山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

初夏の北岳を訪れる(2日目後編) 令和3年6月26日

2021年07月03日 | 高山に咲く花
 北岳山荘を折り返してトラバース道に向かう。キタダケソウが楽しみであるが石灰岩が混じるこの登山道沿いには花だけでなく変わったシダも多く生育している。ペースが遅れてしまい他のメンバーには申し訳ないのだがじっくりと観察しながら歩いてみる。


    ミネズオウ


    山梨にはベニバナは無いと思っていたのだが、うっすらピンク色の個体があった。


    岩間に生えるミヤマムラサキ


    まだ葉を展開したばかりのヤツガタケシノブ。葉が細くて別物のように見える。


    別の場所でも発見。


    石灰岩地を好むイワウサギシダはまだ葉を展開していなかった。


    キタダケソウ。盛期は過ぎているがまだ十分に見られる。


    間ノ岳が後ろに見える場所だが、この時間にはもう雲に巻かれてしまった。キタダケソウの中に3~4割くらいハクサンイチゲが混じっている。


    ミヤマクロユリはまだ咲き始めたばかり。


    ミヤマアワガエリ。群生しているかと思ったがぽつぽつと生育している程度だった。


    分からないのがこのナズナの仲間。茎や葉にほとんど毛が無いが茎の根元の部分だけ毛が生えている。根生葉が見えないがミヤマハタザオだろうか?


    葉はやや広めで浅い鋸歯がある。茎には毛が多い。根生葉が見えないがこれはウメハタザオと思われる。


    入山するたびに探していたこの花だが自力で発見出来ず、案内していただきようやく見ることが出来た。


    運良く花が咲いていた。これはクロミノウグイスカグラ。

 ゆったりペースで歩かせていただきお昼頃に八本歯のコルに到着した。ここから何本もあるハシゴ下りとさらに雪渓を下りることになる。準備していたチェーンスパイクを車の中に置き忘れてきてしまい一抹の不安があったが、ベテランの仲間がアイゼンを貸してくれて無事雪渓を下ることが出来た。


    雪は少ないと言われつつも結構長い雪渓を下る。メンバーにちょっとしたトラブルもあった。


    青々としているカラフトメンマ


    カラフトメンマと雲に巻かれた鳳凰山


    こちらにもシロウマオウギが生育していた。


    咲き始めたばかりのミヤマハナシノブ


    ミヤママンネングサはまだ蕾


    橋を渡る。崩落していてガラガラである。


    オオメシダ。下にあるのはイッポンワラビ。


    ミヤマシダの群生。形も大きい。


    もう終わりかけているテンナンショウ属。葉は2軸、仏炎苞の高さは葉と同じくらいだが、これはユモトマムシグサとするべきだろうか?

 仏炎苞が赤紫色のテンナンショウ属を以前に大樺沢で見ているので探しながら歩いたが、咲いていた場所に葉はあったものの花には出会えなかった。時期が早いのか、あるいは今年は咲かないのかも知れない。バスに乗り遅れるのではないかと途中は少しピッチを上げたが、最終の4時40分には十分に間に合うところまで下りてあとはゆっくりと歩いて広河原に到着した。着いて一休みした途端に雨が降り出してきた。分からない植物が多々あったが、初めて出会う植物もたくさん見ることが出来た。天候もなんとか持ってくれて実りある北岳山行だったと思う。

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初夏の北岳を訪れる(2日目前編) 令和3年6月26日

2021年07月03日 | 高山に咲く花
 日の出の時に立ち昇ったサンピラーを堪能した後に朝5時に朝食となる。急いで荷物をザックに詰め込み、5時半に北岳山頂を目指して出発である。先週の鳳凰山の際は2日目に筋肉痛で悩まされたが今回はさらにゆっくりと歩いたこともあって全く痛みは無い。夜もぐっすりと寝ることが出来て体調は良好である。山頂を越えて北岳山荘まで行き、折り返してトラバース道、八本歯のコルを経て左又雪渓を下山する予定である。キタダケソウは既に2週間前に満開を迎えていると聞いており、少し時期が遅いかも知れないがまだ十分に見られるはずである。


