうことを実際に思うに際し、歴史的な関東大震災の場合、
安房の記録が語る当時の地域歴史の輪郭が浮き彫りになります。

「・・当時食糧不足、暴徒襲来、海嘯(津波)起るの
 流言蜚語至る處に喧伝され人々の不安は今から考へれば
 悲壮の極みであった。・・・ 」
    ( p894 「大正大震災の回顧と其の復興」上巻 )

ここで注意したいのは、流言蜚語の中には
『海嘯起る』もはいっていることなのです。

その不安は、こう表現されておりました。

「 余震は頻々(ひんぴん)として来り、
  海嘯の噂は頻々として起り、
  不逞漢襲来の叫は頻々として伝へられ、
  
  人心は不安と恐怖とに襲はれて殆んど生きた心地もなく、
  平静の気合は求めようとして求められず唯想像力のみ
  高潮して戦々兢々として居た時であった。  」


こうして、当時の館山町役場報には、震災の翌日の9月2日夕刻に
『戒めの語り草』として、津浪襲来の噂を勘違いして
「町全体は混沌として名状すべからざる状態に陥ってしまった」
という記述があり、そのしめくくりには、こうあるのでした。

「毎年9月1日の震災記念日には、何時も老若男女の戒めの語り草として
 永遠に云ひ伝らるべき悲惨な珍話となっている。 」
      ( p771~773 「大正大震災の回顧と其の復興」上巻 )

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 急がば回れ。 | トップ | 海嘯は最早来ない心配ない。 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

地震」カテゴリの最新記事