山梨県山岳連盟の山岳レインジャー活動は、山岳連盟に所属している山岳会に山梨県から依頼を受けて稀少植物の調査、パトロール、保護を行う活動である。レインジャーというと登山者の保護・救助のように思われがちだが、そうではない。私が所属する嶺朋クラブも年に6回前後この活動に参加しているのだが、1泊2日の高山植物調査が多く組み込まれており日程的に今年は全く参加できなかった。今回は日帰りで行ける山の調査なので私が担当して行くこととなった。
秋雨前線の影響でこの日も天候が悪く、登山口に到着すると小雨が降っていた。カッパを着て出発する。今年から新しい道が切り開かれたようでそちらの新道を歩いてみることにした。

今日も天気が悪い。

林道脇に1輪だけ赤い花の蕾。

今年から新たに出来た登山道。あまり歩かれている様子は無い。

小型のブルドーザーで切り開いたような立派な道が通っている。

登山道脇にコメナモミ(キク科メナモミ属)。

ヤマハッカ(シソ科ヤマハッカ属)

ヤマハッカ群落。ヤマハッカ、イヌヤマハッカ、コウシンヤマハッカは毎度図鑑で調べても区別が難しい。

登山道脇にちらほらと咲いていたコシオガマ(ゴマノハグサ科シオガマギク属)。

カヤト野原に抜け出た。
樹林帯の中の切り開かれた良い道を抜け出るとカヤト野原の稜線に出た。雨は止んだが霧で視界が悪い。雨で濡れた草をかき分けながら山頂に向かって進む。

ヒキオコシ(シソ科ヤマハッカ属)

カヤト野原の中に生えているアザミはほとんどがこれ。

ノアザミ

ハバヤマボクチ(キク科ヤマボクチ属)。オヤマボクチとの違いは葉の縁に荒い鋸歯があること。

ボタンヅルの実

似ているが、こちらはクサボタンの実

マツムシソウ。そろそろ終わり。

フシグロは刈られたのか、それとも食われたのか?上部が無い。

落花しているキバナアキギリ。残った萼の奥に丸い種を付けている。

最後の急登は滑りそうで怖い。

山頂に咲き残っていたヤクシソウ。中腹にはもっと大きな株がちらほらと咲き残っていた。
2時間半かかって山頂に到着し、昼食となる。雲行きが怪しいうえに調査で時間がかかるので、小休止したのみで出発し、別ルートで下りる。

今年はまだリンドウが咲いていない。

大きなタムラソウ。ずいぶん数が減ったように思う。

大株のコシオガマ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
さて、ここからが今回の調査対象となっていた花たちだが、この山域におそらくは生育しているだろうと思われるアザミの仲間も今回は念入りに見て回った。

ようやくお目見えのムラサキセンブリはまだ蕾。稜線上の草むらにあったものは消失してしまったようで、全く発見できず。

もうすぐ咲きそうな紫の君。

本日一番の大株主。花付きは良さそうだが背の高い大株はほとんど見かけなくなってしまった。

一株だけ咲いていたムラサキセンブリ。

この紫色の美しさは中毒になる。
1種類目はムラサキセンブリ(絶滅危惧種Ⅱ類)の調査。年々数を減らしているように見えるムラサキセンブリは、かつて大株が生えていた稜線の登山道脇草地では見かけなくなってしまった。その場所はこの花と富士山を撮影するのに好適地だったために、写真家によって草地が刈られたり押し倒されたりしていた。おそらくそのような環境の変化で消滅した可能性が高いと思っている。背の高い株は目立つので鹿に食べられた可能性もある。今では背の低いものしか残っていないのは残念である。

まだ咲き残っていたヒナノキンチャク。この花は下から結実して行き、花期が長いようだ。

葉が黄色くなった株は花が終わっていて下部の種が既に落ちている。種蒔きするには良さそうだ。

路面補修で削られてしまい、8月には見つけられなかった場所でも咲いている株を発見することが出来た。奥の草地のほうに逃げるように咲いていた。
2種類目はヒナノキンチャク(絶滅危惧種ⅠA類)。 8月に見に来た時には生育地だった道脇が修復工事のために削り取られて壊滅的な打撃を受けているように見えた。削り残ったごく限られた場所でしか発見できなかったが、今回探してみると、前回発見できなかった場所の削り残った奥のところに、数は少ないながら咲いているのを確認できた。今年は狭い面積に数多く咲いているように見受けられ、工事が無ければ当たり年だったのではないだろうか。
そしてこちらが探していたアザミの仲間だが、おそらくこらが目的の花だと思うのだが確信は持てず。そのほかに一株だけだが珍しいアザミに出会うことが出来た。

山頂付近で発見したアザミの仲間。葉先が尖っていて基部が鉾型、おそらく探していたコウシュウヒゴタイ(キク科トウヒレン属、絶滅危惧種ⅠA類)だと思う。

林の中で発見した別株。細毛が少なくヤハズヒゴタイでは無いと思うが、まだ探し始めたばかりで確信は持てず。タカオヒゴタイとの区別も不明。

上部が消失しているが、これなどはコウシュウヒゴタイで間違いないのではないかと思う。

そしてもう1種類、驚きの出合いだったのがこれ。セ・イ*タ・カ・トウ*ヒレン(キク科トウヒレン属)。

前日にネットで調べていたのでそれとわかったが、私の持っている図鑑には載っていない代物。
背高*トウヒ・レンは山梨県絶滅危惧種には入っていない植物であるが、おそらくは存在自体があまり知られていない花なのだと思う。
鹿の食害と環境の変化で植生の変化が著しいこの山の草地は残念ながら地権者の権利が優先されて保護は難しい場所である。植生の変化の観察だけでも毎年訪れてみたいと思う。
(花の名前など間違っているものが多々あるかと思います。ご指摘いただければ幸いです。)
秋雨前線の影響でこの日も天候が悪く、登山口に到着すると小雨が降っていた。カッパを着て出発する。今年から新しい道が切り開かれたようでそちらの新道を歩いてみることにした。

