おやじのつぶやき

おやじの日々の暮らしぶりや世の中の見聞きしたことへの思い

「Caligula」(Tinto Brass)(久々の「古きよき映画シリーズ」。その36)

2013-08-14 19:12:02 | Tinto Brass
 『カリギュラ』(Caligula)は、1980年のイタリア・アメリカ合作映画。当時のペントハウス誌社長ボブ・グッチョーネが46億円の巨費を投じて製作。ローマ帝国皇帝カリギュラの放蕩や残忍さを描いた重厚な歴史超大作。が、実態はハード・コア・ポルノとも。
 監督はイタリアポルノ映画界の巨匠ティント・ブラス。主演はカリギュラ役のマルコム・マクダウェル、皇帝ティベリウスのピーター・オトゥールほか、サー・ジョン・ギールグッド、当時すでにシェイクスピア女優としての地位を築いていた演技派女優のヘレン・ミレンなど豪華キャストの上、脚本家にはゴア・ヴィダル、製作はフランコ・ロッセリーニという布陣。後で付け加えられたハードなポルノ・シーンはボブ・グッチョーネがペントハウスのモデル達を使って別撮りしたとされ、主要キャスト陣は関わっていないという。それどころか、当初はこの作品がポルノになることは出演者たちには全く知らされていなかったという。

《あらすじ》
 ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスの曾孫カリギュラ(ガイウス・シーザー・ゲルマニクス)は、妹であり愛人のドルシラと郊外で慎ましく暮らしていた。ところが成人を迎える頃、カリギュラは第2代ローマ皇帝・ティベリウス(カリギュラの大叔父であり法律上の祖父)にカプリ島まで呼び出され、そこで彼が見たものは異常性愛に溺れる皇帝、貴族と退廃しきったローマ帝国のの姿であった。
 ティベリウスは自分の実孫ゲメルスを後継者にしたいがため、呼び寄せたカリギュラに毒を盛ろうとする。 難を逃れたカリギュラだったが、すぐにティベリウスは病に罹り仮死状態となってしまう。

 カリギュラは、皇帝の指輪をティベリウスの指から外して自らの指にはめて悦に入るが、直後蘇生したティベリウスから指輪を返すよう迫られ、その場に現れたカリギュラの親衛隊長マクロが、カリギュラに代わってティベリウスを絞殺する。
 こうして、カリギュラはローマ帝国の第3代皇帝となった。ドルシラからの助言もあって、皇帝即位に大功のあった親衛隊長マクロが自分を凌ぐ権勢を得ることを警戒し、第2代皇帝ティベリウス殺害を理由にマクロを公開処刑する(巨大芝刈り機を使った処刑シーンは有名)。

 カリギュラは最愛の妹ドルシラと結婚しようとするが、ローマの法律上どうしても兄妹では結婚できない。そこで、カリギュラは、聖女の泉に召集した巫女の中から、淫乱で離婚歴のあるカエソニアを妻に迎えた。
 カリギュラは、自分が出席した兵士の結婚式で新郎・新婦を共にレイプするなど、ますます異常性を現し始める。さらにゲメルスに無実の罪をかぶせて処刑し、貴族たちから反感を買うことになってしまう。

 最愛のドルシラが熱病に罹り亡くなってしまったショックから、カリギュラはいよいよ狂気への歯止めがなくなり、まさに末期的、異常・狂乱の様相になる。


《キャスト》
カリギュラ:マルコム・マクダウェル
ティベリウス:ピーター・オトゥール
ネルバ:ジョン・ギールグッド
マクロ:グイド・マンナリ
ドルシラ:テレサ・アン・サヴォイ
カエソニア:ヘレン・ミレン
カエレア:パオロ・ボナセッリ
クラウディウス:ジャンカルロ・バデッシ
(以上、「Wikipedia」を参照)

 35度以上もある猛暑の時に、クーラーの効いた涼しい部屋で観る、というこの落差。が、これまたこの映画らしい。暑さしのぎ、暇つぶしにと観ていても、エログロ満載。長い!くどい!ストーリーはどうなっている!・・・
 俳優陣も、主役以外は?(カリギュラはなかなか迫真の演技)。豪華メンバーだが、ネームバリューばかりで今ひとつのりが悪い! 

 舞台セットが大がかりで、壮大な劇空間をつくっている。あえてそうさせているのだろうが、まさに虚実入り交じってのドラマ。しかし、群衆劇としてはアメリカ映画の大作級。

 裸、裸、裸、エロ・シーンが随所にあり、食傷気味。しかし、本筋とは関係がなさそうに挿入されるエロ・グロ場面を除けば、物語的にも、映像的にも見応えがある。特にカリギュラの心理描写・狂気の果ての悪行、周囲の貴族連中の権謀術数・・・。
 暴君の行き着く果ての「狂騒」劇。結局は、暗殺されてしまう。
 感情の赴くまま、その気分で気にくわない連中を次々と消し、その虐殺シーンに快楽を覚えるカリギュラ。後半、実の妹(愛人)が死んだことで、いよいよその狂気に歯止めがかからなくなっていく。この暴君を暗殺しようとするも、なかなかできずにいた貴族たち。あげくのラストシーンは、衝撃的。



 大がかりなセット(古代ローマの宮殿、円形舞台、競技場・・・)のもとでの展開。歴史劇、群衆劇として見所の多い内容だった。今もハードポルノ映画としてくくられるのにはもったいない印象(あまりローマ古代史を知らないせいもあっておもしろかった)。 

 「狂騒」のうちにいつしか亡国の因を積む暴君の存在。強大なローマ帝国の暗黒の歴史の一面を垣間見た思い。待てよ、大昔の、外国の話にとどまっているだろうか?

 この映画から生まれた言葉。
※「カリギュラ効果」 禁止されると、かえって余計にその行為をやってみたくなる心理のこと。一例としては、「お前達は見るな」と情報の閲覧を禁止されると、むしろかえって見たくなるなどの心理が挙げられる。
 上記の映画『カリギュラ』が語源で、過激な内容のため、ボストンなどの一部地域で公開禁止になったことで、かえって世間の話題を惹いたことにちなむ。
 この効果は、広告宣伝やテレビ番組でも利用されている。例えば、テレビ番組で、「ピー」などの効果音を付けて発言を聞こえなくしたり、モザイク処理をかけて映像の一部を見えなくすることにより、いっそう視聴者の興味をかき立てるなど。(以上、「Wikipedia」を参照)

※「画像」は、すべて「emfplix.com」より。

 ところで、ティント・ブラスの作品はこれで3作目の紹介となった。「あなたもすきね」ということ?

 さらに、この「カリギュラ」のヒットに便乗し、臆面もなく「カリギュラ2」(これはポルノ)とか「新カリギュラ」(「2」と同じなのか?)などのあやかり作品・続編があるらしい。さすがにそれを観る機会はなさそう。

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