平成20年5月4日 天候晴れ
嶺朋クラブ山行で5月連休は仙丈岳、甲斐駒ケ岳に行くこととなった。いつかは訪れてみたいと憧れていた雪の仙丈・甲斐駒、一人で行くには技術的・体力的に不安があったので同行させていただくことにした。
4月中旬から伊那側のバスが北沢峠中腹の歌宿まで動いている。初日の5月3日は北沢峠にテント宿泊予定なので、急いで行く必要は全くなし。韮崎市役所7時半集合で、3台の車に分乗して7人で出発、仙流荘10時15分のバスに乗り約40分で歌宿に到着した。ここから6kmほどの林道歩きで北沢峠に到着するが、林道の途中は大きく崩落している場所があり、復旧工事中だった。7月までには復旧させたいようだったが、間に合うかどうか難しいところではないだろうか。2時間ほど歩き、午後1時半ごろにテント場に到着した。雪は無いだろうと予想していたテント場は、まだ30~40cmの積雪があった。
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歌宿の休憩所と鋸岳
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北沢峠のテント場。結構な雪がある。
さて、私はどうしても星空の北岳、甲斐駒ケ岳、仙丈岳の写真を撮りたいので、会のテントを設営後、一人テントを担いで小仙丈岳に向かった。明日は4連休中で最も好天が予想され、未明のきれいな星空が期待できそうだ。山が呼んでいる、そんな気がした。午後2時、北沢峠出発。登り初めから雪が緩く、足をとられる。ちょうど下山してきた人に会ったが、腰のあたりまではまる場所があり、5合目までで引き返してきたという。踏み跡も少なく、果たしてたどり着けるのか?2合目を過ぎたあたりから傾斜がきつくなり始め、3合目からは夏のルートとは違う、尾根を直登する急登となる。雪が深く、痩せ尾根もあり、落ちたらかなり痛そうだ。3合目と4合目あたりで数人のパーティーと出会ったが、皆同様にここから先が大変だという。確かに4合から5合の登りはきつかった。気温が上がったために雪が緩み、どこを踏んでも足をとられる。5合目の大滝の頭に到着したのは6時になってしまった。テントを張る予定の小仙丈岳には何時に到着することやら。
5合目から先も急登りはあるものの、樹林帯を抜けたあたりからはむしろ歩きやすくなった。ハイマツ帯に入ったあたりで何やらグエッ、グエッというカエルのような鳴き声が聞える。登って行くと、右手のハイマツがガサガサと揺れている。近付いて見ると、つがいの雷鳥がお尻をこっちに向けて首をかしげてこっちの様子を伺っていた。腹の部分がまだ白い雷鳥のお出迎えに感激する。さらに雪に足をとられつつも奮闘して登り、午後8時20分、ようやく小仙丈岳に到着した。
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夕暮れ迫る頃に雷鳥に出会う。
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天の川とさそり座
風が少し吹き、白いガスが流れる小仙丈岳だったが、時折ガスの切れ間から伊那の明りや星空が見える。仙丈岳右側(西側)には沈みかけたオリオン座があり、ひときわ明るいおおいぬ座のシリウスが輝いていた。しかし、山の頂は雲におおわれて写真にはならず、一旦テントの中にもぐり込み食事と休憩をとる。深夜12時を回った頃、ガスが飛び、満天の星空が見え始める。北岳の上にはさそり座が登り、富士山の上にはひときわ明るい木星が昇りはじめ、甲斐駒ケ岳の空高く白鳥座が輝く。苦労して登って来た甲斐があった。星空の撮影には絶好の条件、あとは果たして写ってくれるかどうか。だいぶ星空撮影の感触がわかってきたが、まだ技術とレンズの問題が大きい。Iso感度とシャッター開放時間を変えながら何枚も撮影し、モニターで確認。まずまずの写真が撮れたように思う。1時間ほど撮影したところでまたガスが湧き始め、一旦テントの中に戻る。
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北岳と富士の上に木星が昇る
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甲斐駒ケ岳の上に羽ばたく白鳥座
3時を回った頃、再び雲が晴れて星空が見え出した。垂直に昇っていたさそり座は仙丈岳の方向に寝そべるように傾いている。さそりの尻尾のところにはひときわ大きな天の川が流れる。まさに今回私が狙っていた景色、小仙丈カールとさそり座をフレーム内に収めてシャッターを切る。さらに4時近くの薄明の時間になると、この時間帯の空は濃い青色に写る、撮影には絶好の時間帯となる。狙い通りの風景となる。
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薄明の仙丈岳と天の川
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伊那の明かり
5時、陽が昇り始める。この頃には北岳や甲斐駒ケ岳の山頂に雲がかかりはじめ、6時前にはもう山頂は雲隠れしてしまった。きれいな日の出は見ることができたが、朝日に焼ける山肌や朝焼けの富士山はいまひとつだった。
