山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

山岳連盟主催の稀少植物調査、および鹿の食害調査会 県南部の山へ  平成28年9月17日

2016年09月18日 | 花・花・花
 昨年県南部の沢の奥深くで見つけたジョウロウホトトギスは今後どのように取り扱うかはまだ全く方針が決まっていない。ヤマヒルが多く人の入らない谷の奥深くなのでこのままそっとしておいてやるのが一番良いのではないかと個人的には思っているが、山梨県山岳連盟の自然保護グループとしてはその存在を知っておくことは必要と考えている。メンバー7人とうーさん、私の総勢9人でこの花が咲く谷を訪れた。きっちり撮影しておきたかったので、交換レンズ2本と大き目の三脚を担いで入山したのだが・・・


    沢沿いに咲く白い花


    今年は昨年以上にたくさん咲いてくれた。


    シラヒゲソウ。山梨県では絶滅危惧種ⅠB類。


    対岸の岩壁にもたくさん咲いている。

 シラヒゲソウは昨年以上にたくさん花を咲かせており、三脚を出してきっちり撮りたかったのだが・・・レンズを交換している暇も無く、構えて撮っただけでもうメンバーはずっと先に行ってしまっている。予想はしていたことだが止む無し。このシラヒゲソウは山梨県では極一部の沢の限られた場所で生育が確認されているが数はきわめて少なく、おそらくはこの沢沿いが県内最大の自生地と思われる。


    昨年は気付かなかったが、キッコウハグマがたくさんあった。


    沢沿いに咲いていたホトトギス。

 昨年ジョウロウホトトギスを発見した現地に到着した。途中で木の根っこが滑りザイルを出したのだが、それを回収して花の咲く場所に到着した頃には・・・もうメンバーはいちばん花が咲いている岩壁を通り過ぎてその上のブッシュの中に突入していて、一番後ろにいたうーさん以外は姿が見えない。折角満開の花が出迎えてくれたのにまたしても撮っている余裕など無く、広角レンズで数カット撮っただけで通過することになってしまう。昨年に比べると岩壁に生えている木の枝が伸びて少し数が減っているように見えなくもないが、ゆっくり観察している暇も無い。


    岩壁からぶら下がるジョウロウホトトギス。


    イワシャジンが咲き始めていた。


    この上に30株くらい固まって咲いているのだが・・・撮影している余裕無し。先に進む。




    谷の奥深くに咲いていたジョウロウホトトギス。まともに撮れたのはこの2カットくらい。

 予定ではここで引き返して隣の谷に調査に入るはずだったのだが、先頭を行くメンバーが簡単に上まで登れそうだというので上の稜線まで登ってそこから隣の谷に下降する作戦をとる。しかしこれが大失敗で、その上は笹が生い茂る急斜面で突破するのに悪戦苦闘する。幸いなことにこの辺りにはヤマヒルがいなかったのでヒル退治に苦労しなくて済んだ。コブの上で昼食となり、そこから稜線を下るのにまた苦戦する。GPSで見ると傾斜はきついが下りられるだろうと思っていた斜面が、コルの直上で切れ落ちて崖のようになっていた。私の10mザイルではやや距離が足りず、強引に下りた際に私は着地に失敗して転倒寸前、2本の木の間に背中のザックと一緒にぶつかって止まった。左肘に軽い擦り傷を負った程度で済んだが、一歩間違ったら危なかった。このザイルで3人が下降し、うーさんが持って来た20mザイルで他のメンバーは別斜面を下りたがこちらもまた足場が悪く下降に一苦労だった。メンバーの一人が斜面を2~3mほど滑り落ちてしまい、危ういところだった。
 さらにその先も予定していた主脈に行くルートは笹薮の急斜面でとても進めるような斜面ではなかった。2台のGPSと地図、コンパスでルートを検討し、いちばん傾斜が緩そうな尾根を下ることに方針を変えてあとは笹薮をかき分けながらひたすらその尾根を下った。出たところは調査に入る予定だった沢の出合いのところだった。既にその沢に調査に入る体力も時間も無くなり、そのまま沢を下って正規ルートに抜け出て下山となった。


    簡単に上の尾根に登り着けそうに見えたが、この斜面の突破にひと苦労。その先も苦労が続く。


    笹薮の尾根筋。主脈はこの左側に下りないと着かないが、とても下りられそうな斜面では無い。


    いちばん傾斜が緩そうな尾根を笹をかき分けてひたすら下りると、予定していた沢の出合いに降り立った。


    皆さんご苦労様でした。

 調査というよりも藪歩きがメインとなってしまった山行になってしまったが、山岳会ならではの面白い山歩きが楽しめたと思う。もし一人だったらどうしていたか?笹薮に突入した時点で撤退していただろう。谷の上の稜線はほとんど笹薮で、目ぼしい花は何も見つけられなかった。満開で出迎えてくれた花をきっちり撮影出来なかったことはかなり心残りで、今年は無理としても来年はリベンジに行きたい。

 ヤマヒルが靴にたくさん這い上がってきたが、塩水と虫よけスプレーで足回りを固め、さらに這い上がってきたらすぐにアルコールスプレーで撃退する作戦をとり、血を吸われたのは9人のうち一人だけだった。アルコールスプレー(消毒用エタノール、濃度75%くらい、ドラッグストアーで市販されている)はヤマヒルの撃退にはきわめて効果的である。
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする