山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

初夏の北岳を訪れる(1日目後編) 令和3年6月25日

2021年07月02日 | 高山に咲く花
 白根御池をお昼頃に出発する。空はどんより曇り空で時折霧の中に突入して真っ白になる。途中で小雨に見舞われたためカッパを着ての登山となるが、幸いにして大降りにはならず、心配していた雷も鳴らなかった。イネ科、カヤツリグサ科の植物はまだ蕾で花期に至っていないものが多く、予想はしていたが分からないものばかりである。


    見下ろす白根御池。かつてはセンジョウアザミがたくさん茂っていたが鹿の食害でハンゴンソウだらけになってしまった。


    草すべりはマルバタケブキが目立つ。


    斜面に生育するサンリンソウの群落


    ミヤマキンポウゲ。背の低いものばかり。


    こんな高地にもシロイトスゲが生えるようだ。


    カンスゲの仲間であろうが何だか分からないスゲ。


    ヒメカンスゲ?ちょっと違う気がする。


    高所に生育していたハルガヤの仲間。花を分解してみないと確定できないが、この場所ならばミヤマハルガヤと思われる。


    まだ花が咲いていない。構造的には頂部が雄小穂でその下に雌小穂があるように見える。鱗片が細くこれはミヤマアシボソスゲか?


    これは別物で、稜線に抜け出るとたくさん生えている。


    頂部が雄小穂、その下に雌小穂がある。鱗片の幅はあまり広く無く、これはタカネナルコだろうか?


    鳳凰山では数が少なかったが北岳の稜線では普通に見かけるこのイネ科の植物。


    これはミヤマコウボウであろう。


    あまり見かけなくなったこの花も元気に咲いていた。


    サンカヨウ。今年はあまり食害に遭っていないようである。


    コスギラン。シダの仲間。


    個体数は少し増えているように見受けられる。

 雷を心配していたが時折日差しも差し込み、心配は無さそうである。まだあまり花は咲いていないだろうと思っていたのだが想定外に様々な花が咲いていた。仲間はもう山小屋に到着している頃だろうが、折角花が咲いているので存分に写真を撮りながら稜線の景色を楽しませてもらうことにする。


    ハクサンイチゲとミヤマキンバイのお花畑


    オヤマノエンドウ。後ろは雲に巻かれた仙丈ケ岳。


    チシマノアマナ


    キバナシャクナゲ。ピンク色の花も混じっていたが、痛み始めて色付いたものかも知れない。


    イワウメのお花畑

 心配したメンバーの一人が途中まで迎えに来てくれた。北岳肩の小屋にはメンバーから1時間半遅れて午後4時半に到着した。夕食は5時からだそうで、荷物を片付ける前に夕食となった。夕食に焼き肉が出たのには驚いた。日没の頃には再び雲が増えてしまい、景色は悪くなってしまったが、仙丈ケ岳の上に夕焼けの空も少し広がってくれた。この日は6月の満月ストロベリームーンが昇って来るはずだったが残念ながら見えそうも無く諦める。明朝の天気に期待して午後8時には寝ることにする。



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初夏の北岳を訪れる(1日目前編) 令和3年6月25日

2021年07月02日 | 高山に咲く花
 この日は南アルプス林道バスが動き出す初日で、北岳等、南アルプスの開山日だった。しばらくお目にかかっていないキタダケソウを見たいこともあるのだが、山上に生育するイネ科やカヤツリグサ科の植物も気になっている。メンバー8人で肩の小屋宿泊予約していただき、入山する。


    広河原から見上げる北岳。曇り空だが天気予報は午後から雨。夕立にならなければ降らなそうだ。


    意外なところにこんなシダが元気に生えていた。ウサギシダ。


    これは初めて見るセリ科の植物。


    まだ花が咲いていないが、花の直下の葉に柄が無くおそらくはヤマナシウマノミツバと思われる。


    タカネフタバランはまだ蕾


    ヒメムヨウラン


    イチヨウランはあまり見かけない。


    咲き始めたばかりのキソチドリ


    コフタバランもまだ蕾


    しばらくぶりに出会ったこの花、エゾサカネラン。もう消滅してしまったかと思っていたが数株咲いていた。


    北岳の沢沿いに咲くこの花はずっとコンロンソウだと思っていたが、これはヒロハコンロンソウだった。


    ミヤマシダに似ているが葉が柔らかくて小羽片の切れ込みがより細かい。


    長楕円形ないし三日月型のソーラス。これはキタノミヤマシダと思われる。


    初めて見るオオヒョウタンボク。葉が柔らかく一部が鹿の食害に遭っていた。


    幸運にも花が咲いていた。


    結構辛い白根御池小屋への尾根道。

 メンバーにだいぶ遅れをとりながらなんとか白根御池小屋へのトラバース道に登り付く。メンバーの一人が変わったカヤツリグサ科の植物を発見して待っていてくれた。それを見てビックリ、探していたヒメカワズスゲだった。さらに御池小屋に到着してみると、小屋の前にある草地には驚くほどたくさん生育していた。


    鳳凰山南御室小屋のテント場にたくさん生えていたこのスゲの正体が分かった。これはミノボロスゲ。


    探していたヒメカワズスゲ


    御池小屋の草地にはたくさん生えていた。このスゲを見に来る人はほとんど居ないであろう。ただの雑草にしか見えない。


    池のほとりに生えたヒメカワズスゲ。


    花期の小穂。先のほうに雌花がありその下に雄花がある雌雄小穂。


    果期の穂。柄が無く2~6個の小穂を付ける。

 ヒメカワズスゲは山梨県では北岳周辺にしか生育していない貴重な植物である。図鑑やレッドデータブックに記された生育環境や場所から判断して白根御池周辺にあるのではないかと思っていたのだが、これほどたくさん生育しているとは思ってもいなかった。まずはひとつ目の目的をクリアである。昼食をとって大休憩し、メンバーに一足遅れて御池小屋を出発する。もうメンバーに追いつくことは無いであろう。ここから先が本番である。明日のことを考えて足に疲れを残さないように、自身のペースでゆっくりと登らせてもらう。(1日目後編に続く)

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