平成23年5月14日
山頂直下に長い鎖場が2ヶ所ある乾徳山。登って良し、景色良し、山に登ったという満足感の得られる楽しい山である。しかし、初心者にとっては傾斜の厳しい頂上直下の鎖場はちょっと難しく、滑落して大怪我をした人や、また命を落とした人もいる。今回のメンバーは登山歴数ヶ月が2名、高校時代の山岳部が1名と私の4人構成。しかし3人とも乾徳山は初めてで、鎖場の経験もほとんど無い。そこで念のためザイルを準備して、滑落しない程度に補助しながら登ることにした。
6時半甲府市内の職場前駐車場集合。一人は山梨市なので途中で拾い、車2台で乾徳山に向う。1台は大平牧場に止め(ちなみに1日800円の駐車料金がかかります)折り返して徳和の登山口に移動してそちらから登りはじめる。ルート的には大平牧場のほうが楽だが、乾徳山を存分に楽しむには水場が2ヶ所ある徳和のルートのほうが面白い。歩き始めるまでの準備に時間がかかり、乾徳山登山道の入り口に着いたのは9時になってしまった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/cb/4f49261fb6be7e58c3542cb81488d97c.jpg)
徳和の乾徳山登山口 車でも行けるが悪路、かつ駐車場がこの辺りにはない。15分ほど手前の駐車スペースから歩くのが無難。
既にたくさんの人が登って行った。登山道入り口でも7~8人の人たちが登り始めるところだった。足の遅い私たちのグループは後ろから来た人たちに皆追い抜いて先に行ってもらい、鎖場での渋滞を避けるように午後1時過ぎの山頂到着を目指す。銀晶水、錦晶水の水場や、登山道沿いに咲いているマムシグサ、タチツボスミレ、ニリンソウなどの花を楽しみつつ、12時20分、国師ヶ原の月見岩に到着した。春霞に霞んだ富士山が甲府盆地の向こう、御坂山塊の上に立つ。昼食の時間だが、ここはおやつに留めて、山頂まで楽しみはとっておく。さて、ここから先が核心部だ。
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銀晶水の水場に咲いていたニリンソウ
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国師ヶ原から見上げる乾徳山
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月見岩 休憩に適しており、富士山の眺望が良い。
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月見岩から見る富士山
通常ならば1時間少々で山頂だが、ザイルを出して補助するために相当な時間がかかる。都合良く、ほとんどの人はもう下山して行ったので、鎖場で渋滞することは無さそうだ。道は険しさを増し、岩場を登るようになる。高度感のある足場を越えていよいよ1ヶ所目の鎖場となる。ここの鎖場は2段になっていて、1段目は傾斜が緩く難無く登れるが、2本目の鎖はぶら下がるようにしないと難しい。私が先に登ってザイルを固定、さらに自分の体をシュリンゲとザイルで鎖の支柱に固定し、補助しながら3人に登ってもらう。この補助はあくまでも滑落防止のもので、間違って鎖から落ちたとしても1~2mの落下で済むように補助するだけのものである。従ってザイルで引き上げるのではなく、あくまでも自力で登ってもらうことになる。山岳部だった1人は最初だけ補助したがあとは補助無しで登ってもらった。他の2人は恐いと言いつつも無事に鎖場を越えて2本目の鎖場に向う。
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岩場を登る。これから核心部の鎖場。
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乾徳山山頂直下の鎖場。初めて見ると、これを登るのか、と思ってしまう。
山頂直下の最後の鎖は下から見上げると垂直に近い1枚岩を登って行くように見える。左腕に不安がある私は巻き道を使うかどうか迷ったが、左手でぶら下がってみて大丈夫そうだったので登ってみたが、全く問題なかった。ここも2段階でザイルを使用、最初の平面の岩は少しばかり補助ザイルに力を加えて引き上げたが、2本目は足場があるので普通に登り、ようやく山頂に到着した。時間は2時半、月見岩から2時間近くかかったことになる。しかし、何事も無く無事に山頂まで到着できて何よりだった。
見渡せば先ほどの月見岩よりも遥か上から甲府盆地を望み、富士山も大きく見える。裏側には金峰山五丈岩の針のような突出、国師ヶ岳、甲武信ヶ岳、そして雲取山、大菩薩連山と、360度の大パノラマだ。3人とも大いに満足してくれたようだ。
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山頂到着、バンザイ!
