和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

粗末にしてはいけない価値

2023-06-29 | 短文紹介
山口仲美著「日本語が消滅する」(幻冬舎新書・2023年6月30日発行)。
はい。パラパラとひらくのですが、本文の最後の方にある、ここを引用。

「 日本語は、音節言語で極めて発音しやすく、外国人も学びやすい。
  のみならず、ほとんど母音で終わる開音節性で、響きの美しい言語でした。

  さらに、重要な役割を持った語を後ろに配するという一貫性のある
  文の構造をしていましたね。

  そして、常に相手の遇し方に気を配り、
  敬語という特別な言語形式を持っていましたね。

  しかも、相手との心理的な距離によって臨機応変に言語形式を変える
  というユニークな相対敬語の言語だったではないですか。

  また、ひらがな・カタカナという、世界にたった一つしかない
  文字を千年以上も使い続けていましたね。
  文章は、漢字にひらがな・カタカナを交ぜて記し、この上なく
  意味のとりやすい効率的な様式を採用していました。

  そして、語彙の豊かさにかけては、世界のトップクラス。
  とくに、心理を表す語彙は、極めて豊富。

  さらに、概して、漢字は漢語を、ひらがなは和語を、
  カタカナは外来語や擬音語・擬態語を表すというぐあいに、
  文字で語の出自(しゅつじ)や性質まで区別している。

  おまけに、フリガナまで動員して、意味の豊かさを追求する。
  こんな面白い言語が、どこにあるでしょうか?
  世界中探したって、日本語以外には見つかりません。

  独自性を持った言語ほど、人類の進歩に役に立ちます。
  日本語は、粗末にしてはいけない価値を持っている言語です。

  どうか、そのことに気づいてください。こうした特色を持った
  日本語に支えられて、日本独自の文化が生まれているのです。

  奈良時代にはすでに、他の言語では決して真似できない
  短歌という独自の文学形態を生み出し、

  平安時代には、世界の人に読んでもらえるような
  巧みな心理描写を駆使した傑作を誕生させています。

  現代だって、日本語の特質であるオノマトペをふんだんに使った
  コミックで、世界中の若者たちを魅了しているではありませんか。

  日本人自身が、日本語に対する積極的な価値を見出し、誇りと
  自信を持って守らなければ、誰も日本語を守ってはくれないのです。
  言語学者のデイヴィッド・ハリソンさんは、こう言い切っています。
 『 私が確信していることはただ一点、言語が外部の人間によって
   【 救われる 】ことはありえないということだ  』。
  日本人が日本語を守らなければ、日本語は消滅するのです! 
  そして、日本語を子供たちに喜んで教えてあげてください。・・ 」

                         ( p271~272 )


はい。分かりづらかった『ユニークな相対敬語の言語』とか
そして『音節言語』とかの具体的紹介は、各章で触れられておりました。
うん。私のパラパラ読みはここまで。
はい。私の受け取ったメッセージは引用したこの箇所でした。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« つつましく決意に満ちた | トップ | はじめての宮澤賢治童話 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (水仙)
2023-06-30 17:23:37
日本語の素晴らしさが余すところなく書かれていて、読ませてもらっても大変嬉しい記事でした。
返信する
おはようございます。 (和田浦海岸)
2023-07-01 08:48:15
おはようございます。水仙さん。
コメントありがとうございます。

言葉のバトンということを思いました。
山口仲美さんのこの新書をひらいていたら、
引用されている本の
『亡びゆく言語を話す最後の人々』が
読みたくなり古本で注文することに。

また、機会があれば、
そこからも引用したいと思います。
返信する

コメントを投稿

短文紹介」カテゴリの最新記事