欧米の政治や資本主義経済体制を理解する為にはキリスト教を深く理解しなければならないという主張がしばしば言われます。
しかし人間の政治的な権力慾や金銭慾は、人間が宗教を求める心よりも強い、根源的な欲望なのです。
政治体制は多神教だったギリシャの政治体制を真似た民主主義的体制です。
資本主義はイギリスの産業革命以後、急速に発展してきた一つの経済活動に関する考えかたです。
いずれもキリスト教とは無関係なのです。
それなのに「キリスト教が欧米の社会を作った。だから日本人はキリスト教をもっと詳細に知らなければいけない」と説教する人が多いのです。
しかしこの言い方は雑過ぎます。間違っていると言って過言ではありません。
ヨーロッパではキリスト教徒同士が1000万人、2000万人と殺し合った第一次世界大戦と第二次世界大戦が起きました。「汝の敵を愛しなさい」とか「人を殺してはいけない」と教えたイエス様の教えに対して違反したのです。その上、ロシア正教の国では神を否定し、教会を爆破した共産革命さえ起きたのです。キリスト教に対する反逆です。
ですからキリスト教をいくら詳細に知っても欧米人の行動は理解出来ません。彼等と良い国際関係を結ぶためにはキリスト教よりも武力や経済力のバランスを精密に考えた方が良いのです。キリスト教をいくら詳細に勉強しても、国際関係に関係ないのです。
それではキリスト教を知ると何か良いことがあるのでしょうか?
沢山あります。欧米人がイエス様に背いた時の心の痛みや悲しみが分かるのです。彼らの苦悩が分かるのです。
その上、彼らが芸術を観賞している時の彼等の感じ方が理解出来るのです。彼等はイエス様や神様や天使達のことを連想しながら観賞している時が多いのです。
赤十字に代表される博愛精神の内容が少し理解できるのです。
戦争で彼等は何故捕虜を虐待しないかが分かるのです。シベリア抑留はロシアが共産党独裁でなくロシア正教だったら起きなかったかも知れません。
このように考えるとキリスト教を理解すると欧米人を人間として受け入れる事が出来るのです。彼等の心の悲しみや苦悩が分かれば親しみを感じます。
それは我々がお釈迦様の教えに反したことをして苦しんだり悲しむのと非常に似ているのです。人間としての共通な性格を知ることが出来るのです。
このように外国の宗教を知ることが大変重要なのです。個人の心のあり方にとって大変重要なのです。
次回は中国人の仏教と道教について考えて行きたいと思います。
少し込みいった話でしたので下に宮城県の栗駒岳の麓にある一迫ユリ園の写真をお送りいたします。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。
後藤和弘(藤山杜人)
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