医者と患者の相性が良い事ほど幸せな事が無い!少し重い病気になった経験のある人は同感して頂けると信じている。昨日それを再度、深く実感でき、自分の幸運を噛みしめています。そのいきさつを今日は書いてみようと思います。
昨年の5月に武蔵野赤十字病院の泌尿器科部長の田中良典先生の診断を受けました。前立腺ガン検査のPSA値が危険信号です。その数字を見て彼がキッパリと言います。「これではガンが出ている可能性が大きいです。」私は患者の厭がる台詞をはっきり言う医者は名医と信じていました。この一言で田中先生をすっかり好きになりました。私は前立腺を切除するなり、放射線を浴びせるなり何でもして下さいと答えました。心の中ではこの若い男に命預けますと叫んでいました。
その後いろいろな検査がありましたが省略します。そして昨年の8月の初旬に前立腺をまるごと切り取って貰いました。手術は困難をきわめ午前中から午後3時くらいまでかかりました。家内に後で聞いたことです。田中先生と若い医者3名と看護士2、3人がヘトヘトになって手術室から出てきたそうです。そして看護士がコンビニ弁当を沢山買ってきました。昼食抜きのむずかしい手術が成功して、途端に皆がひどく空腹だった事に気がついたのです。
前立腺は骨盤の一番奥にあり、周りの臓器を傷つけないで切り取るのがとても難しいのです。私のものは特に奥にあり、他の臓器とも癒着していて、切り離すのに長時間根気よく切り取って行かなければならなかったそうです。
その後の事は省略しますが、結論を言うとガン細胞が前立腺の外皮を破っていたので隣の臓器にもあり、全てを取り除くことが出来なかったのです。その為に3ケ月毎のPSA検査値がまた少しずつ上がっています。それは運命なので命を田中先生に預けっぱなしにしています。
その田中良典先生が昨日、前立腺ガンの患者と家族を集めて講演会を開催しました。
武蔵野赤十字病院のはじめての試みです。色々なガンの専門別に患者を集めてガン治療に関する総合的な解説をし、患者や家族の質問に答えるという企画です。それは病院の信頼性を高める素晴らしい企画です。
昨日は山崎記念講堂に100名近い参加者が出席しました。田中先生は午後2時から4時まで2時間にわたって前立腺ガンの検査と治療法からはじめて、先端治療技術の比較検討までを含めて理路整然と話してくれました。患者の診断と手術で忙しいのに数十枚の明快な図面を用意して説明してくれました。
医学的にかなり高度な内容でしたが90%理解できます。素人にも分かり易く話せる人は本物の科学者です。私は、ああこの人に命を預けて本当に良かったと深く安堵しました。兎に角、自分に出来ることと出来ない事を患者の心を傷つけないように、しかし明快に言うのです。こういう医者は信頼して良いのです。話の終りのほうで、ご自分が行政機関とともに熱心に進めている「地域連携ネットワーク」につぃても説明がありました。講演終了後30分もいろいろな質問に答えてくれ、午後4時30分に散会になりました。
いろいろな分野のガン患者を集めて2時間半総合的に説明する。こんな素晴らしい企画を武蔵野赤十字病因が始めたのです。流石、評価の高い病院と感心しました。次回は胃ガンにつぃて10月に開催されます。武蔵野赤十字病院のホームページに詳細なご案内げ出るそうです。
下に昨日の田中良典先生の講演会の写真を示します。
今日も皆様のご健康と平和をお祈り致します。藤山杜人