山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

初見のシダに遭遇 山梨県県南部の林道  令和2年3月7日

2020年03月08日 | シダの仲間
 南部町の沢から下山して次の目ぼしを付けていた沢沿いの林道に到着したのは午後3時を過ぎていた。林道は車のGPSには描出されない細い林道で、先がどうなっているのかは分からないが入り口に立っていた看板には「通り抜けできません」と書かれていた。沢に沿って走る細い林道を進むと、やがて沢の水は細くなって林道は沢から離れて山に登るようになっていた。林道脇のスペースに車を止めて沢筋とその先の林道を少し歩いてみる。沢の中は水量が少なく傾斜が緩く、しかも上流は竹藪になっている。これを登ってもあまり目ぼしいものは無さそうである。一方の山側に登って行く林道脇にはオオカナワラビとその近くにヘラシダが生えているのを確認した。撮影器具を車に取りに行き、林道を時間の許すところまで歩いてみることにする。


    古そうな林道だが、車のGPSには出て来ないうえにガーミンGPSでもこのあたりは道が出て来ない。


    林道脇に生えていたオオカナワラビ。少し痛んでいるのが残念。


    しかし、ソーラスはしっかりと観察できる。小羽片の辺縁寄りにソーラスが付着している。


    ヘラシダがあちらこちらに生えている。


    ヘラシダとオオカナワラビ?


    林道沿いにも点々とオオカナワラビ。とこの時は思っていたが・・・葉が厚くてゴワゴワしていて何となく違うような気がしていた。


    この個体のソーラス。撮影に熱中していて観察が不十分だった。小羽片の中肋寄りにソーラスが付着しており別のシダであることに気付かなかった。


    何だか分からないイノデ


    たぶん普通のイノデだと思う。


    ベニシダ


    コシダ


    緑色の光沢が美しいカナワラビの仲間、ミドリカナワラビ。


    まだ若いミドリカナワラビがたくさん生えている。以前に訪れた沢では1株しか見つからなかったがこちらには結構普通にある。


    下がミドリカナワラビ、上に立っているのがオオカナワラビ・・・と思っていたが・・・。


    葉を触ってみるとゴワゴワと固く先端部の突起が痛いほどである。何か違うが、良く見てみれば頂羽片がはっきりしない。

 そういえば、オオカナワラビはハカタシダに比べて葉が少し薄目で柔らかいと師匠が言っていたのを思い出した。こんなに固い葉をしているということは別物なのではないかとこの時に思った。良く観察し直してみると、ほとんどの個体が先端部の葉が傷んでいるものの、オオカナワラビのように細長い頂羽片ではなくて次第に細くなっていることが分かった。そしてソーラスの付き方も全く違う。帰って来てから図鑑とネットで調べてみて、これは初見のオニカナワラビであることが判明した。小羽片の切れ込みもオオカナワラビほどはっきりせず、ハカタシダに近いところも違いである。山梨県では珍しいシダであることは間違い無い。


    頂羽片がはっきりしないこのシダはオニカナワラビと判明した。


    他にこんなのも生えていた。


    オオバノハチジョウシダ。成体を見るのは初めてである。ソーラスはまだ付いていなかった。


    芽立ちの葉が出ているのでまだ若いのだろう。以前に見た幼体は交配して1年目の葉なのではないかと思う。

 時刻は4時半を過ぎて森の中は薄暗くなってきたため、撤退となった。林道の上部のほうではガーミンGPSに林道が描出され、さらに先に行くともう少し大きな林道に抜け出られるようであるが、おそらく崩落か何かで通行止めになっているのであろう。本日最初に入った沢は期待外れだったが、こちらの林道は珍しいシダをいくつも見ることが出来て満足だった。ただ、オニカナワラビは痛んでいるものが多かったうえにその気で気合を入れて撮影していないので、再訪してじっくりと撮り直したいと思っている。次回訪問時はヤマヒルの餌食になること必至であろう。

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南部町の沢のシダ散策とハナネコノメ  令和2年3月7日

2020年03月08日 | 渓谷
 本日予定されていた某記念会がコロナウイルスの影響で中止となった。近場に出かけて早目に帰って来る予定だったのだが会が中止となったので遠出が可能となった。もう3月に入ったのであと2週間もすれば山梨県県南部ではヤマヒルが出てくることが予想される。今回も南部町のまだ入っていない沢を途中まで登ってみることにする。


