山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

ホザキの一ッ葉が咲く御坂山塊の山へ  平成27年7月15日

2015年07月22日 | 御坂・毛無・天子山系
 山梨県では南アルプスをはじめとする数か所の山でこの花が咲いているとの情報を得ているが,最も近いのが御坂山塊である.ホザキの一ッ葉の草は数が少なく,ほとんど固まって咲いている場所は無く,単発的に散在して数株のみ咲いているのが現状である.環境の変化によってはすぐにでも絶滅してしまうのではないかと大変危惧している花のひとつである.

 この山にはこのほかにも稀少なラン科植物が咲くが,保護柵やロープは張られていない無法地帯のため,鹿の食害が著しいだけでなく人の踏み荒らしも目立ってきており,今年は盗掘もあったと聞く.この一ッ葉の草もいつまで咲いてくれるのか,保護しなくて大丈夫なものなのか,かなり心配な状況にある.


    この山ではテンニンソウまでが鹿に食べられており,草を食べ尽くして鹿の食べ物が相当無くなっていることが伺える.


    草地の中に一株だけ咲いているのを見つけたホザキの一ッ葉ラン.


    別角度から撮影.あたりを探したが葉も見つからず,この株だけ.


    少し離れた場所で発見した株.近くにはこれと同じような小葉が一枚あった.


    緑色で地味な花だが,すらりと伸びるその姿は森のプリンスといった感じを受ける.


    接写.精巧な造りをした小さな花かたくさん並ぶ.


    近くにあったオオヤマサギソウはもうすぐ咲きそうだ.


    こちらは林道脇に咲いていた大株のクモキリソウ.


    クモキリソウ

 クモキリソウ属の植物は花が咲き終えた後に根元付近に小さな芽を出し,自力で株分けして増殖することができる.そのため必ずしも受粉せずとも自力で株を増やすことができ,このように周辺に小葉を含めてたくさんの株を増やすことができる.しかし,アツモリソウはそのような増殖能力は基本的に持っておらず,確立の低い種子からの増殖が主体となる.そのため盗掘されてしまうと自力で増えることはきわめて困難となってしまう.このホザキの一ッ葉のランはどうなのだろうか?散在的に咲いているところを見ると,自力の株分けによる増殖能力はきわめて低いように見える.


    こちらは南アルプスの山で見つけた一株.うれしいことに,根本には別の小葉がひとつ出ている.


    すっかり踏み荒らされて通路が出来てしまっている稀少な花の咲く場所.これはもう保護に乗り出すしか無いだろう.

 鹿の保護柵も人の保護ロープも設置されていないほとんど無法地帯のこの山は,保護対策を講じないとやがて裸山になってしまうのではないかと心配している.場所を隠すだけが保護ではなく,積極的な対策が必要であることを三つ峠の植物観察会・勉強会以来痛感している.目指しているのは開かれた保護であるが,果たしてそんなことが出来るのかどうか?難しい問題である.



    

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2 コメント

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Unknown (sanae)
2015-07-24 17:15:33
ホザキ・・、ちゃんと咲いているのはまだしっかり見ていないような気がします。
ここ(たぶん?)も気になりつつ、前回行った時には葉が確認できませんでした。

貴重な御坂の山や櫛形、その他の山々の保護の問題もしなければ守れないようでもあり、保護したためにまた盗掘というジレンマもありますね。
大勢の方が一生懸命向き合っていらっしゃるのに本当に残念です。
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sanaeさんへ (ヨッシー)
2015-07-27 10:53:36
 山は同じと思いますが場所は違うかもしれません。

 この山は最近有名になって、踏まれまくっていますね。罰則が無いので盗掘以上に厄介かもしれません。保護に乗り出そうと思っています。
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