山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

八ヶ岳に咲く稀少なラン科植物たち(権現岳続編)  平成29年7月15日

2017年07月16日 | 花・花・花
 八ヶ岳の山梨県側ルートにまだ出会ったことが無いラン科の植物が咲いているらしい。植物観察会が予定されていたのだが、諸般の事情で中止となってしまい、自力で探すことになる。そのほかにも、前述したタカネサギソウを含めて様々なラン科植物がこの山域には生育している。


    ヒメムヨウラン。時期が遅かったこともあるが、今年は数が少なく、2株しか発見できず。


    イチヨウラン。見かけたのは1株だけ。


    カモメラン。昨年に続いて咲いていたのは1株のみだった。葉の数も減少しており、この場所では絶滅寸前という気がする。


    タカネサギソウ。山梨県ではレッドデータブックに載っていないが、2年後の書き換えでは絶滅危惧種に入ってくると思われる。


    残念ながら蕾だった。

 ここまでの花は毎年行われている山梨県山岳レインジャー活動の調査で報告されているラン科の植物たちである。ここから先はまだレインジャー活動報告に載せられていない花たちである。


    ミヤマチドリ(おそらく)。判別の難しいツレサギソウ属の花は全く自信無し。


    下手な写真でいまひとつ分かりにくいが、距がきわめて短い。


    こちらが良く見かけるキソチドリだが、距の長さが全く違い、別の花であることは明らか。


    アオチドリの緑花なのか、それともタカネアオチドリなのか?


    背丈は10~15㎝ほど。


    こちらはやや大型の株。この鈴生りにたくさん花を付ける姿はアオチドリとは別物のように思う。


    これは三ツ峠で見かけたアオチドリ。


    こちらは櫛形山のアオチドリ。

 三ツ峠および櫛形山のアオチドリと比べると、八ヶ岳のアオチドリは花の付き方が鈴生りにたくさん付いている。タカネアオチドリの特徴として小型であることと唇弁が短いことがあるが、画像を見比べてみると八ヶ岳のものは唇弁が短い。さらに、この花の付き方を見る限りではいつも見ているアオチドリとは別物、タカネアオチドリで間違いないのではないだろうか。


    そしてこれが今回探していた花、琥珀のラン。


    折角見つけたのに踏み倒されている。ここは登山道では無いので動物の仕業か?


    しかし、別の場所でも発見。


    琥珀色の輝き、琥珀ラン。

 権現岳往復で13時間半という長時間を要したのは、このような希少な花たちの探索と撮影に多大な時間を要したためである。予定通りのタカネサギソウ、見つかるかどうか分からなかった琥珀のラン、そして何年振りかのケブカツルカコソウにも出会えた、充実した八ヶ岳花山行だった。
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花咲く権現岳へ  平成29年7月15日

2017年07月16日 | 花・花・花
 昨年も訪れている権現岳であるが、訪れた時期が早かったようで見つけられなかった花があり今年こそはと意気込んでいた。心配なのは天候で、ここ数日間きわめて暑い日が続いており、午後からゲリラ豪雨に遭ってもおかしくない天候である。天気予報を見ても夕方には雨が降る予報である。天候の変化を見ながら、場合によっては途中で引き返すことも考えつつ、朝6時に天女山から出発する。


    朝6時スタート。前日は中央道八ヶ岳サービスエリアで車中泊した。


    朝の天気は良好、南アルプスがくっきりと見える。


    雲海に浮かんだ富士山。


    目指すは右側の鋭鋒権現岳だが、場合によっては途中で引き返す。


    朝日射すゼンテイカ(ニッコウキスゲ)


    朝露に濡れるウツボグサ


    イブキジャコウソウは登山道沿いにたくさん咲いている。


    蕾のエゾスズラン(アオスズラン)。咲いた頃にはうまくすれば南アルプスを背景に撮影出来るかもしれない。


    ニシキウツギ(と思われる)。本日も超ゆっくり歩き。登山者には皆追い越してもらう。


    前三ツ頭への急登。ここは何度通っても辛い。


    前三ツ頭付近に咲いていたヨツバシオガマ。まだ蕾が多かった。


    ハクサンチドリは鹿にやられたか、数が激減している。


    前三ツ頭のこの草地とその周辺にはかつてはたくさんハクサンチドリが咲いていたが、ほとんど見かけなくなってしまった。


    樹林帯の中で見かけたイチヨウラン。


    これはヒメハナワラビか?


