山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

雨の中を花咲く北岳へ(その2)  平成29年7月29日

2017年07月31日 | 山梨百名山
 広河原を6時半に出発し、二又に10時半、そして御池小屋分岐に到着したのは午後2時過ぎ、雨に降られたり花を探したり撮影したりで停滞したこともあるが、右又を3時間以上かけて登って来たことになる。そしてこの御池小屋分岐から上は素晴らしい高山植物のお花畑になっている。この先も早く歩けるはずが無い。雨も止んで来たことだし、山小屋の食事時間直前の5時に到着すれば大丈夫だろう。三脚を出して存分に花の写真を撮りながら登る。


    御池小屋分岐付近のシナノキンバイ。時期を少し過ぎているが見ごたえ十分。


    テガタチドリにハクサンチドリ、ウサギギク、ミヤマキンポウゲと贅沢な花たちが並んで咲く。


    テガタチドリ


    ハクサンチドリ


    このあたりからタカネヤハズハハコがたくさん咲いている。


    ここにもシナノヒメクワガタ。


    稜線に抜け出る手前まではミヤマヨモギが多いが、稜線に抜け出ると別のヨモギが現われる。


    咲き残っていたコイワカガミ


    チングルマの群落


    アオノツガザクラ群落


    これも見たかった花。初見のミヤマクワガタ。


    花の色が赤く、別名アカイシミヤマクワガタ。


    稜線に抜け出るとこちらのヨモギが主体となる。ハハコヨモギ。


    岩に垂れ下がるように咲いていたチシマギキョウ


    雨のしずくが滴るシコタンソウ


    タカネツメクサ群落。晴れていればバックに仙丈ケ岳が見えたはず。


    そしてまた初見の花。何これ?変わったキンバイ??


    帰ってから図鑑で調べてみるとタ・テ・ヤ・マ・キンバイ(バラ科タ・テ・ヤ・マ・キンバイ属)という花だった。


    そしてこれもどうしても見たかった花のひとつ。岩の間を再三探してようやく3株見つけたが・・・


    この場所は残念ながら蕾だったムカゴユキノシタ。やっと探したと思ったら翌日には驚くほどに・・・!

 霧に巻かれ、時折小雨がパラつく中を、登山道の周辺や岩の間を覗き込みながらじっくりと花を探しながら歩いた。ようやく見つけたイワユキノシタ3株は残念ながらまだ蕾だった。折角見つけたのでマクロレンズを取り出して接写しようとセットしていると、比較的近い場所で雷鳴が3発轟いた。風向きも悪く、雲がこちらに流れてきそうだ。これは不味い!レンズのセットを止めてザックに詰め込み、急いで山小屋に向かう。4時半に小屋に到着し、濡れた服を着替えると、間もなく5時半の夕食時間となった。それにしても汗と雨で下着までびしょ濡れ、汗臭い。ズボン以外は全て着替えたが、想定していたよりも北岳の夜は寒く、カッパが濡れて使えなかった分だけ服が1枚足りなかった。

 夕食後に山岳会メンバー総勢17名が集合して肩の小屋のテントで8時半ごろまで雑談に花が咲く。自己紹介ではメンバーの生い立ちや面白い山経験などを肴に楽しい時間を過ごした。9時に就眠する。明日は曇り時々雨の予報だが、山の天気は変わり易くどうなることやら?明日はいよいよタカネマンテマとキタダケキンポウゲにご対面である。
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雨の中を花咲く北岳へ(その1)  平成29年7月29日

2017年07月31日 | 山梨百名山
 何年ぶりの北岳だろうか?毎年行きたいと思いつつも、1泊2日という日程がなかなか取れず、天候にも恵まれずおそらくは平成23年7月以来になるのではないだろうか。未だに出会えていない北岳特産の2種類の花にどうしても出会いたくて、山岳連盟の山行に便乗させていただくことにした。その花を撮影するために登ると言っても過言では無いだろう。そのために100㎜マクロレンズを新たに購入し、28日に試写を行ってきた。花の撮影に愛用している10‐22㎜超広角レンズとは使い勝手が全く違うレンズなので、かなり奇異な感じがするが、2本のレンズが使いこなせれば風景を取り込んだ画像と花だけを主体にした画像の2種類が変化自在に撮れるということになる。まずは北岳まで登らなければ話にならない。

 朝1番のジャンボタクシーに乗るのだが、集合時間の4時半にとてもではないが早起きして間に合う気がせず、前日から芦安のペンションを予約して宿泊した。ぐっすり寝て集合場所に行くが、空模様がよろしく無い。広河原に到着して北岳を見上げると完全に雲に巻かれて全く姿が見えない。おそらく上は雨だろう。もし単独登山だったら・・・途中までで引き返している公算が強い。メンバーの足を引っ張らないように、必死で登るが、途中からは完全に私が最後尾を独占するようになってしまう。


