おやじのつぶやき

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「ドクトル・ジバゴ」(古きよき映画シリーズその10)

2012-12-10 19:40:50 | 素晴らしき映画
 DVDを借りて観る楽しみの一つに「+α」の特典のビデオがあること。「シンドラーのリスト」でもそうでしたが、後日談めいたものが語られ、映画それ自身の興味を深めさせる映像があります。「予告編」にはあまり興味がわきませんが。
 このDVD。2枚組。1枚目には、イントロダクションと本編の前半。2枚目はA面に本編の後半、B面には「豪華特典」が収録されています。出演者、制作、監督、音楽、美術などの担当者・出演者達がエピソードを語る内容が実におもしろい。
 「ロシア革命のさ中、男と女の愛と苦悩を描く」とくくってしまえば簡単ですが、ロシアという広大な大地を背景に、さらにロシア革命という近代史上まれに見る激動の時代に翻弄されつつも、精一杯に生きようとした人間ドラマです。イントロから休憩をはさんでエピローグまで、少しも見飽きさせない作品構成になっています。大ヒット曲になった「ラーラのテーマ」が随所に流れ、また、「バラライカ」が舞台回しの大事な道具(重要な楽器)として登場しています。

《スタッフ》
監督  デヴィッド・リーン
脚本  ロバート・ボルト
原作  ボリス・パステルナーク
製作  カルロ・ポンティ
音楽  モーリス・ジャール

《キャスト》
ユーリー・ジバゴ オマー・シャリフ 
ラーラ ジュリー・クリスティ
トーニャ ジェラルディン・チャップリン
パーシャ トム・コートネイ
エフグラフ アレック・ギネス
ヴィクトル・コマロフスキー ロッド・スタイガー

 ロシア革命後、ソビエトの幹部エフグラフ・ジバゴ将軍(アレック・ギネス)は、ダムで働く一人の若い娘、トーニャ・コマローバ(リタ・トゥシンハム)と面会した。彼女の父親は腹違いの兄・ユーリ・ジバゴ(オマー・シャリフ)、母親はラーラ(ジュリー・クリスティ)。若い娘には両親の記憶もなく、名前も知らないのだった。そこで、エフグラフ・ジバゴはユーリ・ジバゴとラーラの数奇に満ちた物語を語り始める。

・・・・・・・

 帰っていくトーニャ・コマローバがバラライカを持っているのに気付いたエフグラフは声をかけた。「バラライカを弾くの?」 
「彼女はプロ顔負けの名手ですよ!」恋人の明るい声が返ってきた。エフグラフは彼女がジバゴの血を脈々と引き継いでいるのを確信する。

 イギリスの名監督デビッド・リーンにとっては「戦場にかける橋」、「アラビアのロレンス」に引き続く大作。
 原作はロシアの作家・詩人のボリス・パステルナークの長編小説「ドクトル・ジバゴ」。自伝的な要素の強い作品で、当時のソ連国内では発禁処分になりました。密かに持ち出され、1957年にイタリアで出版され大評判になり、これをイタリアの大プロデューサー、カルロ・ポンティが映画化権を獲得し、ハリウッドのMGMと共同製作となりました。
 制作当時は米ソの冷戦時代のため、ソ連国内ではいっさい撮影ができず、ロシアの大地に似た風景を探し求め、結局、主な撮影地はスペイン。モスクワの市街を再現し、また広大な土地にセットを造り、ロシアの大草原・大雪原を出現させました。雪に埋もれた場面では、溶かした蝋を流して水で固まらせたとか、建物のセットも現実の建物を忠実に再現したとか、その苦心談が懐かしそうに語られています。また暑い季節での寒さの撮影風景などDVDでは苦心惨憺の撮影風景が興味深く、たくさん語られます。

 ドクトル・ジバゴはエジプト出身のオマー・シャリフが扮しますが、DVDで、アラビア人的風貌をロシア人風にするための髪型や造作などについて本人が語っています。
 ラーラ役はジュリー・クリスティ。ジバゴの妻の役には、チャップリンの娘のジュラルディン・チャップリン。DVDで、その当時を回顧しながら語っています。


 映画を鑑賞する楽しさをひときわ感じさせたDVDでした。


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