安野光雅・藤原正彦対談「世にも美しい日本語入門」
( ちくまプリマ―新書・2006年 )
この新書の最後に、引用作品一覧が載っていました。
安野光雅関連では
芥川也寸志編纂、安野光雅画「歌の絵本—日本の唱歌より」講談社1977年
安野光雅著「大志の歌」童話屋2005年
安野光雅著「絵本歌の旅」講談社2005年
なんて絵本が並んでおりました。
唱歌を、絵で表現するっていうのが何だか気になるので
とりあえずは、一番最初の本を注文しておきました。
さて、この新書のなかに
安野】 唱歌は学校で習い、童謡はラジオなどから流れてくる。
でも、私が子どもの頃は、ラジオはたくさんありませんでした。
・・・この二つ(唱歌と童謡)は、うがった見方をすると、
経済問題が背景にあったんじゃないかと思います。
文部省唱歌は学校で習うものですから、それが広く歌われたところで、
誰も儲かるものはいません。あれほど広く歌われても
印税問題はありませんし、作者不詳の世界なのです。
しかし童謡は、レコードとか、作詞者の印税、歌手の印税など、
いろいろな商業的な問題がありますので、いきおい流行(はや)
らせる手だてということも考えたのではないでしょうか。 (p96)
うん。この新書の第五章は、全部引用しておきたくなるのですが、
こらえて(笑)。あと一か所引用しておくことに。
・・・・安野先生は唱歌の本を前にも作られていましたが。
安野】 芥川也寸志(やすし)さんと編集した
『 歌の絵本ーー日本の唱歌より』がそれです。
芥川さんは懐かしいですね。あの人は思ったより進歩的で、
『藤村(とうそん)の『朝』なんかいいじゃない』と言うと、
『あれは国民歌謡の手あかがついているから』と言うので敬遠しました。
また、『 あれ松虫がないている 』と歌う
『 虫の声 』が好きだと言っていました。
むかし長谷川一夫が大石良雄に扮したNHKのドラマ
『赤穂浪士』のテーマ曲を彼が作曲しました。
『 よーくきいてごらん、〈月の砂漠〉の変奏曲の部分があるから 』
というので聞いてみると、なーるほど
〈 月の砂漠 〉のメロディが感じられるところがありました。
藤原】 先生のあの本はまた絵がいいです。
安野】 ありがとうございます。やはり唱歌は、
題材としてはいいけれど、絵を描くには意外と問題があるのです。
絵と音楽は違うものなので、歌詞の内容を絵解きしても始まらないし、
もともとできない相談だと思った方がいいんです。・・・
( p99~100 )
はい。というわけで、『 歌の絵本ーー日本の唱歌より 』を
古本でさっそく注文しちゃいました(笑)。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます