楽しい趣味ほど、日常生活が犠牲になる。時間と手間隙がかかるし、お金もかかる。今回は、クルーザーヨットの趣味にはどのような準備と費用が必要か分かりやすく書いてみよう。
趣味には犠牲がともなう。それにしても新品のクルーザーは700万円から1500万円もする。いくらなんでも犠牲が大過ぎる!ところが中古になるととたんに値段が下がる。700万円のものが5年くらいで100万円くらい、いやそれ以下になる。そして船は車の中古のように劣化しない。そこで筆者は中古クルーザーの趣味にした。
ヨットの趣味を紙上体験してみる方々にとっても、読んで楽しんで頂ければ嬉しく思います。
@まず安い係留地を探す手間隙を惜しまないこと
キャビンのついた中古クルーザーヨットはその長さにもよるが大体50万円から200万円。手ごろな価格は100万円くらい。長さ26フィート位が独りで船出し帆走するのに丁度良い。中古の車を買うように手軽に買える値段である。
しかし、車と同じように、船を所有するためには合法的な係留地が必要になる。
買い方の鉄則はまず第一に係留地を探す手間隙を惜しまないことになる。
格安なところは各県庁の管理する係留地。まず、県庁の土木部港湾管理課あるいは河川管理課へ問い合わせ、県営の係留地の有無、年間使用料や、空き場所が有るかを問い合わせる。年間使用料は、大体年間で2万円から10万円程度の所を探す。
フォトアルバム「中古ヨットの見分け方写真集」の中にはその例として、茨城県庁の管理する土浦港のプレジャーボート係留地の写真が数枚あるのでご参考にして頂きたい。
県営のものが近くに無ければ民間のマリーナへ係留する。年間の料金は船の長さを26フィートとすると大体30万円から150万円程度。湖は30万円くらい。東京湾沿岸は100万円前後、葉山、逗子、三浦半島西岸は150万円前後と想定してあまり大きな間違いは無い。沼津、清水、伊豆半島西岸までの遠方へ行けば相模湾沿岸より安くなる傾向。
また大きな湖にもマリーナがある。フォトアルバム「中古ヨットの見分け方写真集」の中にはその例として諏訪湖や山中湖、河口湖でのマリーナに係留しているヨットの写真がある。また海のマリーナの一例として、神奈川県の油壷の民営マリーナの風景をフォトアルバム「海辺とヨット」に出してある。三浦半島には、その他にも多数の民営マリーナがある。
中古クルーザーを買うとき船体が安いからといっていきなり購入を決定しないことが最重要。係留地を探してから購入しないと、回航費用や陸送の費用が推算出来ないし、その後の自宅からの往復が大変になる。
下の3枚の写真は神奈川県の油壷のある係留地の様子です。
@係留地と自宅の間は3時間以内が良い
さて係留地の目安がついたら次に自宅からの交通手段と所要時間を実際に調べる。購入後10年、20年、と乗る人が多いので、車で往復するのも良いが電車、バスの便もよく調べる。可能ならどちらも使え、2時間あるいは3時間で行けるところが良い。日帰りで帆走出来ないと泊りがけになり、忙しい現役の間はヨットを楽しむ回数が非常に少なくなってしまう。
東京在住の場合は北は大洗地方、南は伊豆半島くらいが限界であり、湖としては霞ヶ浦、諏訪湖、河口湖、山中湖くらいが良い。猪苗代湖には福島県営のマリーナもあり、また浜名湖の北半分も良いが東京からは遠方すぎる。
その他に見落としてはいけない係留地として各地の漁業組合の管理している漁港の岸壁がある。この場合は漁業組合と丁寧に交渉する必要がある。
@係留地の外の水域の広さと深さを調べる
クルーザーの帆走には広い水域が必要である。湖の場合は、少なくとも幅2Km長さ5Kmは欲しい。またヨットにはキールという重い鉄板が船底にぶら下っているので深さも5m以上が欲しい。係留地の近辺に魚網や牡蠣棚が広がっているとキールを引っ掛けてトラブルになる。特に養殖地が多数ある海では注意が要る。
このような情報は現地に行って、観光船に乗ったり現地の人々にクドクド聞いて情報を集める。
人々は海辺や湖の風景を楽しむために旅をする。その折に自分はヨットや釣り船を購入して、係留することを想像しながら、風景を楽しむのも一つの楽しみかたである。漁港のある海岸の地形が、港として最適な形の場合が多い。沖からの大波が入らないように岬がある。入り口は狭く、中は広くて深い。岸壁を広く作れる土地が陸側にある。昔から漁民は良い港になる岸辺を探し、代々苦労を重ねて漁港を作ってきた。そんなことを考えて海岸や湖の風景を見て楽しむのも良いのかも知れない。(続く)