アメリカのGDPは世界一です。軍備も世界一です。アメリカと戦争をして勝てる国は世界中にありません。
しかしその社会の内部をみるとひどい格差社会なのです。そのような社会を作れば人々が努力するようになります。結果として経済成長が続き、強大な軍備を支えることが出来るのです。
日本は小泉首相の頃からこのアメリカ型の社会を目指して雇用の終身雇用を止める方向に舵を切ったのです。非正規社員の拡大と転職の薦めを行ったのです。
この政策はアメリカ型社会を作ろうとするものです。
それではアメリカの格差社会の実態を見てみましょう。
それはレーガン政権の80年以降に始まりました。
アメリカの所得分布が大きく方向を転換し、所得格差が猛烈な勢いで拡大したのです。
この原因は「格差と貧困」:http://ww4.tiki.ne.jp/~enkoji/kakusa.html という論文に明快に説明してあります。そこでその説明文を以下に転載いたします。
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なぜ格差は広がったのでしょうか。小林由美『超・格差社会 アメリカの真実』によるとその原因は、金持ちが損になるような政策はしないからです。
「富の集中は、アメリカの税政策や金融政策に深長な意味を持っている。なぜなら、民主国家の政策を決めるのは選挙に当選した大統領や議員であり、選挙で勝つための最大の武器は選挙資金だからだ」
「候補者の目がどこに向くかは言うまでもない」
そこで、「ワーキング・クラスからの徴税を大幅に増やして、投資収入で生きるトップクラスの税負担を減らす。それが、グリーンスパンがレーガンのために考案した〝減税策〟だったのである」
働いてお金を手に入れるよりも、株の売買などのほうが多くの収入を得ることができるという仕組みです。アメリカでは株主への配当が最優先され、会社の利益や長期的展望、社員の福利を考えないそうです。小泉改革も結局のところは同じです。
その結果、アメリカは「特権階級」「プロフェッショナル階級」「貧困層」「落ちこぼれ」という4つの階層に分かれ、「特権階級」「プロフェッショナル階級」の上位二階層を合わせた500万世帯前後、総世帯の5%未満に、全米の60%の富が集中しており、トップ20%が84.4%の富を握っているそうです。そして、経済的に安心して暮らしていけるのは、この5%の金持ちだけだとのことです。
アメリカ国民の60~70%を占めるといわれる中産階級は「プロフェッショナル階級」と「貧困層」に二分化しています。
アメリカ社会の最下層にいる「落ちこぼれ」は、貧困ライン(4人家族で年間所得約280万円)に満たない世帯や、スラムの黒人やヒスパニック、保留区のネイティブ・アメリカン、難民や違法移民の大半で、人口の25~30%前後を占めています。
貯金が全くない世帯は25%。人口の15.7%、4500万人は医療保険が全くなく、18~64歳に限ると、19%は医療保険がありません。・・・・以下省略
以上の文章によるとアメリカ社会は「特権階級」「プロフェッショナル階級」「貧困層」「落ちこぼれ」という4つの階層に分かれといるそうです。
そして特権階級」「プロフェッショナル階級」の上位二階層を合わせた500万世帯前後、総世帯の5%未満に、全米の60%の富が集中しており、トップ20%が84.4%の富を握っているそうです。
さて日本はここまでは酷い格差社会にはまだなっていませんが、近い将来このようになることはほぼ確実なのです。
前回の記事の、日本の貧しい人々(1)急速に増え続けている貧困層 をご覧下さい。下の図面のように日本では現在、貧困層が急速に増大しているのです。
この日本の貧困層はどのような生活をしているのでしょうか?