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乾徳山山頂から見る富士山 夜景を撮るならやはりここだ。ただ、テントは張れなそう。
昼食をとり、3時過ぎ、下りるのがもったいなかったが、下山にとりかかる。今度はハシゴのある巻き道を下りるが、こちらも急傾斜で結構恐い。下の鎖場は上の段だけザイル補助した。山頂でお会いしたご夫婦の、奥様のほうは山にあまり慣れていないようだったので、同様にザイル補助して下ろした。あとは大平牧場に向ってひたすら下る。月見岩の先の道満尾根は以前に歩いた時よりも歩きやすくなっているような気がした。午後5時40分、大平牧場の乾徳山登山口に到着、6時駐車場に無事到着した。
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鎖場の下り。ザイル補助で登っているところを撮ってあげたかったが、こちらもそんな余裕なかった。
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ハイ、ポーズ。余裕です。
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林道の道満尾根徳和方面への分岐点。夕暮れ迫り、影が長く伸びる。
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大平牧場の登山口に無事到着。
5年ほど前だろうか、初めてこの山に来た時に山頂直下にピンク色の可愛らしい花が咲いていた。後に調べたらクモイコザクラだった。この花がまだあるのか確かめたかったのだが、今年は花の時期が遅れていて、さらに季節が早かったこともあり、まだ葉さえ出ていなかった。国師ヶ原で見つけたノジスミレやアケボノスミレにも出会えずちょっと残念だった。収穫だったのは、この左腕でもなんとか人を補助して登るくらいはできそうだということだ。全快は困難な頚椎症による左腕のしびれと痛み、これとつきあうために、以前にも増してルートを考え、登り方を考え、体力と技術を考慮し、よりいっそう頭を使って登るようになった。山に登り始めた頃の新鮮な気持ちに戻って、また新たに山に取り組んでいる。
山頂直下に長い鎖場が2ヶ所ある乾徳山。登って良し、景色良し、山に登ったという満足感の得られる楽しい山である。しかし、初心者にとっては傾斜の厳しい頂上直下の鎖場はちょっと難しく、滑落して大怪我をした人や、また命を落とした人もいる。今回のメンバーは登山歴数ヶ月が2名、高校時代の山岳部が1名と私の4人構成。しかし3人とも乾徳山は初めてで、鎖場の経験もほとんど無い。そこで念のためザイルを準備して、滑落しない程度に補助しながら登ることにした。
6時半甲府市内の職場前駐車場集合。一人は山梨市なので途中で拾い、車2台で乾徳山に向う。1台は大平牧場に止め(ちなみに1日800円の駐車料金がかかります)折り返して徳和の登山口に移動してそちらから登りはじめる。ルート的には大平牧場のほうが楽だが、乾徳山を存分に楽しむには水場が2ヶ所ある徳和のルートのほうが面白い。歩き始めるまでの準備に時間がかかり、乾徳山登山道の入り口に着いたのは9時になってしまった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/cb/4f49261fb6be7e58c3542cb81488d97c.jpg)
徳和の乾徳山登山口 車でも行けるが悪路、かつ駐車場がこの辺りにはない。15分ほど手前の駐車スペースから歩くのが無難。
既にたくさんの人が登って行った。登山道入り口でも7~8人の人たちが登り始めるところだった。足の遅い私たちのグループは後ろから来た人たちに皆追い抜いて先に行ってもらい、鎖場での渋滞を避けるように午後1時過ぎの山頂到着を目指す。銀晶水、錦晶水の水場や、登山道沿いに咲いているマムシグサ、タチツボスミレ、ニリンソウなどの花を楽しみつつ、12時20分、国師ヶ原の月見岩に到着した。春霞に霞んだ富士山が甲府盆地の向こう、御坂山塊の上に立つ。昼食の時間だが、ここはおやつに留めて、山頂まで楽しみはとっておく。さて、ここから先が核心部だ。
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銀晶水の水場に咲いていたニリンソウ
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国師ヶ原から見上げる乾徳山
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月見岩 休憩に適しており、富士山の眺望が良い。
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月見岩から見る富士山
