森岡督行著「荒野の古本屋」(小学館文庫・2021年1月)が古本で200円。
題名に惹かれて買いました。
パラリと、3章『「森岡書店」の日々』から読み始める。
茅場町で古本屋をはじめるのですが、売れない。
その心境を語られます。
「あるとき・・街の姿がいつもと違って見えた。
アスファルトは乾いた土の大地。ビルは赤茶けた岩山。
電柱は灌木。すなわち、見渡すかぎりの荒れ地。・・・・
私はそこに古本屋を開いてしまった。これでは、
昔の映画のタイトルではないが、まるで『荒野の古本屋』である。」
(p164)
それから、書店、ギャラリー、スタジオという仕事のあり方を
作り上げてゆくのでした。
荒野といえば、「2011年3月11日と写真展」「震災後再出発」
という箇所が続くのでした。ちなみに、
「文庫版の長いあとがき」は
「東日本大震災後・・」とはじまっているのでした。
う~ん。そういえばと本棚を捜して、
幅允孝著「幅書店の88冊 あとは血となれ、肉となれ」を
ひらいてみる。こちらは表紙カバーが青で、見返しの
きき紙と遊びが黄色。うん。なんだかアンリ・マティスの
切り紙絵の鮮やかな色彩を彷彿とさせます。
ということで、私はその表紙カバーでもって印象に残っていた一冊。
この幅允孝(はば・よしたか)さんの本は第1刷発行が
2011年6月23日となっておりました。その青いカバーの本の最後の
ページには、『図書館 愛書家の楽園』という本からの引用が4行。
「 本を読む人の美点は、情報収集力にあるのではない。
また、秩序だて、分類する能力にあるわけでもない。
読書を通じて知ったことを、
解釈し、関連づけ、変貌させる才能(ギフト)にこそある。」
う~ん。この青いカバーの本の「はじめに」は
こんな風にしてはじまっているのでした。
「 少なくとも僕にとっては、本を読むこと自体が目的ではない。
その読書が、どう自らの日々に作用し、いかに面白可笑しく
毎日を過ごせるかの方が重要だと思っている。言い換えると、
本よりも人間や毎日の生活の方が好きなのだ。・・・」
はい。森岡督行著「荒野の古本屋」
幅允孝著 「幅書店の88冊」
この2冊を並べて本棚に置くことに。
すこししたら、忘れて何でこの2冊が並んでいるのかなあ、
そう思うのだろうなあ(笑)。
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