今回の福島原発の大事故で私は自分があまりにも愚かであった事に衝撃を受けています。動転しています。落ち着きを失って感情的になってしまいました。
まず第一の私の愚かさは仙台平野以南には絶対に津波が来ないと信じ込んでいた事です。津波は三陸海岸だけに来ると思いこんでいました。吉村昭の「三陸津波」という本を読んで何故か三陸地方特有の自然現象だと思い込んでしまったのです。
大津波が宮城、福島、茨城、千葉という南の方の太平洋岸を全て襲った後になってみると自分の愚かさに衝撃を受けます。
地震は何処の海底でも起きます。海底で地殻変動が起きれば津波が起きます。ですから日本列島の全ての海岸で津波が起きるのは当然です。それが理解できました。まさしく後知恵です。
そして自分が絶対安全と信じていた原発が水素爆発をして炉心の核燃料の一部が空中へ放散されたのです。
津波が原発を襲えば、制御棒が緊急スクラムし、高速で挿入され核反応が止まるから安全だと信じていました。ところが核燃料の自然崩壊熱が莫大で、冷却を続行しなければいけない事は知りませんでした。愚かでした。
冷却が止まった炉心から水素が漏れて、原子炉の建屋に充満し、水素爆発をするとは知りませんでした。愚かでした。
それよりもショックを受けた事は、「完全密閉」をうたい文句にしていた炉心圧力容器から水素ガスが多量に漏れ、さらに強靭な特殊鋼製の原子炉格納容器からもその多量の水素が漏れ出した事です。そして建屋に充満して爆発したのです。
原発施設は三重の密閉壁に囲まれているから絶対に放射能を持った物質は外へ出ないと教わって来ました。それを信じていた私は愚かでした。
しかし私は2年前に原発推進に反対の立場へ変更しました。その事実は2年前にこのブログで公表しています。
原発の安全性は信じていたのに反対する事にしたのです。理由は簡単です。原発の安全を信じないで、原発の存在そのものへ底知れない恐怖感を持ってる人々が居る事に気がついたからです。恐怖におののいている人々が多数住んでいる国は幸福な国ではないと確信したからです。
しかし原発を怖がっていた人々のほうが正しかったのです。福島原発の事故はその正しさを証明したのです。
福島原発の事故の後で、私はやっと自分が安全だと信じていた事が大変な間違いだったと知ったのです。こういうのも後知恵と言います。
私の職業は高温域の実験科学者でした。すべての材料は高温になると軟化し、変形し、最後には熔解する事を知っていました。ですから炉心圧力容器の完全密閉などという「うたい文句」は信じるべきではなかったのです。愚かでした。
自分がいかに愚かだったかを書き続けていたらキリが無いので、ここで一旦止めて置きます。
それはそれとして、
今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。藤山杜人