後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

電源完全喪失でも爆発しないトリウム熔融塩原発炉の提案、その一

2011年05月30日 | 日記・エッセイ・コラム

以下の古川和男さんのインタビュー記事を注意深くお読み下さい。

現在の原発は原子爆弾の原料になるプルトニュームの生産が副産物として生産するから普及した事情が明快に分かると思います。実は日本もその例外でなかったのです。古川和男博士は私の先輩で真面目な原子力工学の研究者でした。いいかげんな男ではありません。

=======古川和男博士のインタビュー記事=======

著者インタビュー

聞き手◎「本の話」編集部

古川和男

Kazuo Furukawa 元東海大学開発技術研究所教授

         ウクライナ科学アカデミー外国会員

  この原発なら福島やチェルノブイリは起こらなかった!

『原発安全革命』  2011.5.20刊

(文春新書・発売中・『「原発」革命』緊急増補新版)

――古川さんは、これまでの原発とは全く原理の違う安全な原発を、この本で提案されていますね。

古川 ええ。これまでの原発は、固体のウラン燃料を燃やす、一般に発電量一〇〇万キロワット以上の規模の大きなものでしたが、私が提唱する原発は、燃料形態を固体から液体に代え、燃料自体をウランからトリウムに代え、規模も二、三十万キロワットレベルにしたものです。こうすると、福島やチェルノブイリで起きたような過酷な事故は、原理的に起こりえません。また、きわめて発電効率の高いものにできる。安全で高効率ですから、今後世界中で予想される膨大な電力需要に、充分に対応できます。

――まず、安全性の面から説明してくださいませんか。「原理的に事故を起こさない」とは、どういうことでしょう?

古川 福島の事故を振り返ってみてください。まだ危機的状況が続いている上に、データが明らかにされていないので、正確な原因分析はできませんが、地震直後は、核分裂の連鎖反応を一応は止めることができた。ところが、続く大津波で核物質を冷却するための電源がすべて失われ、核物質が発する高い崩壊熱のために燃料棒が破損・熔融し、さらに水素爆発などが原因で炉が破損して、反応で生成した各種の放射性物質が大量に外部に漏れ出た。おそらくこうした事態が起こったと考えられるわけですね。

「想定外」の津波が直接の原因であり、また、東京電力や国の危機管理意識・能力のあまりのなさが事故を決定的に悪化させたのは間違いありませんが、そもそもこうした事故は、燃料が固体であることに遠因があると言っていいのです。原発の燃料形態に固体を選んだという点で、日本だけでなく、そもそも世界が間違っていたのです。

 被覆管に密封された核燃料のまわりを水が循環し、その水が反応熱を得て熱水となり、その熱水から生じる水蒸気でタービンを回して発電する、というのが今の原発の発電の仕方ですが、この方式では核燃料や被覆管は、核反応や放射線の影響で変質・破損・熔融しやすくなります。また、反応で発生するガスが被覆管内部に密封され、高圧となって、管が破損したときに外部に噴き出す危険も生じます。さらに、水が放射線で分解され、爆発の危険性のある水素を発生させます。高温・高圧となる水による材料の腐蝕も難問です。こうしたもろもろの不都合を抑え込むために、炉の構造は各種の安全装置やモニター機器類を装着して複雑になり、それだけ保守・点検が大変になります。

 本来、核分裂というのは化学変化でもあり、液体で取り扱うべきものなのです。核燃料が液体だったら、今言った技術的難点はほとんど解決できます。反応のコントロールが容易で、決定的に安全性が向上します。炉の構造も単純になり、保守・点検が簡単になるだけでなく、ロボットなどを利用した遠隔管理も実現でき、作業員の被曝も最小限にできます。

結局、固体燃料を採用している今の原発の設計思想は、核化学反応の本性を無視しているとしか言いようがない。それで、「合理的な技術の原理で対応」するのではなく、「多重防護という無理筋対応」をするしかなくなっているのです。

燃料はガラス状に固まる

――古川さんの提案する炉では、「全電源喪失」が起こったらどう対処するのですか?

古川 そのお話をするには、液体燃料とは何か、を先に説明しておかねばならないので、ちょっとその話をします。液体にもいろいろあって、我々が提案している液体は熔融塩というものです。塩というと、皆さんはまず食塩を思い浮かべるでしょうが、その親戚みたいなものです。地球のマグマをイメージしていただいてもいい。放射線を浴びても変質したり壊れたりしない、とても安定した液体で、これに核燃料を溶かし込んで使うわけです。この熔融塩燃料は、冷めるとガラスのように固まります。空気や水と反応しません。

 で、「全電源喪失」ですが、今の原発でこういう事態になると、核燃料が冷却できなくなって「崩壊熱の暴走」が起こるわけですね。しかし、そもそも熔融塩燃料なら核反応のコントロールはきわめて容易で、弁を開き、真下に設置されたホウ酸水の冷却プール内のタンクに燃料塩を落してやれば、炉内に燃料が無くなる訳ですからすぐに連鎖反応が止められるだけでなく(燃料が炉内にあるからこそ連鎖反応が起こる仕組みになっている)、摂氏約五百度以下になると、今述べたように燃料塩はガラス状に固まります。こうして非常時の処置として、タンクに落とし自然冷却すればよいのです。この落下弁は、炉の運転時は冷却して凍らせているのですが、冷却をやめると融けて開くので、電気不要です。だから「崩壊熱の暴走」を心配する必要はない。

原発事故で一番怖いのが放射性物質の外部への流出で、今回もガスとして、あるいは水に溶けて漏れ出たわけですが、ガラス固化した燃料塩なら、気化もせず、水にも溶けないので、流出はありえません。また、炉の運転時、核反応に伴い発生するガスは、常に炉から除去する仕組みになっているので、事故時に炉に残存しているガスはほんのわずかです。

仮にテロなどで炉が破壊されても、炉の外に漏れ出た燃料塩は、すぐに冷めてガラスのクズ状になるだけで、炉は停まります。つまり「反応を止める」「冷ます」「漏れを防ぐ」というすべての面で、熔融塩燃料は理想的なのです。(その二へ続く)


今日の散歩・・・巨大なユリノ木(袢纏木)の花の写真を撮る

2011年05月30日 | 写真

4、5日、雨に降りこめられて、散歩へ行けませんでした。今日は久しぶりに雲の間から青空が見え、乾いた風が心地よく吹いています。

単なる散歩ではなく、私のお気に入りの大きなユリノ木の青葉繁る写真を撮る目的で小金井公園へ行きました。

大きなユリノ木が6本ほど公園の東端に近いところに聳えています。この大木の傍に行き、しばしたたずむと何故か心が豊かになります。一年を通して何回も行きます。

四季折々、何時見ても感動します。春は燃えるような新緑。そして梅雨入りの頃は花が咲き、秋には紅葉が美しいのです。冬になるとすっかり落葉して、 梢が木枯らしのなかに水墨画を描いています。

今日は、丁度タイミングが良く、その大木に花が咲いているではありませんか!

空には暗い雲がかかっていて今一つ写真の出来が良くありません。しかしお楽しみ頂ければ嬉しく思います。

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遂に放射能の怖い地域と怖くない地域が明快になりました!