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日の出
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夜明けの北岳と富士 あまり焼けずに陽が昇ってしまう。
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雲湧き上がる甲斐駒ケ岳 朝6時にはもう山頂は雲の中だった。
テントで食事をとっていると、6時半にはもう登ってきた人がいた。北沢峠を早朝4時に出発し、写真を撮りに来たそうだが、富士山はもう雲隠れしていた。7時、仙丈岳山頂向けて出発、1時間くらいで着くだろうと思っていたが大きな間違い、その先も雪が深くて足をとられまくる。しかも徹夜で写真撮影していたので、ヘロヘロ状態だ。2時間近くかかってようやく山頂に到着した。記念撮影を済ませてテントに戻るが、10時ごろからは続々と登山者が登ってくる。小仙丈岳の近くでは私の山岳会のメンバーとすれ違い、さらに小仙丈岳山頂近くでは1日遅れて参加した同じ会の深沢君ともすれ違った。10時半、テント到着。たくさんの登山客が休憩しており、テントが邪魔になって申し訳なかった。即効でテント撤収、パンを食べて11時下山開始。さっさと降りる、というわけにはいかず、ズルズルの雪に何度も足をとられながら下る。5合目から下の急斜面はやはりかなりまいった。荷物と体重が重いこともあるのだが、階段状の踏み跡を踏むたびに踏み跡がくずれて、何度となく足が雪にはまりこむ。しかも、右膝の古傷が痛み出してきた。徹夜の疲れも相まってヘトヘトになりながら、午後2時、ようやくテント場到着。自分のテントを設営し終えた頃に会のメンバーたちが到着しはじめる。
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早春の仙丈岳
会の女性メンバーたちに夕食をつくってもらってご馳走になり、持って行ったビールやウィスキーを飲んですっかりほろ酔い気分、6時過ぎには早々に自分のテントにもぐり込んで眠る。翌日は甲斐駒ケ岳に連れて行ってもらう予定だったのだが、右膝の痛みと疲れがひどく、一緒に歩けそうになかったのでリタイア。翌朝歌宿10時15分のバスに乗り、帰ってきた。雪の甲斐駒ケ岳は来年まで持ち越しだ。
嶺朋クラブ山行で5月連休は仙丈岳、甲斐駒ケ岳に行くこととなった。いつかは訪れてみたいと憧れていた雪の仙丈・甲斐駒、一人で行くには技術的・体力的に不安があったので同行させていただくことにした。
4月中旬から伊那側のバスが北沢峠中腹の歌宿まで動いている。初日の5月3日は北沢峠にテント宿泊予定なので、急いで行く必要は全くなし。韮崎市役所7時半集合で、3台の車に分乗して7人で出発、仙流荘10時15分のバスに乗り約40分で歌宿に到着した。ここから6kmほどの林道歩きで北沢峠に到着するが、林道の途中は大きく崩落している場所があり、復旧工事中だった。7月までには復旧させたいようだったが、間に合うかどうか難しいところではないだろうか。2時間ほど歩き、午後1時半ごろにテント場に到着した。雪は無いだろうと予想していたテント場は、まだ30~40cmの積雪があった。
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歌宿の休憩所と鋸岳
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北沢峠のテント場。結構な雪がある。
さて、私はどうしても星空の北岳、甲斐駒ケ岳、仙丈岳の写真を撮りたいので、会のテントを設営後、一人テントを担いで小仙丈岳に向かった。明日は4連休中で最も好天が予想され、未明のきれいな星空が期待できそうだ。山が呼んでいる、そんな気がした。午後2時、北沢峠出発。登り初めから雪が緩く、足をとられる。ちょうど下山してきた人に会ったが、腰のあたりまではまる場所があり、5合目までで引き返してきたという。踏み跡も少なく、果たしてたどり着けるのか?2合目を過ぎたあたりから傾斜がきつくなり始め、3合目からは夏のルートとは違う、尾根を直登する急登となる。雪が深く、痩せ尾根もあり、落ちたらかなり痛そうだ。3合目と4合目あたりで数人のパーティーと出会ったが、皆同様にここから先が大変だという。確かに4合から5合の登りはきつかった。気温が上がったために雪が緩み、どこを踏んでも足をとられる。5合目の大滝の頭に到着したのは6時になってしまった。テントを張る予定の小仙丈岳には何時に到着することやら。
5合目から先も急登りはあるものの、樹林帯を抜けたあたりからはむしろ歩きやすくなった。ハイマツ帯に入ったあたりで何やらグエッ、グエッというカエルのような鳴き声が聞える。登って行くと、右手のハイマツがガサガサと揺れている。近付いて見ると、つがいの雷鳥がお尻をこっちに向けて首をかしげてこっちの様子を伺っていた。腹の部分がまだ白い雷鳥のお出迎えに感激する。さらに雪に足をとられつつも奮闘して登り、午後8時20分、ようやく小仙丈岳に到着した。
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夕暮れ迫る頃に雷鳥に出会う。
