山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

南部町の沢沿いを散策  令和2年2月22日

2020年02月24日 | シダの仲間
 先週に引き続いて山梨県県南部の渓谷沿いに生育しているシダの探索である。先週別の渓谷を散策した際にちょっと立ち寄りして今回の渓谷に沿って走っている林道を車で走ってみて、上から渓谷の中がどうなっているのかを下見しておいた。リョウメンシダがたくさん生育しており、他にもたくさんのシダが生育している素晴らしい渓谷であることが分かっており、今回の探索はかなり期待できそうである。林道が細くなる手前に車を止めて林道を少し歩いてから沢に下りることにする。


    林道脇に車を止めて出発。


    林道脇にいきなりこんなものが・・・。


    線状ソーラスがやや斜めに配列。葉の全体にソーラスが付着しておりサジランとはちょっと違う。おそらくこれはヘラシダだろう。


    そしてこんなものも・・・オオカナワラビ。


    下から3番目の羽片まで下向き最下羽片が大きく伸びているゴージャスな個体である。


    これはいったい・・・? ヒメワラビの類いということはわかるが?


    この幅が広くて白い鱗片は初めて見る。


    小羽片の形やソーラスの配列、中軸の毛の生え方から見るとこれはイワヒメワラビ(コバノイシカグマ科)になりそうだが、鱗片が大きすぎるように思う。


    特徴的なこの白くて大きな鱗片から、これはキヨスミヒメワラビ(オシダ科キヨスミヒメワラビ属)と思われる。もちろん初見のシダである。


    さらに初見のシダ、光沢があって美しいシダ。


    キジノオシダ。胞子穂を別に出すが既に枯れていた。


    沢に入るとさっそくまた現れたサジランに似たシダ。


    サジランに比べると長い。


    ソーラスを見ると線状ソーラスがやや斜めに配列し、しかも不揃いである。これはヘラシダである。山梨県絶滅危惧ⅠB類のシダ。


    水量はあまり多く無く濡れずに歩けるが、時に小滝があり回り込む。


    リョウメンシダ


    イノデ・・・だと思う。


    ハカタシダのように見えるが小羽片の辺縁が鋸状のうえに下向き最下小羽片が発達していない。これはオオカナワラビと思われる。


    ほころび始めたネコノメソウ属。イワボタンか?


    白い筋が入った変わり者のマツザカシダ発見・・・と思ったのだが。


    ネットで調べてみるとこれはオオバノハチジョウシダの幼体であることが判明した。


    大きくなると綺麗な白い筋が消えるらしい。


    さらに大きくなるとこういうふうに変わって来るのではないかと思う。残念ながら成熟した個体には出会えず。夏か秋に確認の必要あり。

 少し傾斜がきつくなり、越えにくい小滝が現れた。そこまでで無理せずに撤退し、脇を走っている林道に登り上げて車のところまで戻る。


    林道脇にもシダがたくさん生育している。オオカナワラビ。


    これもオオカナワラビ。


    キジノオシダ


    こんなところにクリハランが・・・。山梨県絶滅危惧種ⅠA類とは思えない場所に生育していた。


    コクランの葉とガラ。


    そして今回いちばん会いたかったのがこの緑色鮮やかな光沢があるシダ。


    ミドリカナワラビ。会えたのはこの個体だけだった。ハカタシダに似ているが頂羽片(先端の部分)が長く伸びない。


    ソーラスは辺縁からやや内側に配列している。

 今回はこのミドリカナワラビの他にヘラシダ、オオバノハチジョウシダ(幼体ではあるが)、キジノオシダなど、初見のシダに出会うことが出来た、期待していた以上に良い散策が出来た。大満足である。4月になるとこのあたりはヤマヒルの巣窟になるであろうから、歩くのなら今のうちが良いのであろうが、時期を変えないと見られないものがある。ヒルにひるまず、歩かなければならない日が来るのであろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする