ハンガリーに在住している盛田常夫(http://morita.tateyama.hu)さんが編集、発行している季刊誌、「ドナウ河の四季」2011年新春号を送って下さいました。目次を下に示します。
====「ドナウの四季」No.9=====
音楽教育の妙味 石本 裕子 1
ハンガリー赤泥流出事故の背景と教訓 家田 修 2
大空への挑戦 加藤 詩乃 4
20年振りの七転八倒 盛田 常夫 6
留学生自己紹介 粟村 岬 ・ 松永 みなみ 8
緑の丘日本語補習学校 高木 典子 10
2011年のゴルフシ-ズンを迎えるにあたって 宮崎 好文 11
スポーツ行事・運動サークル情報 12
白組~がんばるぞ~! 竹内 更 13
ハンガリーのみなさん Köszönöm szépen 安島 昇 13
満喫した南アフリカW杯 盛田 常夫 14
「ドナウの四季」ホームコンサート 15
桑名 一恵 ・ 町田 百合絵 ・ 岩瀬 桐子 ・ 松永 みなみ
珠玖 加奈子 ・ 香川 真澄 ・ 坂井 圭子
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この目次の中から、「留学生自己紹介」の粟村 岬 さんの文章がみずみずしくて面白かったのでその始めの部分のみご紹介いたします。下の写真はハンガリー観光省のHPのブタペストとドナウ河の風景写真です。
「愛おしさがきっかけに」:バラシ・インスティテュート:著者、粟村 岬
ハンガリーという国が自分の生活の一部を占めるようになって7年半が経ちました。
その割合は時期によって大きくなったり小さくなったりしていますが、今も変わらずこの国を愛おしいと思う気持ちは健在です。
旧大阪外国語大学(現:大阪大学)の日本語専攻に入学し、日本語学を専門としながらも、当時の大学のシステム上、外国語を一つ選んで専門的に勉強する機会をいただき、とくに強い思い入れもないまま選んだ言語がハンガリー語でした。きっかけはともあれ、一度学び始めると、この特異だけれど温かみがあり、柔軟性に富み、幅広い表現力をもつハンガリー語の魅力に心を奪われました。
日本語学の勉強もそこそこに、2004年夏の2カ月弱の短期留学を経て、2005年の夏、1年のハンガリー留学を決めました。ハンガリー語を勉強すればするほど、その言葉の魅力が深く感じられ、またその言葉を使って自分自身がいろいろな人とコミュニケーションを取れていることに、強い喜び
を感じるようになりました。勉強をこんなに楽しいと感じたのは、今までの人生で初めての経験かもしれません。
ハンガリー語の学習と同時に、留学生活の大きな割合を占めていたのが、ハンガリー人日本語学習者に日本語を教えることでした。高校の日本語の授業にボランティアでサポートをしに行ったり、剣道や空手のトレーニングに通う学生にプライベートで日本語を教えたり、友人の経営する日本語塾で教えたりと、日本語を教える多くの機会に恵まれた一年間でした。普段何気なく使っている母語の日本語ですが、教えてみて初めて気付く日本語の難しさや、美しさ、多様さなど、日々発見と勉強の連続で、とても新鮮で貴重な時間を過ごせました。帰国後に専門である日本語学の研究としっかり向き合えたのも、ここで日本語を教えることで日本語がどういう言語なのか見つめなおす機会になったからだと思います。=====以下省略======
この記事を特にご紹介したのは私自身の体験と合致したからです。1969年、70年とドイツのシュツットガルトに留学するときドイツ語を勉強しました。ドイツ語には特有の美しさや多様な表現力があることに感動したことを思い出したのです。そして同時に日本語の特有の性質が理解出来たのです。英語は1962年にオハイオ州立大学へ留学する時学びましたがドイツ語で感じたような感慨がありませんでした。どうしてでしょうか?英語はあまりいろいろな国々で使用されていて、何処か特有の国の文化を背負っていません。ハンガリー語のように特有の、小さな領域の文化を背負っていると魅力的な言葉に感じるのです。そういう意味では韓国語も似ていると思います。
如何でしょうか?言語に関するちょっとした感想です。ご意見を頂ければ嬉しく思います。(終り)