山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

幻の甲斐の黄花を探して  平成27年8月下旬

2015年09月01日 | 番外編
 本当にあるのかどうか、どこにあるのか、ほとんど情報の無いこの花が存在していたことだけは確かなようだ。かつてネット上では売買がされていたようだ。他県に咲くこの花の近似種は既に天然記念物に指定されており、採取も移動も売買も禁止されている。しかし山梨県ではその存在すら確認されていないため、保護も規制も何もされていない状態にある。もし本当にまだ残っているとしたら、分布と数を確定して県庁、ないしは環境省に報告し、保護に出なければ絶滅してしまう可能性がきわめて高い。今までの花探しの中で、この花を探すことが最も困難であることは間違い無いが、これほどの使命感を感じて花探しをするのも初めてである。これから築くのは敗退の山、それでもこの花に出会ってみたい。

 天候が思わしくなかったこの日はよほど行くのをやめようかと思ったのだが日程がそれほどとれるわけでは無く、場所の下見だけでもしておかないと行かず仕舞いになってしまいかねない。今回の予定地はヤマヒルが多い場所だけに、雨の日は餌食になり兼ねない。案の定目的地に近付くと雨が降り出した。

 傘を差して河原まで下降してみる。今日は下見だけだ。苔の青々と生すその沢、怪しいといえば怪しいが標高が低く遡上するにはかなり時間がかかりそうだ。足元を見るとさっそくヤマヒルが靴を這い上がろうとしており、持って行ったメタノール調合液で撃退する。河原にはいないだろうと思っていたのだが、気を付けて足元を見ていると砂地を猛スピードで近付いてくるやつがいる。石を拾ってすりつぶす。車に戻ってズボンをまくり上げてみると膝まで上がってきているやつがいた。これもメタノール液で撃退。この日は足元を念入りに固めてあるのでまず足に吸い付かれる心配は無いのだが、体や腕に吸い付かれたらひとたまりもない。

 その後も何本か下見するが、どこの沢に入っても同じような状況だ。雨が小降りになったところで最も怪しい1本の沢は行けそうなところまで遡上してみた。


    驚いたことに、わさび田の跡があった。


    こんな岩壁のところにいるはずだが・・・


    それっぽい葉はあるが花は無い。下見なので今回の画像はブレブレのものばかり。


    滝に突き当たった。


    左側に付いているのは明らかにホトトギス属の葉。


    近付いてみる。しかしこれは・・・


    花芽が出ているが上に向かって咲きそうだ。おそらくこれはホトトギス。


    向こうの岩にも付いているがおそらくは同じものだろう。

 2時間以上散策したが目的の花は出会えず敗退。ホトトギスと同じような環境の場所に咲き、同じ時期に開花するはずなので、まだ少し早いのだろう。9月になってから再訪し、さらに源頭まで遡上してみたいと思う。
コメント (4)
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