山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

フジシダ三昧 山梨県北部の沢  令和2年3月1日

2020年03月02日 | シダの仲間
 山梨県ではごく限られた場所にしか生育していないフジシダは常緑性のシダである。師匠から1カ所は生育地の情報をいただいているが、まだ残雪があって登るのが大変なうえに、おそらく状態が良く無いであろう。その場所とは別の場所で、このシダを先日見てきたばかりだという花仲間に情報をいただき、さっそく見に行ってきた。


    本日登るのはこんな巨木が茂っている谷である。


    苔の緑が鮮やかな清涼感あふれる谷。苔の臭いが匂ってきそうである。


    複雑に絡み合った木の根


    苔の生い茂る倒木


    ホソバトウゲシバ


    ここに生えているホソバトウゲシバは一段と葉が細い。


    コケシノブ


    こんな苔が生い茂る豊かな自然の中にこのシダが生えている。


    フジシダ(コバノイシカグマ科)


    小さなソーラスが羽片の辺縁に付着している。


    上品な美しいシダであるが、苔の緑に溶け込んで生えているその姿がさらに美しい。


    細長くたれ下がるフジシダ。先端部には無性芽と小葉が付いている。


    無性芽と小葉


    水滴を湛えた無性芽


    さらに上流へ行くと主のような大木。


    裏側にはオシャグジデンダが着生していた。


    オシャグジデンダ


    ここが沢の源頭。ここから水が湧き出している。


    源頭を越えて水は無くなり平坦地に出た。

 沢を登り切って平坦地に出た。GPSで位置を確認するとそこから標高差で100mほど登ると小ピークに登れるようである。道は無いが登れない斜面では無いので行ってみることにする。稜線まで抜けるとそこには別ルートからの尾根道が付いていた。


    すぐ上に見える小ピーク。


    山頂到着。小さな山頂の看板が付いていた。


    その先の急斜面を下りてみるが・・・これがかなりの難コース。


    下りてきた急斜面。ところどころ大岩があって迂回しながら通過。滑り易くてちょっとばかり危なかった。


    傾斜が緩くなったところには炭焼き釜の跡があった。


    GPSで位置確認しながら登って来た沢に下りる。踏むのが申し訳ないような一面の苔。


    こちらにもたくさん生育していたフジシダ。


    岩に垂れ下がるフジシダ


    山盛りのフジシダ三昧。


    この木が見えてくると沢はもうすぐそこだ。

 予定では沢をちょっと登ってシダだけ見てくるはずだったが、結局は沢を登り詰めた上にある小ピークを周回することになってしまった。そのおかげで、沢沿いだけでなく山の斜面にある山盛りのフジシダに出会うことが出来た。周辺にある他の沢もちょっとだけ覗き込んでみたが、この沢のように苔がびっしりと生い茂っている場所は見当たらなかった。今回の渓谷は特別な場所であるように感じた。素晴らしい場所を教えてくれた花仲間に感謝である。
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アオイスミレほころぶ 藤垈の滝  令和2年2月29日

2020年03月02日 | 里に咲く花
 ミズバショウが咲くことで知られている藤垈の滝であるが、ここには山梨県ではあまり見られないアオイスミレが咲く場所でもある。まだ早いのではないかと思ったが近くまで来たので立ち寄ってみた。


    藤垈の滝。滝というよりも庭園である。


    ミズバショウが咲くにはまだ早かった。


    ここのミズバショウは植栽のもの。手前に生えているシダはオクマワラビ。


    気の早いミズバショウが一株だけ咲いていた。内部の付属体が見えず、これはちょっと変わり者らしい。


    まだ早いだろうと思っていたのだが、日当たりの良いところではもう咲いていた。


    アオイスミレ。


    薄紫色の綺麗なスミレである。花弁は薄く痛みやすい。


    普通に見かけるヤブソテツ。


    ソーラスはたぶん4列。


    清流の脇に咲くヤブソテツ。これは光沢が無いタイプ。ヤブソテツは何種類か種類があるが、まだ手付かずの状態である。

 今年は記録的な暖冬の影響で花の咲くのが早い。春の花は早め見に行かないとあっという間に花期を過ぎてしまいそうである。そろそろ忙しい時期が始まりそうだ。シダも見に行かなければ。
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やっと咲いたセツブンソウ  令和2年2月29日

2020年03月02日 | 里に咲く花
 世間では新型コロナウィルスが拡散しており、幸いにして山梨県ではまだ感染者は出ていないものの、いつ見つかってもおかしくない状況にある。私の働く病院でも厳戒態勢が敷かれており、来院者は全員に検温が行われ、熱がある場合は感染室という別の部屋で診察が行われている。院内で行われる会議は基本的に全て中止となっており、人ごみの中に入るのは少しばかり怖い気がする。人の居ない山の中がいちばん安全なのかも知れない。

 今年になってから2度訪れている昨年偶然発見したセツブンソウの群落であるが、2月10日の時点ではまだ葉も何も出ていなかった。この場所はあまり知る人がおらず滅多に人に会うことが無い。2月も本日で最終日である。いくらなんでも、もう咲いているはずだ。


    ツララが垂れていた岩にはもうツララは無い。


    3度目にしてようやく咲いているのに出会えたセツブンソウ。


    あるのはほんの一角だけ。


    しかし、三珠のセツブンソウに比べると密度はこちらのほうが高い。


    満開のセツブンソウ


    今年は出ないのではないかと心配していたが、きっちりと咲いてくれた。


    こちらは林道脇に生えていたミサキカグマ。


    下向き第一最下小羽片が大きいことと、下方の羽片が弯曲しているのが特徴。


    ソーラスは中軸寄りから付着し始めるが、この株はもう全体に広がっていた。


    滝に立ち寄る。


    沢沿いにはネコノメソウ属がほころび始めている。


    赤い葯が顔を見せている。これはヨゴレネコノメソウか?


    岩壁にはクモノスシダ


    滝の近くにはやや大型のシダが生えていた。たぶんオオイタチシダ。


    黒くて細長い鱗片、袋ははっきりせず。オオイタチシダだと思うが、確信は持てず。


    こちらはまだ固い蕾。

 昨年セツブンソウを見つけた時はもう落花していてどのくらい花を咲かせたのか分からなかったが、かなり密にしっかりと花を咲かせてくれることが確認できた。かつての三珠のセツブンソウもこんな感じだったように思う。花を咲かせてくれてひとまずは安心である。
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