通常ならば1時間少々で山頂だが、ザイルを出して補助するために相当な時間がかかる。都合良く、ほとんどの人はもう下山して行ったので、鎖場で渋滞することは無さそうだ。道は険しさを増し、岩場を登るようになる。高度感のある足場を越えていよいよ1ヶ所目の鎖場となる。ここの鎖場は2段になっていて、1段目は傾斜が緩く難無く登れるが、2本目の鎖はぶら下がるようにしないと難しい。私が先に登ってザイルを固定、さらに自分の体をシュリンゲとザイルで鎖の支柱に固定し、補助しながら3人に登ってもらう。この補助はあくまでも滑落防止のもので、間違って鎖から落ちたとしても1~2mの落下で済むように補助するだけのものである。従ってザイルで引き上げるのではなく、あくまでも自力で登ってもらうことになる。山岳部だった1人は最初だけ補助したがあとは補助無しで登ってもらった。他の2人は恐いと言いつつも無事に鎖場を越えて2本目の鎖場に向う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/78/f0d0d91682cb42862780bca5d9c8f4de.jpg)
岩場を登る。これから核心部の鎖場。
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乾徳山山頂直下の鎖場。初めて見ると、これを登るのか、と思ってしまう。
山頂直下の最後の鎖は下から見上げると垂直に近い1枚岩を登って行くように見える。左腕に不安がある私は巻き道を使うかどうか迷ったが、左手でぶら下がってみて大丈夫そうだったので登ってみたが、全く問題なかった。ここも2段階でザイルを使用、最初の平面の岩は少しばかり補助ザイルに力を加えて引き上げたが、2本目は足場があるので普通に登り、ようやく山頂に到着した。時間は2時半、月見岩から2時間近くかかったことになる。しかし、何事も無く無事に山頂まで到着できて何よりだった。
見渡せば先ほどの月見岩よりも遥か上から甲府盆地を望み、富士山も大きく見える。裏側には金峰山五丈岩の針のような突出、国師ヶ岳、甲武信ヶ岳、そして雲取山、大菩薩連山と、360度の大パノラマだ。3人とも大いに満足してくれたようだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/fd/7ad7598e5180dcc70433218cbf0db39f.jpg)
山頂到着、バンザイ!
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乾徳山山頂から見る富士山 夜景を撮るならやはりここだ。ただ、テントは張れなそう。
昼食をとり、3時過ぎ、下りるのがもったいなかったが、下山にとりかかる。今度はハシゴのある巻き道を下りるが、こちらも急傾斜で結構恐い。下の鎖場は上の段だけザイル補助した。山頂でお会いしたご夫婦の、奥様のほうは山にあまり慣れていないようだったので、同様にザイル補助して下ろした。あとは大平牧場に向ってひたすら下る。月見岩の先の道満尾根は以前に歩いた時よりも歩きやすくなっているような気がした。午後5時40分、大平牧場の乾徳山登山口に到着、6時駐車場に無事到着した。
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鎖場の下り。ザイル補助で登っているところを撮ってあげたかったが、こちらもそんな余裕なかった。
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ハイ、ポーズ。余裕です。
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林道の道満尾根徳和方面への分岐点。夕暮れ迫り、影が長く伸びる。
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大平牧場の登山口に無事到着。
5年ほど前だろうか、初めてこの山に来た時に山頂直下にピンク色の可愛らしい花が咲いていた。後に調べたらクモイコザクラだった。この花がまだあるのか確かめたかったのだが、今年は花の時期が遅れていて、さらに季節が早かったこともあり、まだ葉さえ出ていなかった。国師ヶ原で見つけたノジスミレやアケボノスミレにも出会えずちょっと残念だった。収穫だったのは、この左腕でもなんとか人を補助して登るくらいはできそうだということだ。全快は困難な頚椎症による左腕のしびれと痛み、これとつきあうために、以前にも増してルートを考え、登り方を考え、体力と技術を考慮し、よりいっそう頭を使って登るようになった。山に登り始めた頃の新鮮な気持ちに戻って、また新たに山に取り組んでいる。
初めての乾徳はステキな仲間のお陰でスリリングで展望もバッチリの楽しいものとなりました。
ヨッシーさんが連れて行った方も、山が大好きになったことでしょうね。