後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

この会に出るのも今回限りとなります・・・サラリとした決別の辞

2011年05月14日 | 日記・エッセイ・コラム

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大学時代のクラス会があった。卒業後50周年の会。隣に座ったG君に近況報告の順番が来た。立ち上がった彼が言う、「この会に出るのも今回限りとなります」と。そして持病の進行を淡々と話す。間もなく旅立とうとしている友人の挨拶である。ジメジメしていない淡々とした内容である。

次の朝、洒落たハンチング帽を被り、明るいグレイのジャケットを粋に着こなしたG君と、ちょっとした旅へ出る。遠方から来たM君を小田原駅へ送るのも兼ねて、小生の車で奥湯本の宿を出る。別れを惜しんでの旅である。

G君の思い出の場所を巡る小さな旅。

G君は高校卒業まで小田原には住んで居た。

始めに湯本の早雲寺の裏へ行く。大学受験の勉強をした庫裏の間の回りを散歩する。後北条氏五代の墓所から見下ろすと、よく手入れされた小堀遠州ふうの裏庭がある。それへ面した庫裏の白い壁が見える。55年前の寒い冬の2ケ月間籠もったという。春が来て、仙台の大学の入学試験に合格した。母親が先代の住職の大黒さんと女学校の同級生だったので早雲寺へ来ただけですと言う。

次に行ったのは小田原の三の丸小学校と二宮尊徳神社。車で30分程の所。

戦争中、小田原に住んでいたある宮様の子供が彼の小学校へ入学することになった。建物を新たに立て直す。校長以下教師全員を東京高等師範学校の卒業生と入れ替えた。だから現在も三の丸小学校は全国有数の立派な校舎を持つと言う。

なるほど、着いてみると、和風の荘重な雰囲気のある鉄筋コンクリートの大きな校舎群が見える。高度成長のころ市役所が建てた校舎である。以前の木造、和風の校舎の趣を残していると彼は懐かしそうに眺めている。

目の前には小田原城の箱根口があり、豊かなハスの葉が堀を埋め尽くす。かつて城跡で遊んだG君は小学校や城の話を楽しそうにする。昔は小学校から海が見え、砂浜へ出て、よく遊んだという。

二の丸跡に、二宮尊徳神社がある。一般に知られていない尊徳さんの農村活性化の逸話を聞く。G君は尊徳さんを心底尊敬している。

昼食には間があったので真鶴半島の突端の常緑樹の大木の林へ行く。車で行けば30分の近さ。G君が育った地はなんと自然が豊かな土地なのだろう。

昼食は小田原へ戻って、青物町にあるウナギ屋の蒲焼。ウナギは色々食したが青物町のウナギは身が厚く、ふっくらと煮含めたように焼き上げてある。味は甘みを控えた昔風のサッパリ味。しかしウナギの脂がのっていて味に奥行きが出ている。こんなすばらしい「うな重」が非常に低価格である。

小田原高校を卒業するまで此処に住んでいたG君が、クラス会の折々に小田原の自慢をさりげなく話していた。蒲焼を食しながら、その事を思い出し、成る程と納得する。

小田原城の堀を埋め尽くすハスは夏になると一面の白い花を咲かすと言う。

駐車場の案内人は制帽の下に見事な白髪を覗かせている。ハスの花の説明してくれる。「是非、夏にまた来てください」と。

堀の周りは城跡の豊かな樹木が緑の炎を上げているよう。風に揺れている。

この駐車場の老案内人も、G君も、そして小生もそのうちこの世を去る。

でも、この堀のハスの白い花々と、取り囲む緑の樹木は十年一日のように訪れる人を憩わせるだろう。上に掲げた写真のように。

毎年5月になるとこの小田原への小さな旅を思い出す。あれから丸3年になるが、G君は元気である。旅立つのを延期したらしい。(終わり)


今日の散歩・・・新緑の峠越えのドライブ

2011年05月14日 | インポート

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中央高速道路を相模湖ICで出ました。甲州街道を上野原まで行き、右手の山道へ入りました。新緑の山道を登り、峠のトンネルをくぐると東京都の五日市市へ出ます。山々は若い緑色に包まれ、藤の花が沢山咲いていました。心地よい風が車の窓から吹き込んで快適でした。写真をお楽しみ頂ければ嬉しく思います。

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五月の山にひっそりと咲く花々・・・園芸種でない自然の美しさ

2011年05月14日 | 日記・エッセイ・コラム

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街の花屋さんには四季折々いつ行っても花が溢れています。冬でも温室で育てた花々があります。花屋さんを見るとつい寄ってみます。

そんな私は園芸種の花々の鮮やかな色彩に慣れてしまいます。外国の絢爛な色合いの花々になれてしまっています。色彩感が知らず知らずのうちに西洋人のようになっています。

しかし山林の中に咲いている日本古来の花を見て、ハッと胸を突かれるような感動を覚えることがあります。やはり私は日本人なのですと変な自信も湧いて来ます。

ひそやかに人知れず静かに咲いている風情も良いのですが、色合いが控え目です。しかし何故か心に響く美しさを持っています。毎年、5月になると甲斐駒の麓の山林をめぐりながら自然に咲いている花々を楽しみます。今日はここ数年、5月の山林の中で見つけた自然の花々をご紹介致します。

上の写真はウワミズザクラです。森の奥に咲いていました。そして下は山藤です。山では藤棚を作る人が居ないので、こうして他の木々にからまって梢まで登って行って、咲き誇ります。藤は独立した樹木でないのです。

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下はスミレの花です。上の方だけを見ないで足元をよく見ると小さな山野草のいろいろな花が咲いています。可憐な色です。小さな形です。それが又良いものです。

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もう一つご紹介いたします。森の奥の、奥に咲いていたウツギ(ウノハナ)の花です。ほの暗い森の中でそこだけが純白に輝いて居ました。静かな森の奥でこれを見ると何故か感動します。

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その他の山林の中の花の写真はサムネイルでお送りします。

お楽しみ頂ければ嬉しく存じます。

今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。藤山杜人 

Dscn3582 Dscn3667 Dscn3686ウツギ(ウノハナ)

Dscn3577 Dscn3578 Dscn3602 キイチゴ(白)とヤマブキ(黄)

Dscn3579 ガマズミDscn3599 Dscn35851 ヤマツツジ

Dscn3704 キツネノボタンDscn3584 何方かご存知の方、お教え下さい。

上の全ての花の名前も間違いがあれば、お教え下さい。

  撮影場所:山梨県北杜市武川町の山林の中にて