    本日入る沢の下流。この辺りはまだ沢沿いに車が走れる林道があるが、この少し先で林道が崩落しており通行不能になっている。


    林道崩落部の500mほど手前に車を止めて、崩れた林道を過ぎて沢を渡り、対岸の林道に入る。倒木が多くて荒れた林道が走っていた。


    本日のテーマはこのイノデの仲間だが・・・


    まだ見ても皆同じに見えて分からないので、別の機会に報告したいと思う。


    ハナワラビ属を見つけたが、この辺りはやはりオオハナワラビだ。


    オオバノイノモトソウに似ているが葉の真ん中に白っぽい帯がある。


    丸っこい葉の形、これはマツザカシダではないかと思う。


    スギ樹林帯の林床にはトウゲシバがたくさん生えていた。


    おそらくホソバトウゲシバ。


    森を横切り沢筋に下り立つ。祠が立っていた。後ろの木は大きな御神木だったのだろう。


    このあたりは傾斜が緩くて流れは穏やかだが、登るにつれて急になる。


    もちろん道は無いが、ほとんど靴を濡らさずに登れる。


    小滝が現れる。これは濡れずには登れず、右側を巻く。


    オオイタチシダと、おそらくイワガネソゼンマイ。


    こんなところにエビネの葉が・・・と思ったが根元を見るとどうやらヤブミョウガの葉。


    もうすぐ咲きそうなハナネコノメ。


    右側に建物が見えてきた。そこまで行ってみると、わさび田跡らしきものと廃屋があり、その先で林道が終わっていた。

 イノデの仲間は林道脇の少し湿った斜面のほうが多いのだが、今回はもう一つ、別の沢で見かけたタキミシダやまだ見ていないヒメサジランがこちらの沢にもあるのではないかと予想しての探索である。しかし残念ながら林道終点までの沢の中にはそれらしきものは見当たらず、それほど目ぼしいシダも見つからなかった。ひとつには、この沢は周辺の常緑樹が少なくて日当たりが良く、苔が生い茂るような環境には無いことがあるのだと思う。もう少し上流まで登ってみることにする。


    ここから先に登る人はよほどの物好きな人しか居ないはずだ。ガラガラの荒れた谷である。


    小滝。上に稜線が見えてきたがまだ遠い。


    イワトラノオはあちらこちらの岩にたくさん着いていた。イヌチャセンシダを探したが見当たらず。


    木に着生したシダたち。マメヅタ、ヒメノキシノブ、小ぶりのジュウモンジシダ、イワトラノオ。


    だいぶ傾斜が強くなってきた。


    日当たりの良い岩の上ではハナネコノメが咲いていた。まだ咲き始めたばかりだ。


    数は結構ある。


    これを撮りに来たわけでは無いのだが・・・


    可愛いのでついつい撮ってしまうハナネコノメ。


    大きな岩に突き当たった。右側から通れるが・・・稜線まではまだ遠く、これから先はさらに急傾斜のはず。ここまでで撤退。

 上の稜線までは標高差であと300mほどだが、この先を登るには岩登りの技術が必要になってくるだろう。自分のレベルを考え、かつ、目ぼしいものは見つかる可能性が低く撤退することにする。

 時刻は12時半だった。昼食をとりながら休憩する。下山準備して手袋を装着しようとしてあっとびっくり、右手の指先にヤマヒルが1匹付いていた。まだ目が覚めたばかりなのか動きが遅く、手を振って弾き飛ばす。他に付いていないかどうかチェックし、ザックから消毒用アルコールを取り出して念のため靴の周りと首と袖の周辺に振り撒いておく。まだ大丈夫と思っていたが、暖冬のためかもうヤマヒルが出現する季節になってしまった。これからの季節は要注意である。林道を使って下山する。


    廃屋と鹿除けのフェンス


    岩壁にヤマルリソウ


    ヒカゲノカズラ


    ここにもキヨスミヒメワラビが居た。


    白い鱗片が特徴である。

 課題のイノデはほとんど区別がつかないので、撮って来た画像を良く見て後日報告したいと思う。期待していた沢だっただけに目ぼしいものが見つからず、敗退感の強いシダ散策となった。時間はもう少しあるので目ぼしを付けているもう1本の沢沿いに立ち寄ってみようと思う。
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