山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

前日に続いて南部町の沢沿いを散策(続編)  令和2年2月23日

2020年02月25日 | シダの仲間
 この日最初に入った沢も、そして次に訪れた沢も予定していた沢では無かったのだが、なにせ富士川は西にも東にもたくさんの支脈を出しており、さらにその上流ではいくつも沢が分かれているためにいくら探索しても巡り歩けないほどの多くの沢がある。そして本日2本目の林道も車のGPSでは出て来ない林道である。


    2本目の林道は途中まで沢のすぐ脇を走っている。なかなか雰囲気の良い沢であるが開発され過ぎている感がある。


    県南部の沢らしくリョウメンシダが生えている。さらに林道脇はイノデだらけだった。


    イノデ


    しばしば沢沿いで見かけるありふれたシダ、この正体をまだ知らない。下にあるのはリョウメンシダの若い葉。


    薄めのソーラスが小羽片の葉脈に沿って配列している。


    おそらくこのシダはミゾシダであろう。


    さらに上流に行くと廃屋が数件と神社が立っていた。秘境といった雰囲気である。


    神社。綺麗に整備されている。


    かつてはこの沢沿いに道があったのであろうが、今は歩けるような雰囲気ではない。林道はここで沢から離れて舗装されていないデコボコの道に変わる。


    林道を先に進むとウラジロを小さくしたようなシダの群落があった。これはコシダだろう。初見である。


    裏側は白っぽい。ソーラスは付いていなかった。


    下がコシダ、上がウラジロ。コシダは二回りくらい小さい。

 さらに林道を進んだがさらに道は悪くなり最後は倒木があって奥に進めなくなっていた。車を回して撤退である。そして次に訪れたのが本日の一番の目的の沢であるが、既に時刻は3時半になってしまった。上流まで行くのは不可能な時間になってしまったので、1時間ほど散策して撤退してくることにする。


    知る人ぞ知るこの駐車スペース。後ろには貫ヶ岳が聳え立つ。


    土手に生えていたシダ。シノブかと思ったが・・・。


    葉の先端部にコップ型のソーラスが付着。これはホラシノブだろう。初見のシダ。


    林道脇には南部町らしくカタヒバがたくさん生えていた。


    アマクサシダ。これも点々と生えている。


    アマクサシダの若株。


    こんなのも林道脇に生えていた。


    サジラン。


    昨日初めて見たキジノオシダにも出会えた。


    先ほどの林道で見たコシダがここにも生育。おそらく県南部では普通に見られるのだと思う。


    ハシゴシダを小さくしたようなシダ。たぶんコハシゴシダだと思うが?


    中軸寄りの上向き小羽片が大きく飛び出しているが、全裂していない。ソーラスも付着しておらず確定は出来ず。


    沢沿いの道に入る。滝が現れた。


    ハカタシダ。判別の難しいカナワラビ属が多かったので、普通のハカタシダを見るとちょっと安心する。


    清涼な沢の流れ。


    リョウメンシダ。向こうの壁にはイノデらしきシダがたくさん生えている。


    この先はもっと面白いシダが居そうだが・・・4時半を過ぎてタイムアップ。ここまでで引き返す。


    驚きの出合いだったのがこのシダ。明らかにカナワラビ属だが頂羽片の長さが今まで見てきたものとは全く違う。


    このスラリと細長く伸びた頂羽片、これはホソバカナワラビだろう。


    小羽片の辺縁の切れ込み方はオオカナワラビに似ている。ソーラスは辺縁からやや内側に付着しておりハカタシダに近いか?

 ホソバカナワラビは図鑑によると群生していることが多いらしいのだが今回見つけたのはこの1株だけだった。周辺を探してみれば群生が見つかるのかも知れない。いずれにせよ、山梨県ではあまりお目にかかれないシダであることは間違い無い。


    チラ見えの夕暮れ富士。きっと夕暮れのダイヤモンド富士も良かっただろう。

 山梨県で約250種類あるシダのうち、これで140種類くらい見たことになる。山梨県絶滅危惧ⅠA類、ⅠB類のシダも半数を超えた。折り返し点は過ぎたが、まだ難敵のイノデ類がほとんど手つかず、イヌワラビの仲間も難しく、かつ夏緑生のものが多いのでほとんど片付いていない。さらにはヤブソテツの仲間も後回しになっている。これからの課題である。冬緑性、ないしは常緑性のシダは今期の冬の課題であったものはほぼ見終わったように思う。春が来たら、課題を片付けつつ、今度は夏緑生のシダを探すことになるのであろう。