    ヒゴタイの葉も何種類か見かけた。これはコウシュウヒゴタイか?


    形の違うこの葉はやや薄く見え、ヤハズヒゴタイではないだろうか?


    さらに権現岳山頂付近で見かけたものは総苞が黒ずんでおり、タカネヒゴタイではないかと思う。いずれも花が咲いてみないとわからない。


    前三ツ頭から、雲の切れ間に姿を現した富士山。

 前三ツ頭で富士山が姿を現したところで休憩し、昼食をとる。心配していた天候は今のところ大丈夫だが、権現岳側は雲が巻いており時折黒っぽい雲が流れてくる。ゴロッと鳴ったら速攻で撤退だが、もし権現岳山頂あたりで雷雲に出会ってしまったら三ツ頭に登り返すまではほぼ森林限界を超えているので雷雲の避けようが無い。最悪の場合は権現小屋に一晩ご厄介になるしか無いだろう。前三ツ頭で休憩した後は、休憩無しで権現岳まで登る。


    三ツ頭。権現岳は雲に巻かれている。


    三ツ頭のチシマギキョウは咲き始めたばかり。


    葉っぱがランのようだったので、何だこれは?と思ったのだが。


    落ち着いて良く見ればタカネシュロソウ。周辺にも同じような葉がたくさん出ていた。


    まだ蕾のタカネシュロソウ。花期になるとこのあたりでは普通に見られそうだ。


    ミヤマクロユリ。


    咲き始めたばかりのコゴメグサ

 さて、権現岳の鎖場を越えていよいよ核心部の権現岳直下の岩場にさしかかる。この界隈は高山植物の宝庫である。時折雲に巻かれて視界が遮られることがあるが、予想していたよりも天候は持ちそうである。これならば・・・思う存分写真を撮って午後3時までに下山を開始すれば大丈夫そうだ。


    権現岳山頂と阿弥陀岳、赤岳。これほどの眺望が得られるとは思ってもいなかった。


    ムシトリスミレ。草地の中よりこんな岩の間に咲いているこの花のほうが似合っているように思う。

    
    クモマナズナと権現岳


    イワベンケイと権現岳


    ミヤマオトコヨモギと編笠山


    ミヤマダイコンソウと編笠山


    ハクサンシャクナゲと編笠山


    ミヤマシオガマと編笠山


    ミヤマダイコンソウと・・・もう言うまでも無し。

 権現岳山頂付近を右往左往しながらたくさん写真を撮った。しかし、なかなかお目当ての花が見つからない。ようやくそれらしき葉を1枚だけ見つけたので、その界隈を探してみると・・・あった。本日の目的の花、タカネサギソウ。しかし、折角出会えたのにまだ開花していない。1週間ほどフライングだったようだ。今年は花期が遅れているのを配慮のうえでこの日を選んだのだが、それでもまだ早かった。


    やっと出会えたタカネサギソウ。


    しかし、残念ながらまだ蕾。


    下山途中の登山道脇にも何株か咲いていた。しかし、開花している花には出会えなかった。

 時間は午後2時40分になった。天気はまだ持ちそうだが、とりあえずは目的の花に出会えたことだし、写真も存分に撮った。下山開始する。

 もうひとつ、平成25年にその花を最後に見て以来、その後訪れるたびに探しているもののどうしても見つからない花があった。登りながらじっくり探してきたつもりだったがやはり見つからず、絶滅危惧種の花なのでもはや絶えたのではないかと思っていた。しかしもしかしたら?と、登りの時とは反対側の草むらを覗き込みながら歩いていると・・・!奇跡的にその花と出会うことが出来た。4年ぶりの再会である。1ヶ所でしか見つけることが出来なかったが、とにかくまだ残っていてくれたことがとても嬉しかった。


    日没間近、最後の最後で出会えたこの花。


    初めて見た時は変わり者のジュウニヒトエ?と思っていたが・・・。


    あまりお目にかかることが無いケブカ・ツル・カコソウという花。

 他にもいろいろと探し物があったため、下山は日没過ぎの7時半になり、ヘッドライトを点灯しての下山となった。実に13時間半も山の中に居たことになる。単純に権現岳往復だけであれば、ゆっくり歩いても10時間はかからない。そのほかの3時間以上(実際はおそらく5~6時間)は花探しと撮影に費やしていたということである。天候に恵まれて、これだけの花が見られただけでも十分満足であるが、その他にも様々な花に出会うことが出来た。(続編に続きます。)

   
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