個人的な経験ですが、私は1961年に東海村の日本原子力研究所で日本最初の原子炉の運転講習会に参加しました。それ以来、2009年2月まで一貫して原子力発電賛成の態度を持ち続けていたのです。
2007年にブログを書き始めてから、原子力発電の分かり易い解説記事を何度か掲載しました。そしてその安全性を説明する記事も掲載しました。ところが、色々な反対意見のコメントを貰ったのです。
その反対意見は立場を変えれば当然な意見です。
その結果、私は「矛盾した意見や見解も、両方を受け入れて、自分で咀嚼してしまえば幸せになれる」という考えを持つようになりました。
原発賛成者には技術者や政治家が多いのです。大会社や役人も賛成派でした。
要するに日本の主流派が賛成していました。しかし共産党や社会党は反対です。その上大多数の主婦が反対していました。
私は原発の事故の確率は飛行機事故の確率より小さいように考えられるという説を盲信して推進に賛成でした。あくまでも技術的な視野からだけ考えていたのです。
共産党や社会党の政治的反対には感情的に反発して来ました。
ところがブログを始めてみると主婦達の反対意見は女性の本能的な直感からの反対です。
「一旦事故が起きたら広範囲に放射能がまき散らされる」。「そして子供の成育に長期間の悪い影響がでる」。この2つの理由だけです。少しも政治的な意見が混じっていません。
技術的な確率論だけから考えて来た私はこの盲目的な反対論を軽蔑していました。しかしよくよく考えて見ると一旦事故が起きたことを想定すると主婦達の考えの重要性が理解出来たのです。
その上、ここが一番重要な事ですが、主婦達が恐怖を抱いて生きている国は幸福な国とは言えないという考えです。世の中の全ての女性が少しでも恐怖を抱いて生けている国は不幸な国なのです。
「国家の幸福度」という指針を考慮に入れれば原発は次第に縮小した方が良いのです。そこで2009年2月24日に、2009/02/24 「原子力発電に反対し、現実的な解決法を提案します」 という題目の記事を発表しました。題目をクリックすると記事の全文が出て来ます。
私は2009年に原発反対者になりましたが、2011年にあの福島の4つの原発が大爆発したのです。主婦達の主張がまったく正しかったのです。
さて原発の現状はどのようになっているでしょうか?
現在日本にある54基の原発のうち51基が定期検査で3月には全て停止します。
そして定期検査終了後の再稼働の開始には、原発のある県の知事の認可が必要です。多くの知事は福島県の困難な状況を見て、再稼働の認可に反対です。
従来から反対運動をして来た主婦達の意見の正しさを認めないわけにはいけなくなりました。
その上、原発が無くても日本全国の電力のやりくりがつくことも明らかになって来たのです。
この情勢では日本の原発はその数を減少せざるを得ません。完全撤廃にはまだ問題が残っていて早急には進みませんが。
しかし定期検査中の原発も、運転中と同じ位危険なことを忘れてはいけません。
数百本の核燃料棒が貯蔵プールの中にあるのです。プールの水が無くなる事故が起きればすぐに水素爆発をします。福島原発の4号炉と同じ爆発をするのです。
定期検査中の原発の現状をマスコミはもっと突っ込んだ取材をして実情を公開すべきと思います。
今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)
今日の挿絵は昨日、小金井公園で撮ったローバイの花です。梅のつぼみは固くてまだ一輪も咲いて居ませんでした。