山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

決着、ゼンマイ3種  令和2年4月26日

2020年04月27日 | シダの仲間
 前日も立ち寄っている昇仙峡であるが目的のヤシャゼンマイは良さそうな個体に出会えず、今回は再び長潭(ながとろ)橋付近の下流域に生育するこのシダを見に行く。こちらはそろそろ葉を展開している頃だろう。前回400㎜望遠レンズでは距離が足りなかったため今回は570㎜望遠レンズを持って行く。


    昇仙峡の谷を見下ろす。


    100㎜マクロで撮影。先日確認したヤシャゼンマイは葉を展開している。


    570㎜望遠。こちらはまだ葉が赤っぽい幼弱な個体。


    こちらが胞子を蓄えて葉を展開している若いヤシャゼンマイ。


    固まって生育している場所ではワサワサした感じで生えている。


    胞子穂と若葉


    注目すべきはこの葉の形である。長楕円形で先端は丸みがあり、柄が付いている。

 周辺を探したがゼンマイらしきものが見つからない。もう1ヶ所、昨年ゼンマイを見ている千代田湖のほとり、白山にゼンマイを見に行ってみる。


    白山に生育していたゼンマイ。胞子穂が出ているがまだ葉を十分に展開していない。


    別の個体。こちらはまだ若くて胞子穂が無い。


    葉に注目。長三角形型で先端はやや尖っている。なによりも、葉に柄が無い。

 そして改めて昇仙峡で見てきたもうひとつのゼンマイを見直してみる。


    昇仙峡の道路脇に生えていたゼンマイ。まだ幼弱で葉を十分に開いていない。


    こちらは葉を全開している個体。胞子穂は出ていなかった。


    葉に注目。長楕円形であるが先端部はやや尖っている。そして葉に柄が付いている。

 これが交雑種のオオバヤシャゼンマイである。春のうちに確認しておきたかったこの3種類のゼンマイはこれにて決着である。


    ヤシャゼンマイの葉。長楕円形、先端は丸く柄がある。ちなみに生えているのは水際の岩壁。


    ゼンマイの葉。形は長三角型、葉の先端は尖り、柄が無い。生育場所は森の林床。


    オオバヤシャゼンマイの葉。長楕円形だが先端はやや尖り、柄がある。見たのは渓谷沿いの道路脇。

 シダの中でも分かってしまえば比較的分かりやすい3種類だと思う。

 見ておきたかった白山の花は他にもいくつかあった。


    ちょうど見頃だったカイイワカガミ


    花付きが良いものもあるのだが・・・


    全体の個体数はかなり減少している。斜面の崩落と下草が減少して山肌が乾燥してしまったことが原因と思われる。


    トウゴクミツバツツジにしては色が赤紫で変わっていると思っていたのだが、やっと正体が分かった。


    これはダイセンミツバツツジであろう。山梨県ではこの周辺に咲く絶滅危惧種(Ⅱ類)になっている。

 花散策が終わった時刻は午後6時になってしまった。さほど歩いたという気はしないのだが、何かとても疲れた1日だった。茅ヶ岳の疲れを少し引きずっている気がしていたが、家に帰って焼き肉を食べたらすっかり元気回復、単純に軽い脱水だったようだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

沢沿いに咲くネコノメソウ属と峠に咲くスミレ  令和2年4月26日

2020年04月27日 | 山に咲く花
 前日に続いて本日も人の居ない沢沿いを歩いて峠まで行ってみる。単独行動、かつ山頂無しの散策である。沢を登るといっても渓流釣りの人たちが遡上するレベルの沢でさほど難しい滝も無く穏やかな沢である。途中からは林道に登り上げて峠まで行く予定である。本日から林道ゲートが冬期通行止め解除になる予定だったのだが、非常事態宣言で変更となり5月中旬までは開かないことになっていた。ゲートのところまで行って知ったが、これは想定した範囲内である。