その分析は次回の連載記事でする予定ですが、以下に「格差と貧困」4http://ww4.tiki.ne.jp/~enkoji/kakusa.html からアメリカの貧困層の生活の実態の部分をご紹介いたします。
・・・・アメリカ社会の最下層にいる「落ちこぼれ」は、貧困ライン(4人家族で年間所得約280万円)に満たない世帯や、スラムの黒人やヒスパニック、保留区のネイティブ・アメリカン、難民や違法移民の大半で、人口の25~30%前後を占めています。
貯金が全くない世帯は25%。人口の15.7%、4500万人は医療保険が全くなく、18~64歳に限ると、19%は医療保険がありません。
「彼らは必要な医療も受けられない。病状が悪化してどうにもならず、止むを得ず病院へ行けば、返済できないほどの多額の借金を抱え込むことになる」
では「落ちこぼれ」はどういう生活をしているのでしょうか。
バーバラ・エーレンライク『ニッケル・アンド・ダイムド』は、時給6ドルや7ドルで働く女性たち(約400万人)はいったいどうやって生活しているのかと考えた著者が、現場に飛び込んで身をもって体験した体験記です。エーレンライクは、1998~2000年にかけてウェイトレス、掃除婦と老人介護、ウォルマートの店員をしました。
一番の問題は住居らしく、ワンベッドルームのアパートを借りるためには全国平均で時給8ドル89セントが必要。にもかかわらず、全労働人口のほぼ30%が時給8ドル以下で働いているそうです。
では、どういうところに寝泊まりしているのか。ウエイトレスの同僚たちは、
・ボーイフレンドと週170ドルのトレーラーハウス
・週250ドルの簡易宿泊所にルームメイトと
・夫と1泊60ドルのモーテル
・ショッピングセンターにヴァンを駐車
といった具合です。アパートを借りるために必要な1ヵ月分の家賃と敷金を払う貯えが彼らにはないのです。
一つの仕事だけではやっていけないので、別の仕事をせざるを得ません。当然、身体にはこたえます。
「単純労働など楽勝だと思われるかもしれない。だが、それは違っていた」
「仕事はすべて肉体的に厳しいものばかりで、何ヵ月も続ければ体をこわしそうなものもあった」
しかし、健康保険に入るためのお金もないし、貯金もない。だから病院には行かないし、病気をしても休まない(病気欠勤しても手当が出ない)。1998年までは「トイレ休憩の権利」すらなかったそうです。
身体の具合が悪くても仕事をしないと生活できない人がいる一方で、自分の家の掃除を業者に任せる人がいるのがアメリカの現実です。
「他人の子供の世話をするために、自分の子供の世話をおろそかにする。自分は標準以下の家に住んで、人さまの家を完璧に磨き上げる」ワーキングプアは「ひたすら与えるばかりの人たちなのだ」とエーレンライクは言います。
「賃金の面でも人に認められるという面でも、あれほど報われることの少ない仕事に、みんなが誇りを持っていることに驚かされ、ときには悲しくなるほどだった」
エーレンライクは掃除婦たちに、客たちのことをどう思っているのかと尋ねます。
「わあ、こんなの私もいつか欲しいなってことだけよ。だから仕事の意欲もわくし、恨みとか、怒りとかは全然感じない。だって、ほら、いつかはああなりたいっていうのが私の目標だもの」と答えるのは、深刻な椎間板の故障を抱え、8000ドルのカードローンを抱える24歳。
二人の子を持つシングルマザーは、「私は全然気にならないわ。きっと人間が単純なのね。あの人たちが持っているものを欲しいとは思わない。私にはどうでもいいことだわ。ただ、ときどき、どうしても休まなきゃならないときは一日仕事を休むことができたらいいなと思うだけ。休んでも、明日の食べ物が買えればいいなと思うだけ」・・・・以下省略。
しみじみと考えさせられますね。次回へ続く。
下にニューヨークの風景写真をお送り致します。
写真はニューヨークで、出典は、 https://amanaimages.com/info/infoRM.aspx?SearchKey=01171000343&GroupCD=0&no= です。
写真はニューヨークのマンハッタン街で、出典は、http://www.toptenfamous.com/top-ten-travel-places-in-the-world/ です。