齋藤美和編「編集者 齋藤十一」(冬花社・2006年)は
私のなかでは、印象鮮やかな一冊でした。
新潮社の名編集者・齋藤十一氏が亡くなって、
その弔辞からはじまり、追悼文がまとめられている本です。
これを読んで、グレン・グールドを聴かなきゃ、と思った(笑)。
読んだときは、常に本棚のすぐ手にとれる箇所に置いておこう、
そう思っておりましたが、今は本棚の隅に移動しておりました。
さてっと、先ごろ、新聞広告で
森功著「鬼才 伝説の編集人齋藤十一」(幻冬舎・2021年1月)を
知りました。うん。ちょっと気になるので、ちょっと買いました。
坐ってパイプをくゆらせている、晩年の横顔の写真が表紙でした。
追悼文集「編集人 齋藤十一」は、印象鮮やかなのですが、
こちらは、時系列に齋藤十一を追いながら、新潮社の事件を
取り込み、齋藤氏のセリフの楽屋裏が整理されておりました。
「齋藤さんは、編集者は絶対に表に出ちゃいけない、
黒子であるべきだという意識が強かった。」(p203)
こうして、また「黒子」に焦点が合わさった一冊が出ました。
うん。齋藤さんのセリフは「編集者齋藤十一」に満載なので、
ここでは、パラリとひらいたこの箇所だけ引用して終ります。
「齋藤十一は新潮社の幹部社員たちに向け、出版について
多くの警句を残してきた。その一つがこうだ。
『誰が書くかは問題じゃない。何を書くかだよ』
・・・・・・
『なに言ってるんだ、あたりまえじゃねえか。
探すんだよ、書き手を』 」(p212~213)
はい。今度は、この2冊並べて本棚に。
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