    朝の清涼な沢。まだ朝日が差し込んできたばかり。


    ハナネコノメソウ。もう終盤である。


    こちらのハナネコノメソウももう終盤。


    ピンク色のハナネコノメソウだったようで、新鮮な姿を見られなくて残念。


    コガネネコノメソウ


    ニッコウネコノメソウ


    ニッコウネコノメソウ


    ツルネコノメソウ


    ツルネコノメソウ


    清流に咲くヤマエンゴサク


    清涼な流れは途中で二手に分かれている。

 途中で沢は2手に分かれ、さらに何本かに分かれて山の斜面に続いている。左側の沢に入れば林道に沿って登ることになるのだが、入ったことのない右側の沢に入ってみる。


    右手の沢に入って間もなく流れは細くなる。この先はあまり花は無さそうである。尾根を越えて隣の沢に入る。


    隣の沢はもう源頭を超えて水は流れていなかった。


    源頭付近に咲いていたヒナスミレは紫色が濃くて綺麗だ。


    白いエイザンスミレ


    炭焼き窯の跡がいくつかあり、ところどころ道が残っていた。

 本流に戻ってもう少し遡上し、林道に乗り上げてさらに歩く。沢の中をうろついたこともあるが、峠に到着するまで3時間ほどかかった。


    会いたかったのはこのスミレ。


    葉がギザギザした交雑のスミレ、オクタマスミレ。


    オクタマスミレの群落。おそらく山梨県最大の群落だろう。


    花の色はヒナスミレに似ているが少しふっくらしている。満開のちょうど見ごろだった。


    今年も沢山咲いてくれて良かった。存分に楽しませていただいた。


    白花のヒナスミレにも出会った。

 そろそろ見ごろを迎えているだろうと思い、林道が開くのを待っていたのだがコロナの影響で開かなかった。そのおかげもあって、本日は誰にも会うことは無く静かな散策となった。もう1種類、交雑スミレらしきものがあるのだが葉を確認したのみで花は咲いておらず花芽も付いていなかった。来年以降、咲いてくれることを期待したい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

昇仙峡のシダを探索  令和2年4月25日

2020年04月27日 | シダの仲間
 昇仙峡の渓谷道は意外と距離が長く、下流の長潭橋(ながとろばし)から仙娥滝まで歩くと5.4㎞もある。前回は長潭橋周辺域を散策してヤシャゼンマイを見て廻ったが、対岸の遠い位置にしか生育しておらずとても近付けそうも無い。そこで、もう少し至近距離で見える場所は無いものかと今回は中流から仙娥滝までの約1.5㎞を探索してみる。


    見上げる羅漢寺山


    葉が開いたばかりのイヌワラビ。この季節の夏緑生シダは新鮮である。反面ソーラスが付いていないので判別が間違っているかも知れない。


    こんな道路脇の石垣にこのシダがたくさん。


    ゲジゲジシダ


    オクマワラビと思われる。ソーラスの形跡が全体の真ん中あたりまで付いていた。


    鱗片は黒っぽくてやや細め。


    こちらがたぶんクマワラビ。先端の部分にしかソーラスの形跡が付いていない。


    鱗片は茶色で幅が広い。


    こんなところに生えるのはほぼオオイタチシダである。


    細くて黒い鱗片。リョウトウイタチシダの鱗片とは明らかに違う。なんとなく区別が分かって来た。


    これまた判別が難しいトウゴクシダ。葉に光沢があり鮮やかな緑色である。


    鱗片は薄いが、芽吹きの芽を見ると真っ黒な細い鱗片がたくさん付いている。成長すると脱落するらしい。


    ソーラスは中央部から外側に向かって付着する。


    幼弱なイヌシダ。芽吹いた茎に毛がたくさん生えている。「イヌ」というのはそこいらで普通に見かけるという意味で使われるらしい。


    ゴソゴソと生えているこのシダは何?