    青空が広がった朝。台風が接近してきているはずだが風もあまり強く無い。


    見下ろす北岳肩の小屋と仙丈ケ岳・甲斐駒ケ岳


    レンゲイワヤナギの群生。といっても低木で根元に木の枝があるはずで、さほど株数が多いわけでは無い。


    レンゲイワヤナギの花


    ハクサンイチゲ


    クモマナズナ


    岩の間に生えたアオチャセンシダ。常緑のシダだが越冬したばかりの茶色い葉が多い。


    山頂手前から見る間ノ岳の稜線


    北岳山頂から見る北岳南峰と仙丈ケ岳

 植物を観察しながら1時間半かけて山頂に到着した。ナヨシダやトガクシデンダはまだ小さくて同定が出来なかったが、珍しいシダや花に出会うことが出来た。休憩した後に北岳山荘に向かって下りる。


    7時を過ぎた頃には雲が湧き上って来た。


    キタダケそうも混じっているがこの場所はハクサンイチゲが多い。


    咲き始めのチョウノスケソウ


    ミドリハクサンイチゲ


    クモマナズナ。この後に見る似たようなアブラナ科の植物に悩まされることになる。


    チシマアマナと仙丈ケ岳


    シロウマオウギ


    萼に黒い毛が生える。


    ヒメカンスゲに似ているが雌小穂の鱗片が濃い茶色。たぶん別物であろうが不明。


    葉がハリスゲのように細い。おそらくヒゲハリスゲと思われるが、果期に実を見てみないと確定できない。


    北岳山荘手前から振り返って見る北岳。格好良い。

 北岳山荘では今期から自然保護グループのメンバーのひとりが小屋番をやっており、挨拶していろいろと情報交換をしながら休憩させていただいた。気を遣わずに泊まれるようになったのは良いが、南アルプスの山小屋予約システムを使って宿泊予約をしなければならず、ネット予約が苦手な私にとってはなかなか予約が取りずらいのが難点である。折り返してトラバース道を通り八本歯のコルに向かう。(2日目後編に続く)

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サンピラー立ち昇る北岳の夜明け 令和3年6月26日

2021年07月03日 | 番外編
 前日は8時に寝て予定通り未明3時に目が覚めた。満月が照らしているためか窓から透かして見る外の景色が明るく見える。服を着込んで三脚とカメラを持って外に出てみる。スッキリと晴れているわけでは無いが、月光に照らされた鳳凰山や仙丈ケ岳、甲斐駒ケ岳など南アルプスの山々が姿を見せている。北岳の右側には明るい満月が雲を透かして見えていた。


    未明の仙丈ケ岳と甲斐駒ケ岳


    鳳凰山と雲に浮かぶ富士山


    北岳と6月の満月ストロベリームーン


    北岳と富士山


    日の出前の仙丈ケ岳


    甲斐駒ケ岳


    肩の小屋のテント場と富士山


    空が赤く染まり出した富士山


    雲間に見える朝日

 標高3,000mの朝は結構寒い。それなりに着込んではきたが手袋を付けて来なかった手先はかなり冷たい。折角なので北岳の斜面に朝日が射しこむまでは辛抱して待ってみることにする。すると、鳳凰山に昇りかけた朝日の上に真っ直ぐに立ち昇る光の柱が見え始めた。これはサンピラーではないか?


    朝日は雲の中にもう昇っている。その上にうっすらと真直ぐに立ち昇る光の柱が見え始めた。


    次第にはっきりと見えるようになってきた。これはサンピラーではないか?


    間違い無さそうだ。初めて見るサンピラーに感激。


    北岳を染める朝日

 朝食は5時だったが、ギリギリの時間までこの景色に酔いしれた。朝日が雲の上に昇った頃にはサンピラーは消えてしまった。小屋に戻って朝食をいただき、5時半に肩の小屋を出発して山頂に向かう。天候は良さそうだ。本日の本番はこれからである。

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