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前日に続いて南部町の沢沿いを散策  令和2年2月23日

2020年02月25日 | シダの仲間
 前日から空が晴れ渡り、朝霧高原のティアラを狙うには良さそうな富士山が姿を現していた。実は前日の朝、南部町に行く前に朝霧高原に立ち寄ったのだが強風で富士山山頂には大きく雪煙が舞いあがっており、ティアラ撮影予定地まで行ったのだが混雑しているうえに条件が悪かったためにカメラを構えることなく撤退した。そしてこの日の朝は前日よりもさらに好条件の富士山が姿を現していた。予定通りに6時に起床したのだが、前夜は睡眠薬を飲んだにもかかわらず寝付けずとてもティアラを撮影に出かける元気は出ない。悔しいがあきらめて2度寝入りすると次に目が覚めたのは9時半だった。ライブカメラで見ると相変わらずの綺麗な富士山が見えており風も無い。山中湖の夕暮れダイヤモンド富士が良さそうだし、足を延ばせば千葉県の稲毛海岸あたりのダイヤも狙えるだろう。しかし3連休ということもあっていずれも激混みだろう。いろいろと迷ったが、前日の南部町シダ散策で良い思いをしたので本日も南部町の別の沢を散策してみることにする。3月の下旬を過ぎるとヤマヒルが現れてくるであろうから、気にせずに歩けるのはあと1ヶ月くらいである。

 11時半ごろに南部町に入り、まずは沢沿いの林道を走ってみる。良さそうな沢の脇に車を止めて谷の中を双眼鏡を使って覗き込む。最初に入った沢の岩壁に大型のシダがたくさんぶら下がっている。双眼鏡で見ると、今までにも何度かお目にかかっているが単発的、かつ距離が遠くて十分に観察できていなかったコモチシダのようだ。沢に下りてみる。


    梅の咲く林道脇から沢を覗き込む。岩壁に大型のシダがたくさんぶら下がっている。


    谷に下りてみる。素晴らしい景色、これはコモチシダの群生。


    大型で目立つコモチシダ。谷に垂れ下がる姿が美しい。


    コモチシダ。南方系のシダで沢沿いの岩壁を好んで生育している。名の由来である無性芽は残念ながら出ていない。


    ソーラス。小羽片の中央にやや湾曲した線状ソーラスが配列している。


    根元の鱗片はオレンジ色で、炎が燃え上がっているような美しさ。

 コモチシダは何度かお目にかかっているが、これほどの群生は初めてで、これだけ接近して観察するのも初めてである。幸先良いスタートとなった。さらに沢を遡上してみる。


    イワデンダ


    これはオオイタチシダか、それともヤマイタチシダか?


    ソーラスは大部分脱落しており、既に包膜は脱落してしまっている。


    幅の狭い黒い鱗片。おそらくはオオイタチシダと思うが確信は持てず。そろそろ判別が難しくて後回しになっているイタチシダとイノデの類に手を付ける時期が来たと思う。


    梅が咲く谷


    カンアオイか?


    堰堤と淵


    この岩壁には良いものが付着していた。


    岩壁の上部、これでもかというくらいにイワデンダが付着。


    真ん中あたりに生えていた光沢のある美しいシダ、羽片の先端と頂部が細長く伸びるこの姿はヒメカナワラビである。


    いちばん上がイワガネゼンマイ、その下にヤブソテツ、その裏にヒメカナワラビが隠れており、さらにその奥にイワデンダが隠れている。ゴージャスな顔ぶれ。


    輝く沢の流れ

 遡上した距離は短かったがコモチシダとヒメカナワラビの2種類の絶滅危惧種のシダに出会えた素晴らしい渓谷だった。特に、コモチシダの群生する姿は素晴らしかった。林道に戻って車の場所まで歩き、次の沢に移動する。
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ミスミソウほころぶ山  令和2年2月22日

2020年02月25日 | 山に咲く花
 まだ2月なのに気の早いミスミソウが咲き出したらしい。南部町でシダを散策後、別の場所にフクジュソウを観察に出かけていた花仲間と合流して宮原のミスミソウを見に行ってみた。


    まだ咲き始めたばかり。葉が展開していないものが多い。


    ミスミソウ


    セツブンソウよりも少し遅れて咲き始める。


    いちばんの大株だったが、風でブレてしまった。


    どうしても気になってしまうシダの仲間。これはオオイタチシダだと思う。


    黒い細めの鱗片。これを見てもオオイタチシダかどうかは自信を持って判別できない。


    イノデ・・・だと思う。


    ゴワゴワな幅広い鱗片。やっぱりイノデ・・・だろう。


    ここにもリョウメンシダが生育していた。南方系のシダだが山梨県の北限はどのあたりになるのだろうか?

 少しばかりシダを眺めながらの楽しいミスミソウ観察会となった。
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