    真っ黒な鱗片


    この形は、おそらくキヨタキシダと思われる、三日月型の細いソーラスが確認出来れば確実だが夏以降になりそうである。


    覚円峰


    さて、双眼鏡で覗き込みながら対岸の目的のシダを発見。あまり数は無かった。


    ヤシャゼンマイ。胞子穂が確認出来るが葉はまだ全開していない。やはり距離が遠く、200㎜望遠ではこれが限界。

 昇仙峡界隈にはゼンマイの他にこのヤシャゼンマイと交雑のオオバヤシャゼンマイが生育しているらしい。まだその3種類の区別が出来ておらず、新鮮な個体のうちに確認しておきたいと思っている。今回はこちら側に生育しているヤシャゼンマイを期待していたのだが残念ながら出会えなかった。また出直しである。


    新緑の仙娥滝。駐車台数を制限して規制中ではあるがそれなりに人に出会った。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

4種類のネコノメソウ属が咲く渓谷を歩く  令和2年4月25日

2020年04月27日 | 渓谷
 コロナウィルス感染拡大防止のため非常事態宣言が出され、登山の自粛が要請されている。山梨県の登山道も入山が規制されているところが多数ある。まず散策する場所を選択する私自身の基準のひとつがメインルートでは無くて人が居ない場所を選ぶこと、そして一人で出かけること、かつ山頂は避けるということである。そう考えると、ほとんど単独で入山していてマイナーな場所が多い私にはあまり影響が無いのかも知れない。そして最も注意しなければならないのは決して遭難しないということである。こんな非常時に人に迷惑をかけてはいられない。なので難しい場所ならば即座に撤退すること、これが最も重要だと思う。

 昨年も歩いているマウントピア黒平周辺の沢を散策に出かけてみる。甲府市の施設であるマウントピア黒平は現在休館中でありあまり人は居ないはずである。駐車場は半閉鎖状態だったが3台ほど車が止まっており、いずれも山梨県ナンバーだった。1台は管理人さんの車のはずである。施設の建物に挨拶に立ち寄ってみるが残念ながら不在だった。


    桜が満開のマウントピア黒平。施設は休館中である。


    ヒナスミレが咲く。


    エイザンスミレ


    エゾアオイスミレはもう痛みかけていた。


    白いヒナスミレ


    薄紫色のヒナスミレ


    ニリンソウはまだ咲き始め。だいぶ数が減ったように見受けられる。


    渓谷に咲くコガネネコノメソウ


    コガネネコノメソウ


    ニッコウネコノメソウ


    花が平開するニッコウネコノメソウ


    ニッコウネコノメソウと渓谷の流れ


    ツルネコノメソウ


    倒木が多く歩きにくいので避けていた場所に入ってみる。


    右側から滝が流れ込む。本流は左側。


    ニッコウネコノメソウと滝


    コガネネコノメソウ


    この先は倒木で荒れていて歩きにくい。左側の土手を登って登山道に抜け出る。

 何度も歩いている渓谷なので少し靴を濡らした程度で上流部まで登って来た。あと20分も登山道を歩けば源流になるが、途中の支脈に2本ほど入ってみる。


    1本目の支脈は伏流になっており、遡上するとすぐに水が流れ始める。


    コガネネコノメソウ


    ハナネコノメソウが咲く岩壁


    ハナネコノメソウ


    ツルネコノメソウ


    滝に出る。右側にマウントピア黒平の取水ホースが付いており左右にロープが取りつけられていた。

 ロープが付いているので滝を越えることはさほど難しくないが、もしものことがあると大変である。一応ザイルは持って来ているがこの場所まででこの沢は撤退する。帰り際にマウントピア黒平の管理人さんと出会い、この滝の上にある取水口までは行けるそうだがその先は難しいようである。次の沢に入るが、この沢は一昨年八丁平まで登り詰めており、勝手知ったる谷である。


    広い谷の中はハシリドコロがたくさん茂っている。


    赤紫色のヤマエンゴサク


    咲き残っていたハナネコノメソウ


    ハナネコノメソウ


    右岸の滝。この岩壁に何か変わったものがあるのではないかと期待してきたが何も無し。ここまでで本日は撤退。

 今年もたくさんのネコノメソウ属の花たちが咲いてくれた。ここは支脈も含めて植生豊かな素晴らしい渓谷である。昨年歩いた際にニッコウネコノメソウかヨゴレネコノメソウか判断できなかった群落があったのだが、どうやらニッコウネコノメソウのようだ。日当たりの悪い場所だと葉が茶色くなるようである。渓谷の岩壁に何か変わったシダが付いているのではないかと期待しての今回の散策だったが、何も目ぼしいものには出会えなかった。登山解禁となったら、升形山や黒富士の岩壁を探索してみたいと思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする