今年は何年ぶりかの豪雪です。雪降ろしもままならず、家に閉じ込められ、独りで暮らす老人が多いという報道があります。そのような老人は毎日、どのような気持ちでいるのでしょうか?
家の中だけに閉じ込められるのは極端な場合ですが、道の雪が深くて買い物に行けない老人は沢山います。今日は一例を示しながら、独り暮らしの老人の本当の気持ちを書いてみます。山梨県、北杜市の山林の中で暮らす友人の生活の様子です。
その友人の山荘は下の写真の雪道を1.5kmほど登った山林の中にあります。
彼は昨年から車の運転は止めて、自転車や徒歩で買い物に行きます。しかし雪道は寒いので冬になってからは買物に行きません。
山荘に入口です。この分岐点から更に雑木林の中を分け入ります。シカやサルやイノシシの駆け回る雑木林です。
2階に大きなガラス戸のついたサンルームがあります。橋の右下が母屋で薪スーブが暖かい居間兼寝室があります。部屋数が多くて、テレビ室、仏間、3階のコンピューター室、台所、風呂場、トイレルームなどがあります。
上の写真の左の2階には夏用の大きな寝室と1階には薪の貯蔵スペースと広い作業場があります。
山荘の東は低くなっていて、写真の橋の下に清流が流れています。その向こうには下のような風景が広がったいます。
さて如何でしょうか?あなたはこのように暗くて、寒くて、寂しい場所に独りで暮らしてゆけますか?何十日も人と会いません。聞こえるのは雑木の梢を吹く風の音だけです。屋根の雪が時々落ちる音だけです。全てのものが氷りつく厳寒の山林の中です。
ここに何十年も独り暮らしをしている友人はもう老人です。少し病気なので病院へも行かなければなりません。しかし越冬中はその病院へも行けません。
さぞ苦しくて寂しい生活ではないかと思います。
しかし彼は事もなげにいつも山の暮らしの楽しさを言います。寒さで水道管が凍るる様子やお酒が氷結することを自慢げに話します。
そして石油を節約すために暖房は薪ストーブだけにしていると楽しそうに話します。買いものをしなくても備蓄の食料が沢山あります。その備蓄の様子を楽しげに見せてくれます。成程、3回くらい越冬出来そうに多量です。栄養のバランスも考えているようです。
この独り暮らしの友人の喜びは越冬生活そのものの中にあるのです。雪の日が続いた後には必ず太陽の輝く日が来ます。そんな日は2階のサンルームに行って明るい陽光をいつまでも楽しみます。夕方になり寒くなったら薪を一晩分だけ居間へ運び込みます。夜は薪の燃える香りと音を楽しみます。
彼に何か悲しみはありませんかと聞きます。困っている事はありませんかと聞きます。人間である以上、必ず辛いことや悲しいことがある筈です。しかし何も無いと言います。言いつつ田舎暮らしにあこがれて移住したが後悔していますと言います。病院へ通ったり買物に行ったりが大変になって来たので後悔していますと言います。それでも彼はその不便さに慣れてきている様子です。
結論を書けば、「老人の独り暮らしは結構楽しい」のです。この結論で終りにしますが、その先のいろいろな問題はあなたご自身でお考え下さい。
写真は、鬼家雅夫さんのブログ:http://sizen068.blog95.fc2.com/ からお借りしました。山荘の暮らしの詳細はこのブログにあります。是非、ご覧下さい。
今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)