    大混雑の広河原。本日の北岳肩の小屋宿泊率は150%だそうだ。


    ガンクビソウを数本発見した。


    大きな5枚葉のマムシグサ。花の位置が葉よりも低く、おそらくはヒロハテンナンショウと思われる。


    小雨と霧でレンズが結露し、撮影がままならず。オニシモツケ。


    側面から流れ落ちる沢沿いに咲いていたコンロンソウ


    同じような沢沿いにクロクモソウ


    ミソガワソウ


    葉がハート形。


    カイタカラコウ


    花がやや黄色味を帯びており葉脈が並行で鮮明。ヤマブキショウマと思われる。


    出会えて嬉しいこの花。ミヤマハナシノブ。


    良く見かけるこの葉はずっとヤブレガサだと思っていたが・・・


    ヤブレガサよりも葉の切れ込みが浅く、茎からも何枚か葉が分岐して出ている。これはヤマタイミンガサ。

 御池小屋分岐を過ぎたあたりで雨が降り出してしまい、まずは上だけカッパを着る。しかしその後さらに雨足が強くなり、上下着用で歩くことになる。覚悟はしていたのだが、それでも雨の中を山に登るのは気持ち良く無い。なによりも大変なのは湿度に弱い一眼レフカメラのレンズで、しばしば結露を起こしてそのたびにレンズを拭いて撮影しなければならない。さらにはレンズフィルターの内側まで結露するようになり、フィルターを外したり付けたりを繰り返しかなり面倒なことになってしまう。それでも、折角出迎えてくれた花たちを撮らずに先に進むことなど出来ない。


    大樺沢の雪渓。沢脇の道は倒木が多くて荒れており、ほとんど歩かれていない。


    この界隈にはキタダケオドリコソウなる黄色いオドリコソウがあると聞いたが・・・


    見たのは白からやや緑色がかったオドリコソウだけだった。


    ミヤマハナシノブは咲き始めのちょうど良い時期。


    グンナイフウロとミヤマハナシノブ


    白花のグンナイフウロ

 10時半に本隊から10分ほど遅れて二股に到着する。ここでちょっと早い昼食となるが、朝食の時間が早かったのでちょうど空腹になったところだった。20分ほど休憩して再出発する。しかし、その先は雨脚が強まり、ほぼ土砂降りと言って良いような強い雨となってしまう。単独登山ならばまず下山しているところだろうが、今回はグループ登山で本隊は既に出発しているので、追いかけて行くしかない。カメラを布で覆いコンビニ袋を被せて保護したが、あっという間に布もカメラも水浸しになってしまった。カメラが起動しなくなるのではないかと心配したがなんとか大丈夫だった。


    タカネナデシコ。雨でうなだれている。


    ムラサキタカネアオヤギソウ(タカネシュロソウ)。


    柵で囲われた中はミヤマキンポウゲがだいぶ復活していた。しかし、バイケイソウもかなり生えている。


    ヨツバシオガマ。この花は雨に打たれても元気に見える。


    細かく切れ込んだ葉が特徴のタカネヨモギ。


    初見の花、シナノヒメクワガタ(ゴマノハグサ科クワガタソウ属)。北アルプス中部以南、乗鞍岳、御嶽山、中央アルプス、南アルプスに分布するヒメクワガタの変種。


    ホザキイチヨウランは背が低くて小型のものばかり。


    イブキトラノオとお花畑

 雨で停滞したり花を探したり、薄暗いので三脚を出しての撮影で時間がかかったりと相当の時間を費やし、本隊とは完全に別行動となって午後2時過ぎにようやく御池小屋分岐にたどり着いた。この頃には本降りの雨は止んで霧雨に変わっていた。雨足が強かった時は途中で引き返そうかとも思ったのだが、ここまで来ると下山するのも肩の小屋まで行くのも時間的にはあまり変わらない。小降りになったことだし、本隊を追いかけて肩の小屋まで登ることにする。(その2に続く)
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今度こそキバナノショウキラン ドンドコ沢へ  平成29年7月28日

2017年07月31日 | 花・花・花
 富士山麓以外の場所でこの花に出会うのは山梨県では難しいのではないかと思っていたのだが、大月の山でキバナノショウキランを見つけてきた山と花の達人が今度はドンドコ沢でもこの花を見つけてきた。かなり詳細な場所をメールで送っていただいたが、果たして見つかるかどうか??それと、大月の山で見たという画像も同時に送ってもらったが、間違い無くキバナノショウキランだった。しかも花の周辺にスギの木の葉が散乱しており、どうやらスギの木の林床に生えていたようだ。私が探し歩いたルートで間違い無かったようだ。年によっては出ない時もあるようなので、来年も探索に出動してみたいと思う。

 午後から出発したので、現地までは時間的にギリギリの距離になりそうだ。日没過ぎの下山を覚悟で青木鉱泉から入山する。


    2週間ほど前に観察したオニノヤガラはもう花が終わっていた。


    オニノヤガラ。新調した100㎜マクロレンズで接写。


    トチバニンジン


    広葉樹林の林床にもうすぐ咲きそうなモミジガサ。


    バイケイソウが咲く森

 2~3株あったと連絡を受けたが、見つかったのはこの株だけだった。今度こそ出会えたキバナノショウキラン、やっと富士山以外の山域で見ることが出来た。


    広葉樹林の林床に咲いたキバナノショウキラン。


    満開を少し過ぎているが、富士山以外の場所で出会えただけでラッキーである。


    マクロレンズ接写


    これはフクオウソウの葉か?


    2中裂するこの奇怪な葉、ギンバイソウ(アジサイ科、or ユキノシタ科ギンバイソウ属)という花らしい。

 沢の周辺や周辺の斜面を探したが見つかったのはこの1株だけだったが、ひとまず出会えて良かった。時間は午後5時を過ぎて森は薄暗くなってきた。撤退する。
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