和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

あとから、あとから。

2022-10-26 | 本棚並べ
苅谷夏子著「大村はま 優劣のかなたに」(ちくま学芸文庫)を読み。
うん。これから、大村はまを読もうと思いまして、次に読んだのが
大村はま著「新編教えるということ」(ちくま学芸文庫)でした。
こちらは、大村はまさんの4つの講演がまとめられた一冊でした。

はい。講演なのでスラスラと読めちゃうのですが、
読み終わるとスラスラと忘れてしまいます(笑)。
右耳から入った言葉が、左耳からぬけてしまう。

うん。それでも、最初の講演だけは、また今度読み直して
みたいと思いました。文庫版のあとがきで大村はまさんは、
その最初の講演のことをふりかえっております。

1970年8月、富山県小学校新規採用教員研修会での講演。
そこでの「教えるということ」が、そのまま文庫の題名となっております。

うん。ここにはこの講演の前段階での大村はまさん。
それをご自身の言葉で引用しておきます。

「私はそれまで国語科の研究会では
 授業や話をさせていただいたことはありましたが、
 ・・枠を出てというか、広げて、教師としての歩みなり
 生き方について、また、教育について、教育者について、
 講演という形で話したことがありませんでしたので、
 島村指導主事の熱心なおすすめで、承知はしたものの、
 不安でいっぱいでした。

 いよいよその日が来て出発しても、
 まだ何を話すかがきまらず、車中でもメモ帳を前に、
 今まで歩いてきた跡を振り返りながら、自分で自分を確かめながら、
 そのまま富山に着いてしまいました。

 ・・・初版のあとがきに、こう書きました。
 『会場は、いかにも若々しく、初々しい、溌溂とした
  気分が満ちていました。皆さんを前にして立ったとき、
  いかにも後輩という、さらに、弟、妹という気持ちがいたしました。』

  実感でした。つづけて、
 『急に心がほぐれて、らくな気持ちになり、
  一時間あまり、楽しくお話ができました。』
 と書きついでいますが、ほんとうに、
 あとからあとからお話がわいてきました。 」(p232~233)


うん。「お話がわいてきました」とあります。
あとからあとから湧いてくる話を、ここに断片引用する野暮。
ここは、この講演全体の雰囲気を味わいたい。と思いました。

うん。それにしても、はじめての読者にこう思わせる。
ということに、何だか秘密が隠されてそうな気になる。
ということで、これから全集をひらきはじめることに。

大村はま(1906年横浜生まれ~2005年亡くなる)。



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