今日も天気が悪い。

林道脇に1輪だけ赤い花の蕾。

今年から新たに出来た登山道。あまり歩かれている様子は無い。

小型のブルドーザーで切り開いたような立派な道が通っている。

登山道脇にコメナモミ(キク科メナモミ属)。

ヤマハッカ(シソ科ヤマハッカ属)

ヤマハッカ群落。ヤマハッカ、イヌヤマハッカ、コウシンヤマハッカは毎度図鑑で調べても区別が難しい。

登山道脇にちらほらと咲いていたコシオガマ(ゴマノハグサ科シオガマギク属)。

カヤト野原に抜け出た。
樹林帯の中の切り開かれた良い道を抜け出るとカヤト野原の稜線に出た。雨は止んだが霧で視界が悪い。雨で濡れた草をかき分けながら山頂に向かって進む。

ヒキオコシ(シソ科ヤマハッカ属)

カヤト野原の中に生えているアザミはほとんどがこれ。

ノアザミ

ハバヤマボクチ(キク科ヤマボクチ属)。オヤマボクチとの違いは葉の縁に荒い鋸歯があること。

ボタンヅルの実

似ているが、こちらはクサボタンの実

マツムシソウ。そろそろ終わり。

フシグロは刈られたのか、それとも食われたのか?上部が無い。

落花しているキバナアキギリ。残った萼の奥に丸い種を付けている。

最後の急登は滑りそうで怖い。

山頂に咲き残っていたヤクシソウ。中腹にはもっと大きな株がちらほらと咲き残っていた。
2時間半かかって山頂に到着し、昼食となる。雲行きが怪しいうえに調査で時間がかかるので、小休止したのみで出発し、別ルートで下りる。

今年はまだリンドウが咲いていない。

大きなタムラソウ。ずいぶん数が減ったように思う。

大株のコシオガマ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
さて、ここからが今回の調査対象となっていた花たちだが、この山域におそらくは生育しているだろうと思われるアザミの仲間も今回は念入りに見て回った。

ようやくお目見えのムラサキセンブリはまだ蕾。稜線上の草むらにあったものは消失してしまったようで、全く発見できず。

もうすぐ咲きそうな紫の君。

本日一番の大株主。花付きは良さそうだが背の高い大株はほとんど見かけなくなってしまった。

一株だけ咲いていたムラサキセンブリ。

この紫色の美しさは中毒になる。
1種類目はムラサキセンブリ(絶滅危惧種Ⅱ類)の調査。年々数を減らしているように見えるムラサキセンブリは、かつて大株が生えていた稜線の登山道脇草地では見かけなくなってしまった。その場所はこの花と富士山を撮影するのに好適地だったために、写真家によって草地が刈られたり押し倒されたりしていた。おそらくそのような環境の変化で消滅した可能性が高いと思っている。背の高い株は目立つので鹿に食べられた可能性もある。今では背の低いものしか残っていないのは残念である。

まだ咲き残っていたヒナノキンチャク。この花は下から結実して行き、花期が長いようだ。

葉が黄色くなった株は花が終わっていて下部の種が既に落ちている。種蒔きするには良さそうだ。

路面補修で削られてしまい、8月には見つけられなかった場所でも咲いている株を発見することが出来た。奥の草地のほうに逃げるように咲いていた。
2種類目はヒナノキンチャク(絶滅危惧種ⅠA類)。 8月に見に来た時には生育地だった道脇が修復工事のために削り取られて壊滅的な打撃を受けているように見えた。削り残ったごく限られた場所でしか発見できなかったが、今回探してみると、前回発見できなかった場所の削り残った奥のところに、数は少ないながら咲いているのを確認できた。今年は狭い面積に数多く咲いているように見受けられ、工事が無ければ当たり年だったのではないだろうか。
そしてこちらが探していたアザミの仲間だが、おそらくこらが目的の花だと思うのだが確信は持てず。そのほかに一株だけだが珍しいアザミに出会うことが出来た。

山頂付近で発見したアザミの仲間。葉先が尖っていて基部が鉾型、おそらく探していたコウシュウヒゴタイ(キク科トウヒレン属、絶滅危惧種ⅠA類)だと思う。

林の中で発見した別株。細毛が少なくヤハズヒゴタイでは無いと思うが、まだ探し始めたばかりで確信は持てず。タカオヒゴタイとの区別も不明。

上部が消失しているが、これなどはコウシュウヒゴタイで間違いないのではないかと思う。

そしてもう1種類、驚きの出合いだったのがこれ。セ・イ*タ・カ・トウ*ヒレン(キク科トウヒレン属)。

前日にネットで調べていたのでそれとわかったが、私の持っている図鑑には載っていない代物。
背高*トウヒ・レンは山梨県絶滅危惧種には入っていない植物であるが、おそらくは存在自体があまり知られていない花なのだと思う。
鹿の食害と環境の変化で植生の変化が著しいこの山の草地は残念ながら地権者の権利が優先されて保護は難しい場所である。植生の変化の観察だけでも毎年訪れてみたいと思う。
(花の名前など間違っているものが多々あるかと思います。ご指摘いただければ幸いです。)