昨夜の9時から10時15分までNHKテレビで今回の大津波の特集がありました。地震発生以来、現地で取材を根気良くした結果を丁寧に纏め上げた完成度の高い作品でした。主題も明快で、「何故助かった人と亡くなった人が居たのか?」というテーマで、その運命の分かれ道を描こうとしていました。
ご覧になられた方も多いと存じますが、いろいろな事を考えさせる深い内容の番組でした。大津波が起きてもう1ケ月になります。マスコミはまだ避難所に居る人々の窮状を報道しています。復興を支援するボランティアの活動を報道しています。
しかし大津波が襲って来た時に何が起きたかを忘れがちになっています。私は時々津波動画集:http://youtube-shocking.sblo.jp/article/43900370.html を見ていろいろな事を考え続けています。大自然の猛威に対する人間の無力さ。そして自然現象の予測が出来ない科学の無力さ。小さな人間が思い上がる事の愚かさ。などを心に刻み込んでいます。
ところが昨夜のNHKの番組はそのように観念的な内容ではありません。具体的な人間の行動を調べて分かり易く編集しています。
結論を言えば、「地震が起き、津波警報が出た時、一散に逃げた人は生き延びた」という冷厳な事実になります。
しかし逃げないで津波に流され、幸運にも助かった人々の話を丁寧に聞いています。そして逃げなかった理由を明らかにしています。
逃げなかった理由に「津波は来ない!」と想った人が多いのです。三陸の危険な町に住んで居てもそう思ったのです。何故でしょうか?驚く事実を知りました。過去に何度も地震があり、その度に津波警報が出て、避難したそうです。100回も避難しても一回も津波が来なかったそうです。来ない津波の警報をお役所的な感覚で出し続けた気象庁が悪いのです。念の為に出した。しかし津波は来なかった。それではその警報を出した国家公務員の地震学者を処罰すべきなのです。そうしなければ地震や津波を予測する科学は発達しません。
津波警報でも逃げないで、不幸にも亡くなった方々は日本の官僚文化に身を任せた地震や津波に関する学者の犠牲になったとも言えます。
日本文化に巣くって居る、「念の為に、何々をして置く」という発想や考え方は大きな悲劇を招くのです。勿論、「念の為に、何々をして置く」という考えで助かる事も多いのです。しかし念の為何かをしたら、その結果を深く分析して悲劇が起きる場合は「念の為・・・」だ絶対にすべきではないのです。
100回に一回しか津波の来ない津波警報は「警報」ではないのです。
津波が来ると分かっていて、介護中の父母のために逃げられなかった人の話は感動的でした。津波に襲われ、それでも九死に一生を得たのです。
逃げなかった人々にはいろいろな事情があったのです。考えさせる深い内容の番組でした。
今日は不運にもいろいろな理由で津波にさらわれて亡くなった方々のご冥福をお祈り致します。合掌。