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天の川とさそり座
風が少し吹き、白いガスが流れる小仙丈岳だったが、時折ガスの切れ間から伊那の明りや星空が見える。仙丈岳右側(西側)には沈みかけたオリオン座があり、ひときわ明るいおおいぬ座のシリウスが輝いていた。しかし、山の頂は雲におおわれて写真にはならず、一旦テントの中にもぐり込み食事と休憩をとる。深夜12時を回った頃、ガスが飛び、満天の星空が見え始める。北岳の上にはさそり座が登り、富士山の上にはひときわ明るい木星が昇りはじめ、甲斐駒ケ岳の空高く白鳥座が輝く。苦労して登って来た甲斐があった。星空の撮影には絶好の条件、あとは果たして写ってくれるかどうか。だいぶ星空撮影の感触がわかってきたが、まだ技術とレンズの問題が大きい。Iso感度とシャッター開放時間を変えながら何枚も撮影し、モニターで確認。まずまずの写真が撮れたように思う。1時間ほど撮影したところでまたガスが湧き始め、一旦テントの中に戻る。
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北岳と富士の上に木星が昇る
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甲斐駒ケ岳の上に羽ばたく白鳥座
3時を回った頃、再び雲が晴れて星空が見え出した。垂直に昇っていたさそり座は仙丈岳の方向に寝そべるように傾いている。さそりの尻尾のところにはひときわ大きな天の川が流れる。まさに今回私が狙っていた景色、小仙丈カールとさそり座をフレーム内に収めてシャッターを切る。さらに4時近くの薄明の時間になると、この時間帯の空は濃い青色に写る、撮影には絶好の時間帯となる。狙い通りの風景となる。
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薄明の仙丈岳と天の川
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伊那の明かり
5時、陽が昇り始める。この頃には北岳や甲斐駒ケ岳の山頂に雲がかかりはじめ、6時前にはもう山頂は雲隠れしてしまった。きれいな日の出は見ることができたが、朝日に焼ける山肌や朝焼けの富士山はいまひとつだった。
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夜明けの北岳と富士 あまり焼けずに陽が昇ってしまう。
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雲湧き上がる甲斐駒ケ岳 朝6時にはもう山頂は雲の中だった。
テントで食事をとっていると、6時半にはもう登ってきた人がいた。北沢峠を早朝4時に出発し、写真を撮りに来たそうだが、富士山はもう雲隠れしていた。7時、仙丈岳山頂向けて出発、1時間くらいで着くだろうと思っていたが大きな間違い、その先も雪が深くて足をとられまくる。しかも徹夜で写真撮影していたので、ヘロヘロ状態だ。2時間近くかかってようやく山頂に到着した。記念撮影を済ませてテントに戻るが、10時ごろからは続々と登山者が登ってくる。小仙丈岳の近くでは私の山岳会のメンバーとすれ違い、さらに小仙丈岳山頂近くでは1日遅れて参加した同じ会の深沢君ともすれ違った。10時半、テント到着。たくさんの登山客が休憩しており、テントが邪魔になって申し訳なかった。即効でテント撤収、パンを食べて11時下山開始。さっさと降りる、というわけにはいかず、ズルズルの雪に何度も足をとられながら下る。5合目から下の急斜面はやはりかなりまいった。荷物と体重が重いこともあるのだが、階段状の踏み跡を踏むたびに踏み跡がくずれて、何度となく足が雪にはまりこむ。しかも、右膝の古傷が痛み出してきた。徹夜の疲れも相まってヘトヘトになりながら、午後2時、ようやくテント場到着。自分のテントを設営し終えた頃に会のメンバーたちが到着しはじめる。
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早春の仙丈岳
会の女性メンバーたちに夕食をつくってもらってご馳走になり、持って行ったビールやウィスキーを飲んですっかりほろ酔い気分、6時過ぎには早々に自分のテントにもぐり込んで眠る。翌日は甲斐駒ケ岳に連れて行ってもらう予定だったのだが、右膝の痛みと疲れがひどく、一緒に歩けそうになかったのでリタイア。翌朝歌宿10時15分のバスに乗り、帰ってきた。雪の甲斐駒ケ岳は来年まで持ち越しだ。
甲斐駒ケ岳は残念でしたね。
雪、まだ深そうですね。
鳳凰三山は余り足をとられることもありませんでした。アイゼン装着で足取りは重かったですが。
星空、さぞ幻想的なんでしょうね。
うらやましいです。
Y-chan
特に「天の川とさそり座」にうっとりです!
「自分もっ!」と思ったことも無くはないのですが、何しろバルブ撮影すらチャレンジしたことはありません。ヨッシーさんも書いておられるようにへろへろ状態で下山するのは怖いんですよね。
まずは、無理せずに今自分が出来る範囲を拡げていこうかなと思います。もっとも今回のかずさんとの毛無山もレベルアップになったかも知れませんが、まだまだマゾ度は足りなかったかな・・・
あ、そうそう私も毛無山の主に会いました。レポの続きもごらんください。