2011年05月30日 | 日記・エッセイ・コラム

結論を書きます。放射線の強さが0.09マイクロ・シーベルト(毎時)以下の平常値近くへ下がってしまった地域はもう放射能は怖くない地域です。青森市、秋田市、盛岡市、仙台市、山形市、新潟市、水戸市、宇都宮市、前橋市、さいたま市、東京都、長野市、静岡市などはもう心配が要りません。特にいままで放射線強度の高かった仙台市、水戸市、宇都宮市がグッと下がり、平常値に近い値になりました。

これとは対照的に放射能が強い、危険な地域も明快に特定されます。危ない地域は飯舘村の長沼、浪江町の赤宇木、浪江町の津島、浪江町の下津島の近辺です。それと勿論原発から半径20km以内の地域です。

どうして原発から30kmも離れたここだけが危険なのかは、最近の気象と放射性微粒子の降下との解析から分かって来たのです。原発2号機の爆発の時、吹き上げた炉心からの微粒子が、この地域だけに降り注いだのです。(福島原発の炉心からの放射性物質は何処へ流れ、何処に堆積しているか?・・・現在までの推測の結論 をご参照ください)。

この解析は気象と降下量の関係のシミュレーションのSPEEDIで随分早い時期から解っていたようです。それを発表しなかった経済産業省原子力・保安院を非難すべきと思います。

それはそれとして、福島県内には危険か、そうでないか微妙な地域も沢山残っています。

それは福島市と郡山市です。福島市は1.42、そして郡山市は1.30マクロ・シーベルト・毎時と依然として高い値を示しています。健康に害を与えないという値だそうですが、小学校や保育院の庭の表土に降下し堆積した放射性微粒子が増加する一方なので心配です。

その他の南相馬市の0.47といわき市の0.23は注意すべき数値です。

このように福島県内で放射能がなかなか下がらないのは原発1号炉から4号炉までの炉心から相変わらず放射能を持った微粒子を含む水蒸気が空中へ放出されているからです。

しかしこの水蒸気によって運ばれる微粒子は遠方まで飛んで行かないようです。水蒸気が水滴になって、近場の福島県内に降下するためではないでしょうか?

結論は明快です。絶対に危険な所は、飯舘村の長沼、浪江町の赤宇木、浪江町の津島、浪江町の下津島の近辺です。勿論、半径20km以内は絶対に危険です。

絶対に安心して良い地域は、青森市、秋田市、盛岡市、仙台市、山形市、新潟市、水戸市、宇都宮市、前橋市、さいたま市、東京都、長野市、静岡市などです。

今後の放射性微粒子の堆積状況を見ながら、要注意の地域は福島市と郡山市です。

以下に、文部科学省の測定値を示します。測定は地上数mから20m位高い所のモニタリング・ポストで行われています。

時間の経過とともに、どのように低下して行ったかにご注目下さい。日本各地の正常値は0.02から0.06マイクロシーベルト・毎時と言われています。

「東北・関東甲信越の放射線量の4月中の変化と5月29日の測定値の比較」

放射線量の測定値を4月1日と4日と5日について示します。放射線の強さの単位はマイクロ・シーベルト/hour です。そして太字は4月22日の値と昨日の5月29日の値です。

正常値は0.02から0.06と考えられています。都市名の太字は正常値以上の都市です。

青森市0.026:026:0.026  0.026:0.027 

盛岡市0.028:0.025:0.025  0.023:0.022

仙台市0.093:0.077:0.081  0・073:0.076

福島市2.80:2.32:2.34: 1.71:1.42 

いわき市0.62:0.0.55:0.50  0.28:0.23

山形市0.063:0.060:0.060  0・051:0.049

宇都宮市0.092:0.082:0.080  0.065:0.060 

水戸市0.195:0.169:0.163  0.122:0.097 

さいたま市0.080:0.071:0.070  0.058:0.055

東京・新宿0.101:0.089:0・089  0.073:0.062 

千葉・市原市0.075:0.063:0.061  0.049:0.046 

長野市0.049:0.043:0.043  0.043:0.043

静岡市0.042:0.038:0.036  0.037:0.038 

 などとなっています。

以上のように放射線量は確実に低下しています。この傾向は原発に新たな爆発事故が起きない限る続きます。

ですからこそ福島原発の炉心へ窒素ガスと水の注入を確実に続行する事が一番重要なのです。

それはそれとして、

今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。藤山杜人