後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

印象派の支援者カイユボットの静かな生涯と彼自身の油彩画

2014年08月14日 | 日記・エッセイ・コラム

昨日、国立新美術館でオルセー美術館展を見ているとき、老妻が人混みを分けて私のところへ来ました。そしてカイユボットの「鉋をかける人々」をよく見て下さいと言います。その絵は昨日の記事の、今日見た油彩画 の中に掲載してあります。

この絵画は強い印象を与えます。描いている画家の筆使いの勢いを感じます。一気に描き上げたように見えますが、細部まで丁寧に仕上げてあります。

すっかり魅了されましたが、私はカイユボットなどいう名前は知りません。老妻に聞くのも口惜しいので帰宅後いろいろ調べてみました。

そうしたら彼は金持ちなので、モネ、ルノワール、ピサロ、シスレー、ドガ、セザンヌらの作品を買い、彼等を経済的に支援したのです。そしてその作品群をフランス政府へ寄贈したので、今日のオルセー美術館に数多くの印象派の作品があるのです。

ギュスターヴ・カイユボットは(Gustave Caillebotte)は1848年にパリで生まれ、 1894年に46歳で病没しました、

彼は数多くの印象派の絵画を買い上げながら自分でも油絵を描きながら、パリ郊外で菜園を作ったりボート遊びをしていました。ヨットの製作も趣味でした。

一生独身で静かな短い生涯でした。

死んでから50年以上も経ってから遺族が彼を作品を市場に出し始め世に知られるようになったのです。そして1960年代から1970年代に彼の作品が高く評価されるようになったのです。

日本で彼の回顧展が開かれたのは実に2013年になってからです。

彼はそんなに有名ではありませんが、彼の作品が好きなので下にその写真をお送り致します。なお彼の作品はパリにもありますが、多くはアメリカの各地の美術館が展示しています。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたしす。後藤和弘(藤山杜人)

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屋根の上の雪(1878)

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ヨーロッパ橋(1876)

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パリの通り、雨(1877)

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昼餉(1876)

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田舎の肖像(1876)

====参考資料=================

(1)彼の生涯:

富裕な衣料製造業者の子としてパリに生まれた。

1857年、9歳の時にルイ=ル=グラン高等中学に入り、1870年には法律学校を卒業して法律免許を得た。その頃からレオン・ボナの画塾に通い、1873年、パリ国立美術学校に入学したが、あまり登校しなかった。1874年、ドガ、モネ、ルノワールらを知った。1875年の官展に『床削りの人々』を持ち込んだが、「粗野」を理由に拒否された。

1878年(30歳)、分割相続した家産により画業に専念し、モネ、ルノワール、ピサロ、シスレー、ドガ、セザンヌらの作品を買うなどして、画家たちを経済的に助けたた。・・・・中省略・・・・

ピサロ、モネ、ルノワール、シスレー、ドガ、セザンヌ、マネの、計68点を、フランス政府に遺贈する気でいたが、当時印象派絵画はまだ『日陰者』で、ルノワールの2年間の折衝ののち、政府は漸く38点を受け入れた。現在はオルセー美術館へ移管されている。以下省略。続きは、http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AE%E3%83%A5%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%A6%E3%83%9C%E3%83%83%E3%83%88 をご覧下さい。

(2)何故、日本で彼は有名で無かったか?(2013年に初めて日本で回顧展)

何故彼は印象派の中で印象が強くないのか?その理由はふたつある。

ひとつは彼が印象派と分類される画家の中では、伝統的な絵画描法により依拠しているから。彼の絵画は明らかに「線」の絵画である。筆触が粗い作品であっても、大抵はほどよい角度がつけられた(一点)透視図法が使用されており、それが画面に奥行きと立体感を、つまり古典主義的な写実性を生み出している。・・・中略・・・・

二つ目の理由は裕福層に属していた彼は好事家(virtuoso)であったから。裕福であったために作品数が少ないこと、および市場に長い間流通しなかったこと、当時より印象派展の運営により積極的に関与していたこと、彼が蒐集した印象派作品の国家への寄贈などなど。画家としての業績が忘れられがちであったらしい。・・・以下は、http://btn1111.hatenablog.com/entry/2013/12/01/033644 にあります。

(3)カルボットの油彩画の再評価:

印象主義時代を語る上で欠かせない同派を代表する画家。観る者に現代性を強く喚起させる独特の自然主義的作品を制作。カイユボットは収集家としての知名度の方が高かったものの、近年(1960~70年代)の再評価によって画家として正当な扱いを受けるようになった。また「ブルジョワ的」とも呼ばれた古典的な表現手法とその印象も特筆すべき点である。画題としては労働、家族、生活など近代的な都市生活的画題の作品が傑出しているが、後年に手がけた風景画なども高い評価を受けている。・・・・以下、http://www.salvastyle.com/menu_impressionism/caillebotte.html に続く。